「空に向かって」 安藤美姫 著 扶桑社

フィギュアスケーター 安藤美姫さんの、バンクーバーオリンピック直前までのエッセイです。
「空に向かって」 安藤美姫「空に向かって」 安藤美姫
小さい時はとてもシャイで、どんな習い事も長続きしなかった彼女がスケートを始めたのは8歳。他のトップスケーターと比べて遅いスタートでしたが、持ち前の運動神経でみるみる上達。ノービスやジュニアの大会で次々と優勝し、あっという間にシニアに転向しました。

彼女は当初からジャンプが得意でした。これは、当時のコーチだった門奈裕子さんのおかげだと言います。コーチの教え方は子供でもわかりやすく、同じレベルの選手同士をペアにして、競わせて伸ばしたんだそうです。安藤美姫は、浅田真央と組んで、ジャンプを練習していました。

一気に注目されるようになったのは、中学3年生のときに出場した大会で、4回転ジャンプを成功させてから。この時から彼女の「苦悩」が始まります。

「ミキティ」と呼ばれるアイドル的な存在となり、プライベートまでメディアに追い回される日々。
インタビューでも、恋愛のことばかり聞かれたり、特定の選手を持ち上げるような偏った取材をされたり。
周囲の「雑音」が大きくなって、すっかり自分のペースがわからなくなり、トリノオリンピックでは、思うような結果が残せませんでした。すると、それまで彼女をチヤホヤしていたメディアは、手のひらを返すように、あっという間に彼女の周りから消えました。
いろいろまだまだ書けない苦労もあると思いますが、そんな中でも
「メディアは信じられない」
と、彼女はハッキリ書いています。

ぶっちゃけ私は、彼女のスケートは、あまり好きではないのですが(爆)、注目を集めている他のフィギュアスケーターにも共通の悩みが多く書かれていると思います。トリノオリンピックで優勝した荒川静香も、メディアの関わり方とメンタルの保ち方について、論文を書くほどなのですから、プレッシャーたるや、大変なものなのでしょう。

ジャンプのミスが大きく点数を左右する競技。トップ選手でも、体調とモチベーションを維持するのは、生半可なことではありません。
更に難しいのは、あまり乗り気ではないときに優勝してしまったり、逆に、調子が良いときに点数が伸びなかったり。
安藤美姫は、他の選手に比べて特に「波」が激しいように思いますが、トリノからバンクーバーまでの間に、精神的に成長していっているのがわかります。

トリノが終わってからは、モロゾフコーチと二人三脚ですが、それも決して平坦な道ではなかったようです。
調子が悪かったシーズンは、周囲からはコーチを変えた方が良いと言われ、安藤美姫の母親もモロゾフコーチと大喧嘩したそうです。安藤美姫も母親と大喧嘩。本人たちだけの問題に留まらなくなってしまうのが大変です。

アスリートだけではなくて、どんな人でもそうですが、常に良いときばかりじゃなく、挫折を経験したり、うまくいかない時期があったりもします。
でも、私は、そういう時期があった方が良いと思います。乗り越えると、挫折する前より、ずっと大きな人間になっています。

安藤美姫の本を読んでいて思いだしたのは、私が幼稚園だったときに、家の近所の砂場で遊んでいたときのこと。
砂場で砂山を作って遊んでいると、小学生の男の子が「大きな砂山作ってやろうか」と言って、砂を盛り始めました。すると、突然、砂山の頂上を踏みつけて壊したのです。
「なんで踏むのん!?」と、非難するように私は叫んだのですが、男の子は、
「こうせえへんと、大きくならへんのや」と言って、ガシガシ踏みます。
その訳は、すぐわかりました。頂上を壊すことで、山の「麓」の面積が大きくなり、よりたくさんの砂を効率良く盛ることができるようになったのです。その後、私が見たこともないような、大きな砂山が出来上がりました。

挫折は、きっと、自分の「麓」を大きくするチャンスなんですよね!

「初の女子選手4回転ジャンプ成功」と「世界選手権優勝」というタイトルはすでに持っていますが、バンクーバーが終わった後も、選手続行を決めたそうですね。たとえ引退しても、フィギュアスケートとは、ずっと関わっていくことになるのではないでしょうか。良いことも悪いことも、今が全部、将来につながっていくと思いますので、後悔しないように頑張ってね♪
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Commented by 曾我廼家光龍 at 2014-09-27 15:08 x
出来れば、漫画「安藤美姫物語」が実写映画化されれば幸甚です。監督は無論「滝沢秀明」氏で~す!
Commented by june_h at 2014-09-27 20:43
>曾我廼家光龍さま
コメントありがとうございます。
フィギュアスケートのドラマ化は、スケートシーンが難しそうですよね(^^;
by june_h | 2010-06-24 20:47 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(2)