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【映画:ネタバレあり】あなたを抱きしめる日まで

この映画は実話です。

カトリックの強いアイルランドでは、結婚前の女性が妊娠すると、修道院に入れられました。
そして、囚人のように扱われ、強制労働に従事。
出産した子供は、彼女達から引き離され、アメリカに養子として売られていました。
こんなことが、1996年まで続いていたんだそうです。

この映画の主人公フィロミナは、修道院に入れられていた女性の一人でした。

50年後、引き離された息子アンソニーを探すことを決心したフィロミナは、ジャーナリストのマーティンに一緒に探すように頼みます。
フィロミナとマーティンがたどり着いた真実は、非常に数奇なものでした。

アンソニーは、残念ながら既に亡くなっていました。
マイケルと名前を変えていたアンソニーは、レーガン&ブッシュ大統領の法律顧問として活躍。
同性愛者だったため子供は残していませんでした。

「アンソニーは、私を愛していたのか、憎んでいたのか」

このことだけが気がかりだったフィロミナは、アンソニーのパートナーだった男性に会いに行きます。
彼が持っていたアンソニーの記録映像に、その答えはありました。

アンソニーは、母親を探しに修道院を訪れていたのです。
そして、本人の強い希望で、修道院に葬られていました。

私は、涙が止まりませんでした。

「事実は小説より奇なり」
と言いますが、シナリオライターが神様なら、「マジ神!」って思います(^^;

フィロミナとアンソニーは、離れていても、形は違えど、同じ「カルマ」を持っていたということになります。

フィロミナは、未婚で快楽に溺れたということに罪悪感を持ち、50年間隠し続けた。
アンソニーは、ゲイであることに罪悪感を持ち、生涯隠し続けた。

しかも、アンソニーが法律顧問を務めた共和党政府は、抗エイズ新薬開発を妨害していた。
なぜなら、キリスト教系保守派のロビー団体が、「エイズはゲイの天罰」だと考えていたから。
アンソニーは、自分の首を絞めるような政策をサポートして、結局、エイズで亡くなった・・・・・。
二人とも、宗教的な問題で抑圧されていたのです。

二人が生前、ついに出会えなかったのは、修道院のシスターがお互いのことを隠していたからです。
シスターは、フィロミナに言いました。

「私は神に近づくために、生涯、純潔を貫いた。でも、あなたは快楽に溺れた。これは天罰よ」

・・・・・「堕落」した女性達の労働と、子供達を売ったお金でご飯を食べていることについては、どう思っているんだろうって、突っ込みたくなりますが(^^;

でも、二人の愛情と絆までは、裂くことはできなかったのです。

フィロミナは、重たい秘密を抱えているとは思えないほど、とても魅力的な人物でした。
無教養ではありますが、素直で、信心深くて、超ポジティブ!
ジャーナリストのマーティンは、反対に、神を信じていなくて、オクスフォード大卒のエリートで皮肉屋。
この「でこぼこコンビ」っぷりが良かったです。

アンソニーは、たまたま息子であることが判明しましたが、修道院から売られた子供達の多くは、いまだに行方知れずなのです・・・・・。
by june_h | 2014-04-04 12:26 | 映画 感想 | Trackback | Comments(0)