「天皇家の執事 侍従長の十年半」 渡邉允 著 文藝春秋

現在の天皇の侍従長を務められていた、渡邉允さんの手記です。
天皇家の執事 侍従長の十年半天皇家の執事 侍従長の十年半
心がすさむようなニュースが多い中、読んでいてとても癒されました。
渡邉さんの美しい言葉遣いで綴られた文章と、天皇陛下の真摯な姿勢に心が洗われる思いで、お風呂上がりのリラックスタイムに少しずつ読んでいました。

天皇陛下は、国家行事や儀式でご挨拶されることが多いのですが、通りいっぺんではなくて、来る人に合わせて言葉をいちいち変えているのだそうです。人を大切にされていることがわかります。
とにかく、どんな人にも行事にも、こんなに真面目に向き合っているのかと思うくらい、心を込めていることがわかり、読んでいて何度も涙ぐみました。

私が特に感動したのは、沖縄周辺に伝わる琉歌についてのエピソード。
沖縄には「琉歌」と呼ばれる、独特の歌があり、短歌が「五七五七七」であるのに対し、琉歌は「八八八六」の定型詩です。
天皇陛下は、硫歌を作るために、数千に及ぶ琉歌を学び、ウチナーグチで琉歌を創作できるまでになったそうです。本当に大変な努力家で、頭が下がります。
また、歌会のお題を「駅」にしようという話が持ち上がったときも「沖縄には(当時)駅が無いので、ほかのものを選んではどうか」とおっしゃったとか。すべての国民のことを考えていらっしゃいます。

天皇陛下が皇太子だった時代、昭和天皇の名代として、海外を訪れることも多かったそうです。中には、反日感情が強い国もありますので、妨害行為もあったりして、緊張の連続だったそうですが、誠意を持って対応され、相手国の国民感情を少しずつ和らげていかれました。

また、渡邉さんの人柄にも、好意を持ちました。
侍従になってまだ間もない頃、立ち位置を間違えて、天皇陛下を隠してしまったり、装束の冠を落としてしまったり。かわいらしい失敗談が、微笑ましいです。

とにかく、どの文章からも、天皇皇后両陛下に対する敬意がにじみ出ています。そこがまた感動します。
最近、世間一般では、「けなしたモン勝ち」みたいな風潮になっているので、改めて「敬意」とか「他者への理解」とかについて、考えさせられた本です。
[PR]
トラックバックURL : http://juneh.exblog.jp/tb/12329416
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented at 2010-11-23 17:26 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by june_h | 2010-11-22 20:33 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(1)