「字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ」 太田直子 著 光文社

映画の字幕というと、思い出すエピソードがあります。
小学校3年生の時、家族で『グーニーズ』の映画を観に行きました。
一緒に見ていた妹は、まだ小さかったので、字幕が読めなくて、ふてくされてしまいました。
当時は、吹き替え版がほとんどありませんでしたからね。
ちなみに、吹き替え版は、字幕版より時間とお金が何倍もかかるそうです。

字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ (光文社新書)

太田 直子 / 光文社


字幕は、「翻訳」ではなく「要約」です。
セリフをそのまま訳すと、だらだら長くなってしまい、読み終わる前に次のシーンに・・・・・なんてことになるからで。
いかに少ない文字数に収めるかが勝負となりますが、そこには様々な「障害」が。

日本では知られていない、その国の常識やセリフを説明すると、収まりきらなくなったり。
放送禁止用語をどう変えるか悩んだり。
ネイティブにチェックしてもらったら、文字数が増えてしまったり。
観客の読める漢字が減ってきたので、ひらがなにしなければならなくなったり(笑)。

一番、驚いたのは、配給会社の営業さんが、「映画を売るために、もっと分かりやすくして欲しい」という理由で、セリフのないシーンにナレーションをつけろとか、セリフの意味を全く逆に訳せと要求してくること。
こうなったら、翻訳じゃなくて「創作」どころか、原作への「冒涜」ですよね(^^;

著者は、短い納期と少ない賃金に加えて、これらの条件の中で、日々戦って、最善の「言葉」を必死に探すのです。

著者は、昨今の字幕業界について、危機感を抱いています。
安さばかり求められ、字幕の質や仕事環境が落ちるばかり。
このままでは、ノウハウが次世代に受け継がれていかないのだと・・・・・。

これは今、どの業界でも起きていることですよね。

読んでいて思うのは、文章の分かりやすさとムダのなさ。
さすが、短い文字数の中で戦ってきた方。
私も襟を正す思いです。

このブログの文章は、寝る前にテレビを見ながら寝転がって、携帯で書いているので、なかなか分かりやすく簡潔に、というわけにいかず(^^;
たまには、本気で推敲した文章も書かなきゃね、と思う今日この頃・・・・・。

これからは、字幕を見て「ん!?」と思ったら、「大人の事情がいろいろ絡んで、あの言葉に落ち着いたのだなあ」と、想像してみることにします(^^;
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by june_h | 2013-10-19 12:28 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)