2012年 04月 29日
「ジャガイモの世界史 歴史を動かした「貧者のパン」」 伊藤章治 著 中央公論新社
同じくもたらされた莫大な金銀は、スペインにインフレを招いただけでしたが、ジャガイモは、その後、欧米で欠かせない食材の一つとして根付いていくのです。
しかし、広まるには、多くの時間がかかりました。
痩せた土地でも育ちやすく、栄養価の高いジャガイモを、支配階層の人々は絶賛しましたが、農民達は大反対!
種子ではなく「増殖」で増える植物で、見た目もボコボコしていて「気味が悪い」。
農民達は「聖書に無い食べ物だから食べられない」「食べると病気になる」「悪魔の食べ物だ」と、徹底的に拒否。
ついには、ジャガイモを植えさせようとする領主に対して一揆を起こすまでに。
ロシアでは、ピョートル大帝が「ジャガイモを食べなければ打ち首にする」と脅しても食べようとしない農民の前で、自らジャガイモを食べることで、ようやく認めさせたんだとか(^o^;
しかし、ジャガイモを広めたのは、こうした「脅し」ではなく、戦争や飢饉による飢餓でした。
他の植物が育たない状況でも、ジャガイモは容易に育つことから、貴重な栄養源となり、多くの人々を救うことになるのです。
ただ、ジャガイモは、病気に弱いのが欠点でした。
アイルランドでは、19世紀に、主食のジャガイモが病害によって壊滅的な打撃を受け、多くの人々がアメリカに移住せざるを得なくなるのです。
そして、この時の移民から、ケネディ家が誕生します。
日本でも、飢饉の時はもちろん、戦争中の食糧不足時や、北海道の開拓地に多くのジャガイモが植えられました。
こういう歴史を知ると、ポテトチップスにも感謝したくなります!