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【デンマーク映画】100,000年後の安全【フィンランドの放射性廃棄物最終処分場の話】

チェルノブイリ原発事故のとき、北欧のスウェーデンやフィンランドでは、原発反対運動が盛り上がった。
しかし、たびたび北欧に侵略経験のあるロシアに、火力発電の石油や天然ガスを依存するわけにはいかないと、原発を捨てられなかった。その代わり、国民は原発に、徹底した情報公開を求めた。
映画『100,000年後の安全』
フィンランドには、「オンカロ(フィンランド語で「隠れた場所」の意味)」と呼ばれる、現在建設中の放射性廃棄物最終処分場がある。
幾重にもコンクリートの壁や扉で覆った500m地下の空間に廃棄物を格納。いっぱいになったら扉にフタをして埋める計画だ。その予定は、100年後の22世紀だそうな。
映画『100,000年後の安全』
しかし、廃棄物の放射線の半減期は10万年。
人間の世代にして30万世代もの間、放射線が外に漏れないようにしなければならない。
映画『100,000年後の安全』
本当は、地球外に捨てられれば良いのだが、運んでいる途中でロケットが爆発すれば厄介だ。
地上より地下の方がリスクは低いが、関係者が一番恐れているリスクがある。それは、

10万年経つ前に掘り起こされてしまうこと

100年後ならまだしも、10万年後、フィンランドという国家が存在している可能性は低い。フィンランド語を理解する人も、いないだろう。
ましてや、人類自体が存在するかもわからない。

ここが危険な場所だということは忘れ去られ、未来の知的生命体が「宝の隠し場所」だと思って掘り起こすかもしれない。
たかだか数千年前に作られたピラミッドの目的すら、今の私達にはわからないのだから。
(もしかして、ファラオの呪いって放射性物質!?)

このリスクをどう回避するか、関係者は議論した。

「近づいたら危険だ」という標識を立てれば良いのでは?
・・・・・でも、未来の生物が解読できなければ無意味だ。
ムンクの「叫び」のように、不快な気持ちを引き起こす絵文字にすれば良いのでは?
・・・・・でも、未来の生物が、現代の人間と同じ感受性を持っているかはわからない。

関係者がたどり着いた結論?は、

オンカロが「忘れるべき場所」であるということを忘れないようにすること

とはいえ、これを実現させる方法は、誰も思いつかない。

この映画には「10万年後の「掘り起こした者」に対するメッセージ」があるが、このメッセージが届くかどうかはわからない。この映画も、観られるかどうかも。
映画『100,000年後の安全』
フィンランドだけではなく「10万年間有害」な放射性廃棄物が、世界中で今も生みだされている。
10万年経つまでに、放射性物質を無害化する技術ができないかなぁ・・・・・。

P.S.
BGMがひたすら怖かったです。『2001年宇宙の旅』のモノリスの音とか(^^;
頭の中でずーっと「れーでぃーおー、あくてぃーびてぃー」っていう放射能の歌が回ってます(^^;;;
by june_h | 2011-05-01 20:39 | 映画 感想 | Trackback | Comments(0)