「文豪はみんな、うつ」 岩波明 著 幻冬舎

生い立ちや作品内容から、日本の文豪達の精神病理を追った本。著者は精神科医です。

夏目漱石の幻聴や精神の不安定さは有名ですが、他にもいろいろ例があります。
宮沢賢治は、躁鬱病。
谷崎潤一郎は、パニック障害などなど。

文豪の方々に、まず、共通しているのは、小さい時から頭が良かったこと。
そして、高等教育を受ける余裕があるくらい実家が裕福か、本人が苦学して高等教育を受けたこと。

あと、幼少時に、家庭環境から、人生について深く考えざるをえない方々もいました。
例えば、島崎藤村は、父と姉が統合失調症。父親は、座敷牢に監禁されていたそうです。
芥川龍之介は、母親が統合失調症。母親の愛情を受けられませんでした。
川端康成は、家族が次々亡くなって、青年期に天涯孤独に。

太宰治や有島武郎が心中死していることから、戦前の昭和時代の情死者の統計がありました。
江戸時代も心中が流行っていましたが、大正・昭和も多かったようです。
でも、昭和17年から20年はゼロ。戦況が悪化して、統計を取るヒマがなかったのかもしれませんが、情事に耽るヒマもなかったのでしょう(^^;

興味深かったのは、作家の島田清次郎。
絵に描いたような誇大妄想で、作品にもよく現れているし、傲慢な言動で、周囲の反感を買っていきます。
でも、こうした彼の特性の根底にあったのは、自分に対する自信の無さや不安だったのですよね。

小説が売れなくなって、周囲から相手にされなくなった途端に、一気に精神が不安定に。最期は、不遇のまま、精神病院で結核が原因で亡くなります。

文豪と呼ばれる全ての人が、精神が不安定だったり、自殺したりするわけではないと思いますが、こうしてみると、死の淵ギリギリまで行って、心をえぐるような文章を掴み取ってくる。そんなイメージを持ちました。
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by june_h | 2011-08-25 12:58 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)