「夢を売る男」 百田尚樹 著 太田出版

『永遠の0』の著者 百田尚樹さんの本。
面白かったです!

夢を売る男

百田 尚樹 / 太田出版


舞台は、自費出版で売り上げを伸ばしている丸栄出版。
主人公は、丸栄出版の編集者の牛河原。

「いつか自分の本を出したい」
そう考えている人は、世の中結構多かったりします(私も、そういう夢を持ったこともあります(笑))。

小説を全然読まないのに、小説を書いて有名になって周囲を見返してやると考えるフリーターの青年。
プライドが高く、独自の教育論を展開する専業主婦。
自分史を出したがっている定年退職した元会社役員。

こんな人達を、言葉巧みに持ち上げて、丸栄出版との共同出版(内実は自費出版)を勧める牛河原。
本当は、数十万円で出版できるのに、相手の懐具合を探りながら数百万円を出させます。

ぼったくりじゃん!詐欺じゃん!と思いますが、ちゃんと印刷するし、本屋に配本もします。
何より、牛河原曰く、
「相手の夢と自尊心と優越感を満たしてやっている商売」
だと。

・・・・・結果が伴わない結婚詐欺よりイイかもって思っちゃう(^^;

この本の著者の百田尚樹さんは放送作家でもあります。
なので、どうしたら読者が楽しめるか、喜ぶか、ということが、とてもよく考えられている小説です。

でも、この小説のスゴい所は、一般読者だけではなく、出版業界人にも楽しめるようになっていること。

牛河原は、前職が大手文芸出版社の編集者。
売れない作家に対して、これでもかと毒づきます(^^;

「売れない作家ほど頑固で文句言ってばかり」

「売れない作家は、死後売れることを願っているが、売れている作家も死んだら終わりだ」

「締め切りを守らない作家は才能がない」

「文芸誌は、売れない文芸作家のための生活保護だ」


日頃、作家のワガママに振り回されている出版社の編集者達は、この本を読んで、どれだけ溜飲を下げたことでしょう(笑)。

これだけ悪口書いてますけど、ちゃんと自分も切腹してます。

「百田某は、すぐに消える作家だ」

と、いうことだそうです(^^;

ラストは、ちゃんとホロリとさせられ、最後の一文まで、作者が気を遣っていることが分かります。

本が売れなくて出版業界が厳しいのは事実。
今の出版社に必要なのは、牛河原のような男だったりして!?
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by june_h | 2014-03-22 12:19 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)