JIA建築セミナー2011「街場の建築論」内田樹×光嶋裕介 特別公開講座 その3

光嶋さんによる内田先生の建築中の道場「凱風館」の紹介
光嶋:六甲山が見える。「公共性がある建物」というリクエストだった。
道場は、能舞台もある。先生の奥様のため。
三つの庭を使って、それぞれの空間に光と風を入れる。それぞれの建物に屋根がある。
セミパブリックスペースがある(サロン、書斎(先生が本を書くところ)、宴会場、客間)
構造には80cmのカラ松を8本入れる。
山・土・木の物語を入れる。木は、この人が育てた、みたいな。
能舞台のための老松を描く。この絵も制作中。
玄関には淡路島の瓦。


内田:かなり変わった建物です。道場兼自宅なんです。私は家に客を招くのが好きです。
3LDKの家に60人きちゃったりする。
麻雀連盟の人も来て、4卓くらいできる。だから、基本は道場だけど、60人入る宴会場にしてもらった。
パブリック・セミパブリック・プライベート空間が一つの建物に入っている。切れ目があるけど緩やかにつながっている建物。細かいところは光嶋君にお任せする、と言った。
家の中か外かわからない路地とかがある家を提案してもらった。路地の感じが好き。
子供が走り回って喜ぶ空間になると思う。なかなかそういうコンセプトで作る家ってないと思うから。
土地や建物を「所有する」という考え方には基本的に反対。いろんな人に使ってほしいと思う。だから「自分の家を持つ」というつもりはぜんぜんなかった。


ツイッターに寄せられた質問:エネルギー問題について
内田:エネルギーは、環境負荷がかからないものが望ましい。
もう少し、農業従事者の割合を戻したほうがいい。都市ではなく田舎をめざそう。
今の世代でなんとかしないと、何百年もかけて先祖からもらってきた伝統なんかの「贈り物」が、途絶えてしまう。今の一次産業は、儲かるからではなく、高齢者が、自分たちがやめたら終わってしまうという意識からやっている。そこをなんとかサポートしなければならない。
人間にはハーバーという機能がある。冒険に行く人と、送り出す・待つ人と。全員がフロントラインにつくことはない。後ろでサポートする人も必要。全員でフロントラインに行くと、すぐにつぶれてしまう。もっと「縁の下の力持ち」を評価すべき。


挙手による質問:コミュニケーションを妨げるのは、「こだわり」と「プライド」と「被害妄想」。でも、建築家は、それらを強く持っている気がします(笑)。
コミュニケーションと建築家に対するアドバイスをお願いします。


内田:光嶋君に何をいっても「そうですね」といってくれるところがいい(笑)。
自分のリクエストに合わせて瞬間的に戦略をかえてくれるところ。否定してもぜんぜん「ええ!?」とか言わない。だから言いやすい。
奥さんと自分が違うことをいっても、どちらにも「そうですね」というから、苦労してるだろうな(笑)。
コミュニケーション能力は、自分の意見を伝えるのではなく、折り合いを柔らかく柔軟にすることでしょう。


挙手による質問:邪悪なものにあったときの対処法は?


内田:一つは、放電。体内にためないで放電すること。基本は受け流す。
もう一つは、怒るべきときには怒る。どうにもならないことに対して、この怒りには個人的な怒りではないと思うときがある。そういうときは、怒りに任せてしまう。「怒髪天を突く」ような超自然的な怒りをする。
危機的状況を生き残るために必要なこと。
いつも穏やかでニコニコしているけど、ここってときには全身で怒る。


光嶋:内田先生の周りには、雑多で多様な人が集まっている。これは、先生が秩序を作っているから。秩序なき多様性は成り立たない。みんな「幼なじみ」みたい雰囲気になるのは、先生という秩序があるからだと思う。
先生はいつもニコニコしているけど、きっと怒らせちゃいけないのかなと思う(笑)。


街場の建築論まとめ
内田:「マイナスワン感」が大事。
建物だけで完結しちゃいけない。
人が住んで初めて完成するような建物でないと。
いろんなライフスタイル・趣味趣向・性格をもった人が住んで初めて生きてくるような建築がいい。
今の建物はあまりにも完成し過ぎている。モデルルームの状態が一番いいというのはおかしい。「人が住んだら終わりだよね」っていう建築はおかしい。
人が住む、人が関わるのが想像できるような建物がいい。


私は、内田先生の考え方で
「言葉も商売もコミュニケーション。すべては相手への贈り物。相手に何かを贈りたいという気持ちから、すべては始まった」
っていうのが、一番好きです。

言葉は、相手を傷つけるためではなく、喜ばせるもの。
商売は、相手から奪うためではなく、相手に与えるもの。
与えあって、連綿と続いてきたこと。すべては、先祖からの贈り物。それを同じように子孫に伝えることが、今生きている私達がすべきこと・・・・・。

凱風館、出来上がりが楽しみですね!


JIA建築セミナー2011「街場の建築論」内田樹×光嶋裕介 特別公開講座@JIA館 その1
JIA建築セミナー2011「街場の建築論」内田樹×光嶋裕介 特別公開講座 その2

[PR]
トラックバックURL : http://juneh.exblog.jp/tb/14075586
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
by june_h | 2011-07-12 12:51 | 観劇 観戦 コンサート レポート | Trackback | Comments(0)