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「翻訳夜話」 村上春樹×柴田元幸 文藝春秋

小説家の村上春樹さんと、東京大学助教授(現在は教授)で村上春樹の翻訳のチェックも担当している柴田元幸さんが中心の翻訳談義。
翻訳学校の学生や、翻訳家達との座談会です。
「翻訳夜話」 村上春樹×柴田元幸「翻訳夜話」 村上春樹×柴田元幸
村上春樹の翻訳論?を読んでいるとつくづく思います。
この人は、小説家でも翻訳家でもなくて、シャーマンなんだなぁと(^^;

村上春樹が翻訳で重視するのは、とにかくリズム。そのために、文章をくっ付けちゃったり離したり。ときには、段落まで変えることもあるそうな(^^;
リズムと言っても、音読する「耳の」リズムじゃなくて、目で追う「目の」リズム。元々、ジャズをやっている人だから、リズムを重視するのは、なんか納得。

日本語に訳すとき、主語を「僕」にするか「私」にするか、悩む翻訳者も多いようですが、村上さんは、その時その時の「フィーリング」で訳すみたいで、ずっと「僕」って言ってた主人公が、突然「私」に変わったりすることもあるそうです。
文法的なこととか、技術的なこととかより、テキストの真髄とか「肚」とかを伝えることを重視しているように感じました。

翻訳する上で、どうしても翻訳者の「誤解」「偏見」が入っちゃうのは仕方ないこと。100%「原文どおり」なんてあり得ないと思いますが、村上さんの場合、作者すら気づいていない、潜在意識まで訳すような勢いです(^^;
でも、「翻訳したい文章(好きな文章とは別)」というのはあるみたいで、例えば、出版社から「この小説を訳して」と言われても難しいのでしょう。

あと、村上さんは、翻訳が本当にお好きなことがわかります。きっと、お金をもらわなくても、翻訳したい文章があれば、どんどん訳してしまうんですね。

私には、出版翻訳なんて「途方もないこと」のように感じます(^^;
っていうか、こういう本を読む前に、村上春樹の小説とか翻訳とか読めよ、私(笑)。
by june_h | 2011-01-30 20:27 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)