「創造力なき日本 アートの現場で蘇る「覚悟」と「継続」」 村上隆 著 角川書店

現代アートで活躍する、村上隆さんのエッセイです。

創造力なき日本 アートの現場で蘇る「覚悟」と「継続」 (角川oneテーマ21)

村上 隆 / 角川書店(角川グループパブリッシング)


「アーティストは最下層の存在である。アーティストは、このことを自覚しなければならない」

村上隆さんが作った有限会社「カイカイキキ」に入ってきたアーティストに言う言葉です。

「アーティスト」は特別でも、偉くもない。
一般社会と同じように、常識がなければならないのだと。

私の友達のダンサーも言います。
「この世界、ほんと非常識な人多くて。
でも、どんなに才能があったって、上手くったって、挨拶とか、約束守るとか、基本的なことができてない人は、絶対成功しないから」

そう断言する友達は、本番直前に、突然失踪した後輩ダンサーの代役として、急遽トルコに向かったという過去があります(^^;

そして、自分のやりたいことをやっていれば、いつか誰かが認めてくれるなんて、そんな甘い世界じゃない。
たとえ良い作品でも、時流に合わなくなれば、あっという間に忘れ去られてしまう。
10年前に活躍していた人は、今は、ほとんど残っていないそうです。
また、今の東アジアのアートシーンは、既に東日本大震災前から、組織的に活動している中国や韓国の方が盛んだそうです。

現代アートは、パトロネージュという、欧米が産んだシステムで運営されています。
そうである以上、マーケットやクライアントが求めるものを作ることで「世界に通用する作品」「歴史に残る作品」が初めてできるということです。
そのためには、組織化して作品を作ることや、マーケットの情報を知るために、アドバイザーやエージェントの意見を聞くことも重要だのだとか。

歴史的に有名なアーティストや作品も、パトロンに求められてできたものが多いですよね。

レオナルド・ダ・ヴィンチは、パトロンになってくれそうな王侯貴族に自己推薦状を書いているし。
レンブラントは、画家や職人を組織化して、たくさんの注文をさばいていたし。
ミケランジェロは、制作環境の悪さをパトロンに愚痴っていたし(^^;

音楽もそうです。
バッハやヘンデルは、宮廷音楽家でした。

ゴッホのように、生前売れなくて、死後認められるというのは、非常に稀な例かもしれません。

村上さんは、政府のCOOL JAPAN政策についても言及しています。
「無いよりマシかもしれないが、邪魔しないで欲しい」
とのことです(^^;

村上隆さんは、姿勢や考え方をいろいろ批判されることが多いですが、目的は、いろいろあっていいと思うんです。

誰が正しいか間違っているかとか、批判し合うのは、不毛だと思います。
純粋に作品を評価すればいい話です。
そして、正しいかどうかは、百年後の人間が決めることです。
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by june_h | 2014-10-30 12:13 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)