「ニセモノ師たち」 中島誠之助 著 講談社

「良い仕事してますね」のセリフでお馴染みの、「開運!なんでも鑑定団」の鑑定師、中島誠之助さんのエッセイ。
「ニセモノ師たち」 中島誠之助「ニセモノ師たち」 中島誠之助
最近、本を読むのが少し億劫になっていたので
「もしかして、鬱っ気再発!?」
と心配だったのですが、この本は、面白くて面白くて、食い入るように読んでしまいました。
単に、面白くない本を読んでいただけだったのね(^^;

中島さんは、幼い時に両親と死別。骨董商の伯父に引き取られ、仕事を手伝いながら、感性と審美眼を育てました。

中島さんの伯父は、優れた目利きであるだけではなく、優れた「ニセモノ師」でもありました。
ワケあり品を安く仕入れ、腕利きの職人に本物と見紛うニセモノを作らせて高く売るのです。

私は、歌舞伎の「色悪」という言葉を思い出しました。
「色気のある悪人」ではなく、「モノの色気とヒトの欲望を知り尽くした悪人」。
そんな伯父さんの仕事ぶりを見てきたので、中島さんは、いろいろなニセモノの「手口」を知り抜いているのです。

骨董業界には、独特の慣習が数多くあります。

プロの骨董商でも、見る目がなければ、同業者にニセモノをつかまされます。
しかし「騙される方が悪い」のが、この世界の常識。相手を訴えたりしないのはもちろん、恥ずべきこととして誰にも言いません。
中島さんは、今でさえ第一人者ですが、駆け出しの頃は、よく失敗したそうです。
しかし、その悔しさをグッとこらえ、猛勉強と研鑽を重ねていったのです。
特に、井伏鱒二の小説のモデルになった骨董商との「壮絶な頭脳戦(騙し合い)」は、スリリング!まるで、政治や外交の世界のよう。
中島さんも「骨董の世界は、ニセモノがあるからこそ面白い」と言います。

また、本当のプロは、ニセモノであることがわかっても、決して「ニセモノだ」とは言いません。
売る人買う人両方の面子を潰して恨まれるだけだからです。
なので、気付かずにニセモノばかり扱っている骨董商もいるそうです(^^;
「知識すなわち学問が土台になって、その上に美が成り立っているというのはアンバランスです。美しいな、いいなという感動が土台になり、その上に知識や学問が成り立っているのでなければ、美の探求によって得られる美意識の完成というバランスは崩れてしまうと私は思います」

「品物に罪はなく、欲心や悪心を持った人間サイドに罪があります」

「骨董を見分ける前に、まず人間を見分けることができるかどうか。それがニセモノかホンモノかを見分ける大きな鍵になるものだと思います」

多くの経験に裏打ちされた中島さんの言葉は深い!
ただの好々爺ではありませんよ!
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by june_h | 2011-11-25 12:21 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)