「速記者たちの国会秘録」菊地正憲 著 新潮社

戦前戦後の国会で活躍していた、速記者達のインタビュー集です。
「速記者たちの国会秘録」菊地正憲「速記者たちの国会秘録」菊地正憲
録音機器が発達していなかった戦前戦後、国会答弁は、速記者と呼ばれる専門職の職員が、独特の「速記符号」を駆使して素早く記録していました。
国会の特等席から政治家達と間近に接し、日本の歴史が変わる瞬間を何度も目撃してきた速記者達の話が、面白くないはずはありません!

東京裁判では、情報が漏れないよう、約百日間、監禁状態で仕事したり。
外務大臣だった重光葵は、答弁の合間に、美人速記者をこっそりスケッチしていたり(笑)。

あの有名な、吉田茂の「バカヤロー」発言は、速記で記録したにもかかわらず、大問題となってしまい、正式な会議録から削除されたんだそうです(^^;

速記者達の間で、特に印象深かったというのは田中角栄。
聞いている分には、面白くて説得力があるのですが、早口なので記録するのが大変だし、いざ書き起こして文章にし直しても、何を言ってるのかサッパリわからなかったそうです(^^;
それに対して大平正芳や佐藤栄作の演説は、理路整然としていたとか。

そして、女性速記者に大人気だったのが中曽根康弘!
若い時から言葉に無駄が無く、背が高い彼が演説をしていると、とても目立っていて、「いずれ彼は首相になる」と評判だったそうです。
私の記憶で一番古い首相は、中曽根さんです。でも、私の中曽根さんのイメージは「バーコード頭の風見鶏」です(笑)。

鈴木善幸は、東北訛りで聞き取りにくく、石原慎太郎や上田哲は、超早口。
速記者達は、それぞれの個性に苦しみつつ、黙々と記録していきました。

しかし、録音録画機器が発達した昨今、速記者が活躍する場所も、速記者自身の数も、減少の一途をたどっています。
速記者の募集も、2006年までで停止されたそうです。

主観を排し、黒子として、また、専門職の誇りを持って職務に当たっていた速記者達。
この本は、新書なので、全体的に要約しているような印象です。もっといろいろあると思うのですよね。戦後史の貴重な資料になりうると思います。
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by june_h | 2011-02-14 12:36 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)