『罪と音楽』 小室哲哉 著 幻冬舎

大事なのは、これからです。
『罪と音楽』 小室哲哉『罪と音楽』 小室哲哉
小室さんが逮捕されたことは、私にとってはマイケル・ジャクソンが亡くなったことよりショッキングな出来事でございました。

小学生のとき「夜のヒットスタジオ」で聴いたTM NETWORKの『Self Control』。
たくさんのシンセサイザーとコンピューターに囲まれ、指揮者のように全てを操る小室さんの横顔に、私は一目で魅了されたのです。
それ以来、狂ったように、小室さんの出演番組や雑誌を追いかける毎日に。お小遣いが少なかったので、CDは、友達やレンタルショップから借りてカセットテープに録音し、すり切れるまで聴いていました。
自分の意志で生まれて初めて買ったレコードは、TM NETWORKの『1974』と『BEYOND THE TIME』のSPレコード(!)。
生まれて初めてのコンサートは、中3の時に行った代々木第一体育館の『TM NETWORK RHYTHM RED TMN TOUR』。

今でも、たくさんの曲をソラで歌えます。TM NETWORKと小室さんは、私の青春でございました。

私の憧れだった方が、惨めな姿で逮捕されてしまったこと・・・・・本当に残念でなりませんでした。
でも、予想できたことではありました。ブランド物と若い女性に関する「派手好き」は、有名でしたから。子供ながら「オサカンだなぁ」と思っていたものです(笑)。まぁね、成功者で「スター」なんだもの。お金と女性が寄ってくるのは当たり前ですけど。

事件については、彼一人でやったことではないでしょうが、彼自身に大きな責任があることは明らか。
更に残念だったのは、小室さんの作った楽曲がメディアから消えたこと。楽曲には、罪は無いのに・・・・・。

この本では、逮捕時から判決までの心境と、音楽業界に飛び込んでから今日までの思い出とが、行きつ戻りつしながら語られています。
この本を読むまでもなく、私は、彼が音楽を純粋に愛していること、彼が非常な努力家であったことをずっと知っています。

常に「新しい音楽」を求めて、最新機器や技術を取り入れながら実験を繰り返してきたこと。
ただ曲を作るだけではなく、マーケティングや「売り方」まで考えてプロデュースできるアーティストであったこと。
そのせいで「音楽は技術じゃない」「打ち込みは音楽じゃない」と猛烈な批判にさらされてきましたが、大好きな音楽を続けるためには「売れること」が大事だということが彼にはわかっていましたし、彼の音楽は多くのファンに支持を受けていたので、彼はブレませんでした。
「TKプロデュース」が大成功したのは、決して偶然や幸運ではなく、それまでの彼の努力と試行錯誤の成果だと思います(私自身はその頃の曲が好きじゃなかったけど)。
そして、彼が取り入れてきた技術は、今では業界で当たり前になっています。先見の明があったのです。

でも、「時代の寵児」と持て囃された絶頂期、彼自身は幸せではなかったようです。
ほぼ毎日のように締め切りに追われ、休むことを許されず、心身をすり減らしていく日々。
元々、感受性が強い人だから、そんな生活を続けていたら、簡単に不安定になってしまう。そこへ、数十億円のお金が入ってきたら、おかしくならないわけはない・・・・・TM NETWORKの楽曲の作詞を数多くてがけてきたみっちゃん(小室みつ子)も自身のブログで彼を擁護しています。

逮捕されて有罪判決(執行猶予付き)が出たこと自体は残念だったけど、この本にある通り、今回のことで自分を見つめ直して反省して、地に足が着いたんじゃないかな。そして、本当の幸せってなんだろうって、考えられたんじゃないかな。そういう意味では、良かったように思います。

また、曲をいっぱい作って欲しいです。ヒットするかは分かりませんが、これからも日本の音楽業界のブレーンであり続けるでしょう。今までも、エイベックスの松浦勝人さんや、B'zの松本孝弘、T.M.Revolutionをプロデュースした浅倉大介など、彼に薫陶を受けた著名な業界人は、たくさんいるのですから。

そして、私もコンサートに足を運ぶことがあるでしょう。
お金がなかった学生時代は、指をくわえて雑誌のライブレポートを読むしかなかったのですから。
社会人になってから、何度か復活コンサートにも行きましたし、買い直したTM NETWORKのCDは、今でも大切な宝物です。

P.S.
小室さんは、音楽業界の大先輩から、
「小室くんは、本当に音楽マニアだよね。僕の知る限り、山下達郎、小林克也と小室哲哉が三大音楽おたくだな」
と言われたことがあるらしい。
知られていることかは分かりませんが、小室さんは小さいときからバイオリンとピアノを習っていて、クラシックの素養があったのと、テクノ、ファンク、ブリティッシュロック、ユーロビートなどなど、ありとあらゆるジャンルの音楽を「暴飲暴食」しているんですよね。それだけ、「引き出し」が多くて、なおかつ日本人のマーケットに合わせてアレンジできる人なんです。
・・・・・やっぱり私は、マニアックな人が好きなんだろう(^^;

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by june_h | 2009-12-19 10:13 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)