2011年 01月 30日
「翻訳夜話」 村上春樹×柴田元幸 文藝春秋
翻訳学校の学生や、翻訳家達との座談会です。
村上春樹の翻訳論?を読んでいるとつくづく思います。
この人は、小説家でも翻訳家でもなくて、シャーマンなんだなぁと(^^;
村上春樹が翻訳で重視するのは、とにかくリズム。そのために、文章をくっ付けちゃったり離したり。ときには、段落まで変えることもあるそうな(^^;
リズムと言っても、音読する「耳の」リズムじゃなくて、目で追う「目の」リズム。元々、ジャズをやっている人だから、リズムを重視するのは、なんか納得。
日本語に訳すとき、主語を「僕」にするか「私」にするか、悩む翻訳者も多いようですが、村上さんは、その時その時の「フィーリング」で訳すみたいで、ずっと「僕」って言ってた主人公が、突然「私」に変わったりすることもあるそうです。
文法的なこととか、技術的なこととかより、テキストの真髄とか「肚」とかを伝えることを重視しているように感じました。
翻訳する上で、どうしても翻訳者の「誤解」「偏見」が入っちゃうのは仕方ないこと。100%「原文どおり」なんてあり得ないと思いますが、村上さんの場合、作者すら気づいていない、潜在意識まで訳すような勢いです(^^;
でも、「翻訳したい文章(好きな文章とは別)」というのはあるみたいで、例えば、出版社から「この小説を訳して」と言われても難しいのでしょう。
あと、村上さんは、翻訳が本当にお好きなことがわかります。きっと、お金をもらわなくても、翻訳したい文章があれば、どんどん訳してしまうんですね。
私には、出版翻訳なんて「途方もないこと」のように感じます(^^;
っていうか、こういう本を読む前に、村上春樹の小説とか翻訳とか読めよ、私(笑)。