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「ヤフートピックスの作り方」 奥村倫弘 著 光文社

ヤフートップページの「トピックス」は、どのように作られているのか?
読んでいて、ネットのニュースについて、いろいろ考えさせられた本です。
「ヤフートピックスの作り方」 奥村倫弘「ヤフートピックスの作り方」 奥村倫弘
著者の奥村さんは、ヤフートピックス編集部で、編集作業に携わっています。

編集部に所属するメンバーは、出版社や新聞社で記者経験のある人ばかり。
毎日、様々なメディアから約3500本のニュースが配信されますが、トピックスに掲載されるのは、そのうちわずか60本ほど。
ある程度は、プログラムで分類しますが、どのニュースを、どんなタイトルで、どのタイミングで、トピックスに掲載するかは、人力です。

新聞や雑誌と違うのは、記事が読まれているかどうかがアクセス数で明確にわかること。
自分が編集した記事のアクセス数がみるみる上がっていくのを見ると、大きなやりがいを感じると、奥村さんは、言います。

しかし、新聞では、編集者側が重要だと考えた社会的な記事は、一面にしたり、大きく扱ったりしますが、ネットでは、そのようなことができません。
奥村さんは、アクセス数によって、国際的、政治的なニュースがほとんど読まれていないことに気づいて愕然としたそうです。

コソボ独立のニュースよりも、芸能人の離婚のニュースの方が、何倍もアクセスがあるという現実。
アクセス数だけを指標にして編集すると、ロクに取材もしていない芸能人の噂のようなジャンクニュースばかりになってしまいます。

ヤフートピックスでは、アクセス数だけで判断せず、硬軟取り混ぜて掲載しているそうですが、アクセス数が広告料金などに直結する他のポータルサイトでは、ジャンクニュースや「釣り」記事ばかりになっているのも見受けられます。

私自身は、通信社とネットがあれば、ぶっちゃけ新聞は要らないんじゃないかと思っていました(笑)。
しかし、このような問題があるとわかれば、新聞という形であるかはともかく、取材部隊と自分の独自媒体を持っている組織は、あった方が良いかなと思いました。
Commented by oomimi_usako at 2011-04-05 10:34
自分のところまで到達する“情報”は、実は、氷山の一角ですよね。
到達するまでに、メディア側のフィルタだけでなく、自分自身の意識的フィルタも、無意識のフィルタもかかってしまっているわけです。
永久に知りえない、でも実は自分にとってはとても大事な情報があることをふと思い、時々私は、恐ろしくなったり寂しくなったりいたします。
あと、もったいないなあと思ったりも(^^;)
ちょっとずれたかな?
Commented by june_h at 2011-04-05 20:59
>usakoさま
ごもっともなお話でございます。
今回の地震と原発の情報でも、「人は、自分が見たいものしか見えない」ということを痛感しております。
私は「偏見」という名の「フィルタ」について、若い頃に悩み過ぎて、何も言えなくなった時期があったんですけど、偏見と向き合わなければ、何一つ踏み出せないとわかってからは「偏見家万歳」な、このブログを垂れ流しております(笑)。

>永久に知りえない、でも実は自分にとってはとても大事な情報があることをふと思い

私は、同じことを人に対して思います。もっと、自分にとって重要な人と会っていないのではないかと。
でも、人も情報も、きっと「ご縁」ですよね。
出会った人や情報を大切にしていければ、きっと「何か」にたどり着けるはず!?
by june_h | 2011-04-04 12:31 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(2)