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【映画:ネタバレあり】クラウド アトラス【輪廻転生と愛のSF映画】

命は自分のものではない
子宮から墓まで 人は他者とつながる
過去も現在も
すべての罪が あらゆる善意が 未来を作る

Our lives are not our own.
From womb to tomb, we are bound to others.
Past and present.
And by each crime and every kindness, we birth our future.

何度となく出てくる、このセリフが、この映画のテーマになっています。

全部で3時間長。
途中でトイレに行きたくなって困りました(^^;

この映画は、ネタバレしても全然オッケー(笑)。
むしろ、予習して見るか、何度も見るかしないと、全貌がつかめません(^^;
この映画のキモがストーリーではないし、あらすじを全部書いたとしても分かりやすく書けないし。
読む人も疲労してイヤになるでしょう(笑)。

とにかく映画を見てね!と言うしかないのですが、自分なりに頑張ってわかりやすく?書いてみます。

この映画は、次の6つの世界、人物、戦いが同時進行で描かれます。
共通する戦いのテーマは「弱肉強食の世界を愛と信念で克服する」でしょうか。

①1849年のアメリカへの船上、奴隷商人と黒人奴隷、財産を狙う医者に打ち勝つ
②1936年のイギリス、ゲイの青年作曲家と恋人、作曲した協奏曲を有名作曲家に盗られないように守る
③1973年のアメリカ、女性ジャーナリストと物理学者、石油メジャーの陰謀を暴く
④2012年のイギリス、男性編集者と老人ホーム仲間、老人ホーム管理者の虐待から逃げる
⑤2144年のソウル、クローン人間と革命家、世界の理不尽なシステムから人々を解放する
⑥2321年の地球のどこか、島で暮らす男性、自分自身の内なる恐怖を克服する

それぞれの世界は、つながっています。
例えば・・・・・

■①の奴隷商人の航海記を、②の青年作曲家が愛読している
■②の青年作曲家の恋人と③の物理学者は同じ人物
■③の女性ジャーナリストが買ったレコードは、②の青年作曲家の協奏曲
■④の老人ホームになっている城に、②の有名作曲家が暮らしていた。
■⑤のクローン人間が働いていた店で流れた曲が、②の青年が作曲した協奏曲
■⑥の世界では⑤のクローン人間が神として崇められている

こうやって、ただつながっているだけじゃないんです。
更に複雑なのは、それぞれの世界の登場人物の「魂」がつながっているのです。
平たく言えば、それぞれの魂が前世から来世へ輪廻しています。
例えば・・・・・

■①の奴隷商人(後の奴隷解放運動家)の来世が⑤の革命家(前世でも来世でも解放運動をしている)
■②の青年作曲家の来世が④の男性編集者の兄(前世で浮かばれなかった分、来世で裕福になっている)
■③の女性ジャーナリストの来世が⑥の地球外コロニーから来た女性(前世でも来世でも人のために尽くしている)
■④の男性編集者の前世が①の船長(前世でも来世でも仕切っている)
■⑤のクローン人間の前世が①の奴隷商人の妻(前世でも来世でも解放運動家のパートナー)
■⑥の島の男の前世が①の医者(前世で奪う側だったが来世で奪われる側に)

「つながっている」のは、これだけではありません。
他にもたくさんありますし、恐らく映画には出て来ない「裏設定」もありそうです。
一つの世界の中でも、過去に助けたことで、未来に人から助けられるという「因果的物語」もあります。

監督は、映画『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟(※お兄さんが性転換したので、今は姉弟)。
6つの世界の人物相関を、文字通りマトリックスで表さないとわかんないですねぇ(^^;

出演者のハル・ベリーは、
「脚本がとにかく難しかった。彼(トム・ハンクス)は、難しいからって、ちゃんと読んでないんじゃないかしら」
ってジョークを言うくらい(^^;

・・・・・ここまで読んでイヤになった方、大丈夫です!
「つながり」を気にしなくてもちゃんと楽しめます!構成と映像美は、カンペキですから。

6つの世界が同時進行するので、6回ハラハラします(^^;

輪廻転生は、日本人には馴染みがあるけど、キリスト教的価値観の西洋人が描くなんてスゴいと思いました。
ちゃんと原作があります。
作者は、イギリス人のデイヴィッド・ミッチェル。
日本在住経験があるとのこと。
なんか納得です(^^;

勧善懲悪というわけでも、全てが報われるというわけでもありませんが、一応、全部ハッピーエンドです。
自分が一番、感情移入したのは②。
若干、身につまされる話です(笑)。

輪廻転生も間違いも繰り返すかもしれないけど、行き着くところが同じなら、なんだか安心します(^^)
by june_h | 2013-04-08 12:25 | 映画 感想 | Trackback | Comments(0)