「職業としての小説家」 村上春樹 著 スイッチ・パブリッシング

村上春樹さんによる、小説や自分自身の執筆活動についてのエッセイ。
面白くて、あっという間に読みました!

職業としての小説家 (Switch library)

村上春樹 / スイッチパブリッシング


村上さんは、学校教育が合わなくて、自分でどんどん勉強していくタイプなのだという印象。
ホリエモンみたい(^^;

小説家になるのは簡単だが、長く続けている作家はなかなかいない
と、村上さんは言います。

文学賞を取って華々しくデビューしても、二作目が続かない作家はザラにいます。
文学賞は、その後の作家人生を保証してくれるものではなく、「入場券」に過ぎないのだと言います。

ましてや、何十年も評価され続けるには、もちろん、才能だけではなく、不断の努力と自己管理が必要。

村上さんは、マラソンで体力作りをして、一日に書く枚数を決めています。
「作家らしくない」とよく言われるそうですが(笑)、気が向いた時に書くという体制では、何十年も続かないでしょうね。

そして、
小説家は、頭の良すぎる人には向かない
と言います。

だって、小説って「稼ぐための商売」として考えたら効率悪いから(^^;
効率良く稼げる商売は、他にもっとたくさんありますからね。
頭がイイ人は、それに気づいて、すぐに別のことをしてしまうし、タレント兼作家と呼ばれるような人は作家が本業にはなりにくいのだそうです。

文章についての具体的な話も面白いです。
村上さんの場合、まず、英語にしてから、それを日本語に翻訳して書いたんですって!

そうやって文章に「制限」を与えることで、独特の平易な文体が生まれたんですね。
私が小説を書くと、ヘンにカッコつけちゃって、自分が知っている一番難しい語彙を使おうとしちゃうのね(^^;

だから、村上さんは友達に
「これくらいの小説だったらオレでも書ける」
と言われたこともあったそうですが、その後、その友達が小説を書いたという話は聞いたことがないそうな(笑)。

あと、文章を「引き算する」、「推敲を何度もする」のが重要だということ。
奥さんが最初の「読者」になるんだそうです。

一番、大切だと思ったのは、
それをしているとき、あなたは楽しい気持ちになれますか?

村上さんは、楽しい気持ちにならない時は小説を書かないで、翻訳やエッセイを書くんだとか。
だから、「スランプ」を経験したことは無いそうです。

そして、この本全体を通してずっと書かれているのは、
「常に多くの批判にさらされ続けてきた」
ということ。
・・・・・村上春樹を真に批判できるのは、村上春樹より売れた人だけだと思うけど(^^;

最後に、河合隼雄先生のことが語られていました。
河合先生とは、アメリカの大学でお会いしたそうです。
河合隼雄先生は、私にとって心の老師の一人。
お二人の話を聞いていると、「人間の深層意識に潜りこむ」ような共通点があるように思います。
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by june_h | 2016-05-23 09:23 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)