「他者という病」 中村うさぎ 著 新潮社

自分が死にかけた生々しい話と、その時の赤裸々な心情が延々と書かれているはずなのに、あまりにも冷静で、筆致の温度があまりにも低くて驚きます。
二人称に「諸君」を使う女性に初めて出会いました(^^;
彼女は生物学的には女性だけど、中身は別の生き物が入っています。

他者という病

中村 うさぎ/新潮社

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「孤独」と呼ぶには俗っぽ過ぎる。
文章から感じられるのは、純粋で透徹した彼女自身。
何より言葉を偽り、言葉を汚されることを嫌う、彼女だけの世界。

「さぁ、君はどちらを選ぶ?偽りの楽園か、真実の地獄か?」

そう自身で問いかけて、エデンの園のヘビに騙されるより先に、進んで知恵の実を食べ、喜んで「自意識を知り尽くす」地獄に挑む彼女の潔さ。

こんなにも自意識の強い人が、自分でなくなっていく感覚をとことん経験しなければならないなんて、地獄の責苦より恐ろしいはず・・・・・。

私も10年前に死にかけて、臨死体験して、自分が自分でなくなっていく感覚を味わったけど(笑)、「孤独だった」までで思考停止した分、彼女よりマシかもしれない(^^;
あれからもう10年以上経ったのに、その時以来の自分の人生がロスタイムのように思える感覚が拭えない。
彼女のように、とことん曝け出して抉り出す勇気は、私には無い。

そして、あとがきのオチの怖さは何!?
怖すぎる・・・・・自意識に向き合った人間は、とことん自意識に向き合う人生を味わうんだなぁ。

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by june_h | 2017-04-20 08:16 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)