「私はなぜ麻原彰晃の娘に生まれてしまったのか 地下鉄サリン事件から15年目の告白」松本聡香 著 徳間書店

麻原彰晃の四女、聡香(仮名)さんの手記です。
聡香さんは、現在21歳ですが、60歳くらいの方の手記に思えました。

私はなぜ麻原彰晃の娘に生まれてしまったのか ~地下鉄サリン事件から15年目の告白~

松本 聡香 / 徳間書店


教祖の娘として生まれ、教団内で育った聡香さん。両親は忙しく、二歳から一人で寝ていて淋しかったと言います。父親とは、親子というより、教祖と弟子の関係で、怒らせたら、例え娘でも何をされるかわからない、緊張感のあるものでした。

地下鉄サリン事件が起こった1995年同時、聡香さんは、わずか6歳。
ここから、彼女の流浪の人生が始まります。

信者や母親、祖父母などの元を転々とする毎日。
父親は逮捕され、母親と姉達は、教団内の権力闘争に明け暮れ、聡香さんを利用したり貶めたり。
学校でもいじめを受けましたが、彼女は、地下鉄サリン事件のことを15歳になるまで知らなかったんだそうです。
周囲の信者や家族を信じられなくなった彼女は、ジャーナリストの江川紹子さんに後見人になってもらいましたが、結局うまくいかず、解消しました。

幼いときから満足に愛情を与えられず、どこにも居場所がない。心から信じ、頼れる人がいない。教団の内と外の価値観を両方わかっているから、どちらにもなりきれない。
しかも、自分が楽しいことをしたり、恋愛感情を抱いたりすると、罪悪感を抱いてしまうのです。心が休まるときがありません。
これなら誰だって病んでしまうでしょう。何度も入院していますし、自殺未遂もしているそうです。
スピリチュアルカウンセラーに何度か相談したこともあるそうですが、教団の教義と同じ部分もあったりして、苦しみが増してしまうのだそうです。

そんな聡香さんだからかもしれませんが、教祖だった父親が「父と娘」として接してくれた数少ない思い出を、とても大事にしています。
一緒に歌を歌ってくれたこと、プレゼントしてくれたこと・・・・・彼女なりに、愛を受け取っているのを感じました。
そして、父親を始めとして、収監されている信者達と、面会したり文通したり。信者の中で、一番人間的に接しているのではないでしょうか。

サリン事件の日のことは、私は今でも鮮明に覚えています。私の父は、花粉症が悪化して、たまたま仕事を休んだのですが、いつもの電車に乗っていたら、たぶん巻き込まれていました(同僚で被害に遭った方がいたそうです)。
ですので、ありがたいことに、この本を客観的に読めるのだと思います。

聡香さんには、是非生きていて欲しいと思います。彼女にしかできないことが、きっとあるはずですから。
私はなぜ麻原彰晃の娘に生まれてしまったのか私はなぜ麻原彰晃の娘に生まれてしまったのか
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Commented by 二華 at 2010-11-16 16:16 x
「徳川将軍十五代・・・」に始まり「全ては宇宙の采配」も面白くて一気読みしてしまいましたー。
いつも面白い本を紹介して下さって、ありがとうございます!

地下鉄サリンの時、私の勤める会社に訪ねて来る予定だった方が時間になっても来ない・・・と思ったら事件に巻き込まれていました。私は今、地方に住んでいますが、今だに異臭や、低空飛行してるヘリの音には敏感です。(空からサリンを撒く計画もありましたよね)

まだ21歳なんですね。苦悩の時もあったでしょうね・・・
Commented by june_h at 2010-11-16 18:10
>二華さま
コメントありがとうございます!
お楽しみいただいているようで何よりです(^^)

この本は、読んでいて、八方塞がりというか、出口が無いように感じることが多かったのですが、絶対、希望はあるはず!です。

二華さんにも、そんな思い出があったんですね。
あの事件は、もう15年も前なのに、今だに多くの人にとって、忘れられないものになっていますよね・・・・・。
Commented by Haruka at 2010-11-17 14:49 x
私もちょうど仕事を休んでいて、友達から「大丈夫??」と電話をもらって、サリン事件の事を知りました。
仕事だったら、巻き込まれていたかも・・・
会社内では、やはり被害者がいました。
本当に忘れられない事件ですが、信者の家族にとってはまた想像できないような色んな思いがあるのでしょうね。
Commented by june_h at 2010-11-18 12:38
>Harukaさま
コメントありがとうございます。
巻き込まれなくてよかったですね!
うちの母も、父の巻き添えをくって、仕事を休みました。母も地下鉄を使っていたので、通勤が大変だったと思います。でも、ちょうど父母の仲がMax悪かったので、余計に家の中はピリピリしました(笑)。
私は、学校だったのですが、地下鉄は使っていなかったので、影響はありませんでした。
ただ、いつもなら地下鉄に直通する電車がみんな折り返し運転で、ホームにも、電気が消えた地下鉄の車両が止まっていて、異様だったことを覚えています。
今でも事件は、解決していないし、被害者にとっては、ずっと続いています・・・・・。
by june_h | 2010-11-15 18:19 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(4)