2014年 10月 20日
「小林秀雄 学生との対話」 国民文化研究会・新潮社編 新潮社
学生との問答集なので読みやすいです。
読んでいて、40年前の学生も、今とたいして変わらないと思いました(^^;
答えを手っ取り早く求めたり。
白黒ハッキリ付けたがったり。
一言で答えられないようなことを訊いたり。
中には「自分で考えろよ」レベルの質問もあったり(^^;;
質問するって、実は難しいんですよね。
上手に質問しないと、有用な答えを引き出せないですから。
小林秀雄さんは、多くの評論を残しています。
評論家というと、小難しい言い回しを使ったり、自分の知識をひけらかしたり、作品を見てもいないのに批判したりするイメージがあります(爆)。
でも、この方は、とても意識が高いですね。
小林さんは、こう言っています。
「人が君を本当にわかってくれるのは、君が無私になる時。
自己を主張しようとしている人間は、自己の主張するものがどこか傷つけられると、人を傷つけます。」
どんな作品でも評論でも、エゴが入ると途端に腐ります。
人が心を開くのは、お金をくれるからとかではなく、
「相手に理解されていると感じた時」
ではないでしょうか。
理解してくれない相手とは、何も話したくなくなるものです。
最初から「貶してやろう」という気持ちで作品に向かったところで、作品の本質は、語りかけてくれないでしょう。
あと、小林さんは、論理や科学を一番に置いていません。
「人間の知識というものは、たかが知れている」
「書くものはいつでも感動から」
論理や科学で「正しいもの」ではなく、自分の心が動くかどうかを一番大事にしているのですね!
そして、納得したのは、次の言葉。
「左翼はみんな金を持っていた。
みんな親父から出してもらっていたでしょう。
稼いでいる左翼のやつなんか一人もいなかったな」
小林秀雄さんって、クラシック音楽の評論なんかも、たくさんされているので、高い文化と教養に囲まれた裕福な家庭で育ったと、勝手に考えていました。
実際は、かなりご苦労されていたようですね。
私も「働かざる者食うべからず」という家庭で育ったので、どんなに高尚なことを言っている人でも、贅沢に暮らしている人でも、自分が稼いでいなければ、全然、尊敬できないし、羨ましいとも思いません。
この本を読んで、小林さんの他の本も読みたいと思いました。