「雪の花」 吉村昭 著 新潮社

種痘を広めた幕末の医師、笠原良策の伝記的小説。

雪の花 (新潮文庫)

吉村 昭/新潮社

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笠原良策は福井藩の医師。
領内では、たびたび天然痘が流行し、そのたびに多くの死者が出ていた。
この状況をなんとかしたいと考えていた良策は、オランダから入ってきた、種痘法という予防法を使おうと考えた。
しかし、実現させるまでには多くの困難と長い年月がかかった。

西洋の知識の流入を厳しく制限していた幕府に処罰される危険があったこと。
役人の無知で、嘆願書が何年も据え置かれたこと。
有効な痘苗の輸入には、輸送中に腐敗するので困難を極めたこと。
痘苗を持つ子供や、その家族と一緒に真冬の雪の山中を越えなければならなかったこと。
種痘に無知な領民が恐ろしがって、種痘がなかなか広まらなかったこと。
医師仲間に妬まれて誹謗中傷を受けたこと・・・・・。

良策は、福井の方言で天然痘を指す「めっちゃの医者」だと、石を投げられるのです。
私財を投げ打って、ズタボロになるまでありとあらゆる力を尽くしたけれど、種痘はなかなか広まらなくて。

有名になりたいんじゃない。
私腹を肥やしたいわけでもない。
命を救える方法があるのに、いたずらに見殺しにするとは、一体どういう了見なのか!?

自分の命を賭けて、手打ち覚悟で送った嘆願書は、鬼気迫るものがあり、涙が出ました。

私も同じ気持ちだったんです。

表に出ていないだけで、きっとたくさんの人が苦しんでいる。
誰かの欺瞞で、それが放置されている。
皆が知らずに罪を重ねていくことを、どうしても止めたかっただけなんです・・・・・。

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by june_h | 2017-01-24 14:54 | Trackback | Comments(0)