「二代目 聞き書き中村吉右衛門」 小玉祥子 著 毎日新聞社

毎日新聞に連載されていた、新聞記者の小玉祥子さんによる、吉右衛門さんの一代記です。
二代目 聞き書き中村吉右衛門二代目 聞き書き中村吉右衛門
これまでも、吉右衛門さんのエッセイや、歌舞伎評論家による吉右衛門評なんかも読んだことがあります。でも、この本では、吉右衛門さんの芸歴が時系列に書かれていて、務めた役柄と共に成長していく吉右衛門さんの様子がよくわかって良かったです。特に、東宝に所属していたときに演じた新劇やミュージカルなどは、あまり知らなかったので、興味深いものでした。

個人的には、私の好きな女形、中村吉之丞さんのインタビューが結構あって良かったです。
吉之丞さんは、初代吉右衛門さんからのお弟子さんで、小さかった今の吉右衛門さんの子守りもなさっていたそうです。
吉之丞さんによると、『熊谷陣屋』の熊谷直実を演じた初代は「花道から揚幕に入った後も、しばらく突っ伏して泣いていた」んだとか。主君のためとはいえ、自分の子供を手にかけたことで出家し、僧形で花道を引っ込むラストシーンが涙を誘いますが、まさか、揚幕の中でも泣いていたなんて・・・・・初代の熊谷、見てみたかったですね。

幼少期に養子に出されたり、後盾だった祖父の死後は周囲の態度が急に変わったり、祖父や父や兄と比べられて悔しい思いをしたり、役者も家も捨てたいと思ったり。
歌舞伎の名家に生まれた者としての苦しみは、一通り経験されたのではないかと思います。
今、多くの人が拍手を送る役者になったのは、ひとえに本人の努力の賜物。声が悪いと言われては、清元の師匠に発声法を教えを乞うたり、自身の活躍の場を求めて父や兄と別れて東宝から松竹に戻ったり・・・・・名門の役者としてあぐらをかいていたわけでも、流されていただけでもない、常に高みを目指し続けていらっしゃることがよくわかります。
でも、そのひたむきさが、娘達への躾やプライベートの遊びにまで及んでしまうのは、ちょっと痛々しいのですが。それだけ、周囲の期待やプレッシャーに、生真面目に応えようとなさったからなんですよね。

吉右衛門さんの舞台、まだまだ観たいのがたくさんあります!これからも、いろいろ足を運ぶつもりですo(^-^)o

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Commented by rudolf2006 at 2009-10-30 08:33 x
june_hさま お早うございます
お久しぶりです。ブログはいつも読ませていただいていますが、コメントは久しぶりです。

吉右衛門さんの芸談が出たんですね〜。
私も買って読みたいと思っています。

吉右衛門さんの若い頃、私も少しは(爆〜)知っております。勧進帳では四天王くらいの役しか付いていなかったですね〜。きっと、色々と悔しい思いもされたと思いますが、それが今の糧になっているのではないでしょうか?播磨屋の役者さんが少なくなってきていますから、まだまだ頑張って欲しいですよね〜。
私も色々と舞台を観たいのですが、なかなか行けないのが残念です〜。

ミ(`w´彡)
Commented by june_h at 2009-10-31 19:51
rudolf2006さま、お久しぶりです!コメントありがとうございます♪
昔の吉右衛門さんも、歌舞伎の演目もたくさんご存知のrudolf様なら、きっと、楽しめる本であろうと思います!
私も最近、忙しくて、なかなか歌舞伎に足を運ぶことができませんが、12月は、久し振りに、吉右衛門さんの『修善寺物語』を観に行こうと思っていますo(^-^)o
by june_h | 2009-10-29 21:03 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(2)