2012年 06月 01日
【イギリス映画】マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙
ヒリヒリするような孤独感が最初から最後まで、ずーっと漂っていて。
私は、イギリスでボランティアしていた老人ホームを思い出していました。
明るくて、アットホームな老人ホームでしたが、そこはかとなく漂う死と不安の臭いに、その日の夜、悪夢を見て怯えました。
そこにいたおじいちゃんおばあちゃん達、みんな孤独に見えたのです。
それと、この映画のサッチャー首相が重なりました。
憐れみで泣いたのではありません。
彼女の孤独感に同化したり、老人ホームでの辛かったことを思い出したりしたのです。
経済的にドン底のイギリスで女性初の首相に。
いわば「火中の栗」を拾った形で国の中枢に立ち、財政の緊縮策やフォークランド紛争など、次々とシビアな選択をする必要に迫られた。
当然、何かを選べば、困る人間は出てくるわけで。常に批判の矢面に。
味方であるはずの保守党議員達も、まとめるのが大変!
自分が良かれと思って実行しても石を投げられる。
国のために行動しても国民に理解されない。
この映画を
「家族を犠牲にして痴呆になったカワイソウな女」
というふうには見て欲しくないです。
国を背負ったんだもの。
家族を犠牲にするのも、孤独になるのも、本人は全部わかっていて、誇りを持って選んだのだろうから。