「吉原御免状」 隆慶一郎 著 新潮社

私が時代小説を読むなんて、めちゃめちゃ珍しいこと。
最後の色街 飛田』の感想をアップした時、友達に、この本も読めと勧められたからです。
友達は、ロンドンに住んでいた時、和書専門の古本屋でこの本を見付けて、あまりの面白さに一晩で一気に読んでしまったそう。

吉原御免状 (新潮文庫)

隆 慶一郎 / 新潮社


肥後の山中で宮本武蔵に育てられた孤児、松永誠一郎。
25歳になったら江戸の吉原へ行けという武蔵の遺言に従って、吉原にたどり着いた誠一郎を待っていたのは、柳生一族の陰謀、自身の出世の秘密、そして、「吉原御免状」と共に秘されている吉原の真の姿だった・・・・・。

主人公の誠一郎が、吉原も花魁も女性も知らない設定なので、「サルでもわかる吉原入門」みたいな部分も描かれていますが、この小説のキモは、そこではありません。

戦前まで日本に存在していたと言われている、非定住民「傀儡子(くぐつ)」の存在と、彼らが日本の歴史に与えていた影響についてです。

傀儡子は、踊りなどの芸能によって日々の糧を得ていました。遊女も傀儡子から起こったと言われています。
ヨーロッパのロマ(ジプシー)のような生活をしていたことから、彼らの起源を朝鮮半島や大陸に求める説もあります。

吉原は、表向きは遊廓ですが、実は、傀儡子の「公界(自治区)」で、徳川幕府による弾圧から逃れるために、裏でせめぎあいがあったというのが、この本の見所です。

傀儡子が自治を守るため、後水尾天皇の落胤である誠一郎の権威を利用しようとしたとか。
家康は、実は関ヶ原の戦いで死んでいて、その後、家康の影武者と秀忠の間で権力争いがあったとか。

一つ一つのエピソードがつながっていき、なかなか説得力があります。

調べてみると、この本の著者は、「週刊少年ジャンプ」に連載されていた『花の慶次』の原作者なんですね。
いわれてみると、主人公の器がデカくてやたら強いとか、舞台が日本のみならず世界に広がったりとか、殺人描写がむごたらしかったりとか、世界観が似ています。少年マンガ向きなんですよね。

花の慶次―雲のかなたに (第1巻) (Tokuma comics)

隆 慶一郎 / 徳間書店


私が気に入ったのは、遊女の勝山。
彼女は、誠一郎の命を狙う柳生一族の側の人間ながら、誠一郎に惚れてしまい、彼を助けます。そのため、最後は、柳生一族によって酷い殺され方をするのです・・・・・こういう「報われないキャラ」好きです(笑)。
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by june_h | 2013-10-04 12:53 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)