8月15日に寄せて:映画『チャップリンの独裁者』より"The concluding speech of the dictator"

私が中学生の時、なぜだか学校の代表として英語のスピーチコンテストに出ることになってしまって。
なぜなら、担任の先生が英語の先生だったから(^^;
そして、家の近くに住んでいたカナダ人宣教師に、お菓子をもらいに英会話を教わりに行っていたせいもあったかも(^^;

課題は、先生が選んだのですが、当時、中2か中3だった私(普通の公立中です)には、文法も単語も内容も難しくて。
それなのに先生は、内容の解説や翻訳をほとんどしてくれませんでした。
「自分で調べなさい。間違っていてもいいから。とにかく覚えなさい」と。
間違っていたとしても、何も仰いませんでした。
なんでこんな難しいことやんなきゃならないの!?と、半泣きになりながら、映画のスピーチを何百回も聞き、必死に暗唱しました。

これだけ頑張ったにもかかわらず、スピーチコンテストの結果は、芳しいものではなく・・・・・。
優勝者は、英語の教科書の一節を読んだ人でした。
これくらい簡単だったら、もう少し上手く出来たかもしれないのに・・・・・なんて、悔しく思いました。

この時、苦労したからなのか、悔しかったからなのか、今でも、このスピーチを諳んじています。
ことあるごとに、ふと思い出して、ぶつぶつ呟いてみたり(←怪しい)。

最近、思うことがあります。
これは、もしかしたら、先生からのタイムカプセルのような「ギフト」だったのかもしれない。
中学生の私には理解できなかったけど、大人になって意味がわかった時に、人生の大切な宝物になるように、と。

私が暗唱したのは、映画『チャップリンの独裁者』のラストシーンで、独裁者と入れ替わった床屋の男のスピーチです。
戦争はなぜ起こるのか、チャップリンは、よくわかっていたんですね。
そして、人間の愚かさ、醜さ、弱さ、素晴らしさも。

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私が暗唱した部分のみ抜粋します。本当は、もっと長いんです。
一応、私が訳しました。間違っていたら教えてくださいね。

※「ハンナ」は、床屋の男の恋人です。

I'm sorry. But I don't want to be an emperor. That's not my business.
I don't want to rule or conquer anyone.
I should like to help everyone, if possible, Jew, gentile, black man, and white.

申し訳ない。私は皇帝になどなりたくない。私のやるべきことではないから。
私は誰一人、支配も征服もしたくない。助けたいんだ。
できるなら、ユダヤ人も、キリスト教徒も、黒人も、白人も。

We all want to help one another. Human beings are like that.
We all want to live by each other's happiness, not by each other's misery. We don't want to hate and despise one another.
In this world, there is room for everyone and the earth is rich and can provide for everyone.

互いに助け合いたいと思う。人間とはそういうものだ。
互いの苦しみのためではなく、幸福のために生きたいのだ。憎み合ったり嫌ったりしたくない。
世界には一人一人居場所があって、地球は、その全員を養うことができるほど豊かなのだから。

The way of life can be free and beautiful. But we have lost the way.
Greed has poisoned men's souls, and has barricaded the world with hate, has goose-stepped us into misery and bloodshed.

人生は自由で美しいはずなのに、私達は見失ってしまった。
強欲が人間の魂を毒し、世界を憎しみによって分断し、私達を悲劇と流血へと追いやった。

We have developed speed, but we have shut ourselves in, machinery, that gives abundance has left us in want.
Our knowledge has made us cynical, our cleverness, hard and unkind.

スピードは発達したが、私達は互いに気持ちを閉ざすようになった。
機械は裕福な暮らしをもたらしたが、私達は欠乏にあえぐようになった。
知識によってひがみっぽくなり、小賢しさによって無慈悲で冷酷になった。

We think too much and feel too little,
more than machinery, we need humanity,
more than cleverness, we need kindness and gentleness,
without these qualities, life will be violent and all will be lost.

私達は頭でっかちで感じることが少な過ぎる。
機械よりも人間らしさが、小賢しさよりも優しさと寛容さが必要だ。
これらがなければ、人生は暴力的になり、すべてを失ってしまうだろう。

(中略)

Soldiers, Don't give yourselves to brutes,
men who despise you and enslave you - who regiment your lives,
tell you what to do, what to think and what to feel,
who drill you, diet you, treat you as cattle, as cannon fodder.

兵士達よ、獣達に身を任せるな。
あなた方を嘲り、奴隷にし、行動も、思考も、感情も、人生をも奪おうとする者達に。
彼らは、あなた方を手なずけ、飼い慣らし、家畜や雑魚のように扱うのだ。

Don't give yourselves to these unnatural men, machine men, with machine minds and machine hearts.
You are not machines, You are not cattle, You are men.
You have the love of humanity in your hearts.
You don't hate, only the unloved hate. Only the unloved and the unnatural.

こんな異常な、機械のような、頭も心も機械に等しい者達に委ねるな!
あなた方は機械ではない。家畜でもない。人間だ。
あなた方の心には愛がある。
あなた方は憎み合わない。愛を知らぬ者だけが憎み合うのだ。
憎むのは、愛を知らぬ異常な者達のすることだ。

(中略)

Hannah, can you hear me?
Wherever you are, look up Hannah.

ハンナ、聞こえるかい?
君がどこにいても。見上げてごらん。

The clouds are lifting, the sun is breaking through.
We are coming out of the darkness into the light.
We are coming into a new world.
A kind new world, where men will rise above their hate, their greed and their brutality.

雲が消え、太陽の光が差し込もうとしている。
暗闇から光へ、新しい世界が開けてきた。
憎悪と、強欲と、暴力を乗り越えた人類の新しい世界が。

Look up Hannah.
The soul of man has been given wings - and at last he is beginning to fly.
He is flying into the rainbow - into the light of hope, Look up hunna. Look up.

元気を出して、ハンナ。
人間の魂は翼を与えられ、ついに飛び立ち始めた。
虹の中へ、希望に輝く未来へ向かって。
元気を出して、ハンナ。


・・・・・今の私でも、十分難しいんですけど(^^;

ヒトラーとチャップリンって、同じ年の同じ月(4日違い)に生まれたんですよね。
一人は、世界を恐怖に陥れた独裁者になり、もう一人は、世界を笑いで満たすコメディアンになった。
チャップリン自身、ヒトラーと因縁を感じていたのかもしれません。
そして、この映画の独裁者と床屋は、ヒトラーとチャップリンだったのかもしれません。
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by june_h | 2013-08-15 00:00 | 映画 感想 | Trackback | Comments(0)