【ネタバレ御免】「双頭の鷲」@渋谷PARCO劇場

舞台そのもの、と言うよりは、重厚で巧みな脚本の素晴らしさに感動した作品。もちろん、役者さん達の演技も衣装も舞台美術も良かったけれど、これだけジャン・コクトーの作品が魅力的で分かりやすく感じられたのは、脚本に対する、美輪明宏の深い解釈と演出力の為せる技なのだと思う。

最初の1幕目はやっぱり取っつきにくかった。朝から映画だの芝居だのを観てきて、体力的にも限界だったし、昼間観た『僕たちの好きだった革命』とは正反対に、場面転換がほとんどなくて、退屈に感じられたのだ。それをカバーするための、役者の動きに変化を付けるなどした「配慮」はわかったけれど、さすがに1対1のやりとりが10分以上も続くのは正直ツラかった。

でも、2幕目で気づいた。
これは単なるセリフのやりとりではない。言葉の立ち回りなのだ。言葉の刃がいつ、本物の銃や刃に変わるかわからないスリリングさに気づいた時、これほど刺激的な舞台はないと、意識が釘付けになった。

嵐の夜に出会ったのは、隙あらば自分を追い落とそうとする宮廷に疲れ果てた王妃と、自由主義者の仲間達にそそのかされて彼女を暗殺しようとした詩人。
1幕目は、嵐が好きだと言う王妃の純粋さと、死んだ夫の影にすがりつきながら、ひたすら自分の死を願う彼女の深い孤独と絶望が描かれている。

2幕目は、王妃と詩人の、純粋で孤独な二つの魂がだんだん近づいて、愛が生まれるプロセスが丹念に描かれている。二人の間にあった心の壁が、だんだん薄くなって、最後にピッタリつながってしまう様が目に見えるような、二人の美しくて激しい言葉のやりとりに、涙腺が熱くなる。

そして3幕目は、まさに王妃役の「美輪劇場」。詩人が毒を飲んでしまった後の、王妃の激情と行動が圧巻。クライマックスに向かって昇りつめる二人の感情が、舞台中央の大階段を効果的に使う演出によって、より鮮明でドラマチックに描かれている。階段落ちそのものよりも、それに向かうプロセスがスゴい。

先行抽選発売や一般発売にことごとく外れたけれど、当日券まで粘って観に行った甲斐があった舞台だった。
98年に、美輪明宏の『椿姫』を観てから10年。それから、『毛皮のマリー』、『黒蜥蜴』、『葵の上』、『卒塔婆小町』、『愛の賛歌』、そして『双頭の鷲』。これで、美輪明宏のお芝居はコンプリートできたかな。

P.S.
劇場ロビーは、舞台を祝福する大物芸能人からの贈花でいっぱい!まるで、フラワーアレンジメントの展覧会のよう。
その中で、明石家さんまと大竹しのぶのお花が、仲良く並べられていました。誰の策略?

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by june_h | 2007-03-07 10:35 | 観劇 観戦 コンサート レポート | Trackback | Comments(0)