「点」 宇多田ヒカル 著 EMI Music Japan Inc./U3music Inc.

宇多田ヒカルのエッセイ&インタビュー&写真集です。
「点」 宇多田ヒカル「点」 宇多田ヒカル
「突然、荷物をまとめて日本に行ったりアメリカに行ったり、落ち着くことがなかった。母親の言動と自分の生活は、予測がつかず、ままならないものだった。唯一、勉強だけが、自分でコントロールできることであり、努力すれば結果がついてくるものだった」

以前、NHK『トップランナー』でのこんな言葉で、彼女の生い立ちに興味を持ちました。私も読書や勉強が「逃げ場」だったので、この言葉には、とても共感しました。この本にも、同じことが書かれていました。

彼女の母親は、不安定な人で、夫の宇多田照實さんと、6回も結婚と離婚を繰り返しています。母親とは、コミュニケーションが難しく、お金や人間関係のトラブルが耐えなかったようで、幼少時の彼女は、自分を守るために、こうしたストレスに対して「何も感じなくなる」ことを選びました。

彼女は本当に孤独で。小さいときから、誰かと一緒にいる安心感が得られなかったんだと思います。彼女が描いた絵も載っていましたが、ゾッとするほど寂しい絵です。
音楽で爆発的にヒットして有名になったけれど、そのことは、彼女の幸福感には、あまりつながってはいなくて、むしろ孤独感を深めているような印象です。
夫も彼女を追い詰める存在でしかなかったようです。
でも、それは、相手の問題もあったのかもしれないけど、彼女自身の問題も大きいように思います。

でも結局、唯一、音楽だけが、彼女が自分らしくなれる居場所みたい。
コミュニケーションが難しい両親とも、音楽でならつながれるし、世界ともつながれる。
彼女にとって、音楽は、自分以外の人間とつながるための命綱みたいな「手段」であって、音楽自体への思い入れは、実は無いのかもしれません。音楽以上に良いツールがあれば、あっさり乗り換えてしまうのかも。

今みたいに桜の花びらが舞う季節になると、彼女の『SAKURAドロップス』が聴きたくなります。久しぶりに、聴いてみようかしらん。
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Commented by hayashi at 2010-04-05 21:52 x
天才です。完敗いたしました。
Commented by june_h at 2010-04-06 08:30
hayashiさんコメントありがとうございます。
彼女は「音楽で名を残そう」とか、そういう意識は全然無い感じで、「私はここにいる」を伝えたいっていうプリミティブな思いからなんだと思います。家族と普通にうまくやっていたら、ここまで音楽で成功しなかったかも。
by june_h | 2010-04-05 18:32 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(2)