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「竹と樹のマンガ文化論」 内田樹×竹宮惠子 小学館

内田先生と、漫画家で京都精華大学学長の竹宮惠子さんとの対談です。

竹と樹のマンガ文化論 (小学館新書)

竹宮 惠子 / 小学館


内田先生が少女マンガをお好きなのは、前の奥さんから手解きを受けていたからなんですよね。
話は逸れますが、内田先生ファンの友達と以前、
「どうして離婚したんだろうね。こんなにイイ男なのに」
という話で盛り上がった時に、欠点が見つからなかったので
「先生が、きっと変態だからだろう」
という結論に落ち着きました(^^;

話を戻して、日本のマンガが発展した理由は、
「マンガはオープンソースだから」
と、竹宮さん。

作品自体には著作権がありますが、表現方法などは、いろんな漫画家が真似して取り入れて、改良を重ねていった結果、発展していったのだろうということです。

今では、同人誌によるパロディもたくさんあって、最初からパロディが作られることを狙ったオリジナルまであるんですよね!

それから、漫画家は、雑誌に連載している時は、出版社と契約を交わさないという話にオドロキです!
口約束だけで、ほとんど眠らず書き続けて締め切りを落とさないなんて(^^;
落としてしまうと、後がない、プロとしてやっていけないという危機感からなんですって。

竹宮さんは、今、大学で学生にマンガの描き方を教えたり、マンガの原画を保存する活動を行っているそうです。

あと、内田先生が、
「自分の「ヴォイス」を持つ」
のが大切だと仰っていました。
ちょっと長いですが、引用します。

自分の「ヴォイス」や「文体」を発見するためには、ひとりでじたばたしてもダメなんだと思います。
個人ではなく、集団を基礎単位で考えなければいけない。
同時代・同世代のすべての作家たちを一つの集団とみなす。
そして、「この集団が全体としていったい何を達成しようとしているのか」を考える。
集団全体が達成しようとしていることが見えてきた時に初めて、その集団内部での自分のポジションがわかる。
その集団内部で自分にしかできないこと、誰も自分の代わりがつとまらないことがわかる。
ここは自分がやらなければ誰もやらない。
でも、誰かがやらないと全体としてのバランスが崩れる。
だから、自分がやる。
そういう考え方をすれば、自分しか占めることのできない固有の立ち位置、固有の役割を発見することになる。
「ヴォイス」を持つというのはそのことだと僕は思うんです。

by june_h | 2015-08-24 10:56 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)