「私家版 ユダヤ文化論」 内田樹 著 文芸春秋

世界的に、公の立場では、ユダヤ人についてネガティブなことを語るのはタブー。内田先生が、この本を「私家版」としているのは、「ユダヤ人の歴史を語るには、キレイごとだけでは済まない。ユダヤ人のことを語るときは、どうしてもユダヤ人を100%不愉快にさせて」しまうから。

欧米での迫害のメカニズム、日本での「日猶同祖論」「ユダヤ陰謀論」の出所、ユダヤ人がイノベーティヴである理由などなど、サルトルやレヴィナスの言葉を交えながら論じ進めていきます。

私家版・ユダヤ文化論 (文春新書)

内田 樹 / 文藝春秋


宗教的な集団でも、民族的な集団でも、国家的な集団でもない「ユダヤ人」という存在。
ユダヤ人とは、「男」と「女」という概念と同じように、欧米社会になくてはならない普遍的なカテゴリーなのだと。
歴史の中で、ユダヤ人の追放と粛清は繰り返されてきたけれど、ユダヤ人が滅びることはなかった。そしてまた、反ユダヤ主義も滅びることはない。それは、欧米社会が、社会構造を維持するために、「ユダヤ人」という存在を、スケープゴート的に必要としてきたからだと、内田先生は、サルトルの言を借りておっしゃいます。

でも、内田先生は、ユダヤ問題は、結局「よくわからない」とおっしゃいます。
自分がわかっていることだけで論をつぎはぎするよりも、わからないことをわからないまま、次の世代に受け渡すことも大切なことだと。
これは、学者として、なかなか勇気ある態度ではないでしょうか。

・・・・・そんなわけで、私がこの本から「わかったこと」だけをツギハギして作った、この文章を、終わりにしたいと思います(笑)。
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by june_h | 2011-02-06 11:40 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)