『トヨタの闇』 渡邉正裕・林克明 著 ビジネス社

タイトルからもわかるように、「世界のトヨタ」について、ネガティブなことが書かれています。
著者はMyNewsJapanの編集長。ちょっとヒダリ入ってる?

この本を読んで「トヨタは良くない会社だ」「大企業が労働者を搾取している」と思うのは簡単ですが、過重労働による社員の過労死や、製品の品質管理、労使問題などは、多かれ少なかれどこの会社にもあるはずです。
世界のトップ企業であるトヨタは、特有の「トヨタらしさ」で今日の地位を獲得したのだと思いますが、こうした栄光の影にある問題にも、たくさんの「トヨタらしさ」がある。
そう思いながら興味深く読みました。

トヨタの闇
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最初に挙げられているのはトヨタの広告費の多さ。ダントツで日本一!
これは何が問題かというと「広告費=口止め料」ということ。
日本のあらゆるメディアに広告費を出しているので、テレビも新聞も雑誌もトヨタを批判できない。なので、トヨタに対する世界的なデモがあっても、日本人だけが知らない、という状況が過去に何度もあったわけです。
このように、問題があったときに抑圧的な態度で臨む姿勢は、随所に見られます。

それから、過労死や休職者の問題。
トヨタは、必要なものを必要なときに必要な分だけ用意する「かんばん方式」が有名ですが、これは在庫を持たない効率的なシステムである一方、事故などのイレギュラーな事態に対処する余裕がまったくないシステムでもあります。
どんな状況下でも、常に通常どおりの運転を求められるため、社員達の「ラインを止める」ということに対する恐怖とプレッシャーは相当なもの。「周りに迷惑をかけてはいけない」と思うのに加えて過重労働なため、心身共に押し潰されてしまうのです。

このような状況下で過労死した社員の例が取り上げられていました。
残された奥さんが、労災認定を求めて係争中なのですが、元同僚達は会社に睨まれるのを恐れて口をつぐみ、豊田市も愛知県も訴えを却下・・・・・どちらも税収のほとんどをトヨタに依存しているだろうから、トヨタの不利益になるようなことはしないわな。

子会社いじめや、子会社の偽装請負は当たり前の如く横行。本社の辻褄合わせを子会社に押し付けるのは、少なからずどこでも見られることですが、法に触れていても隠すのはマズいでしょう。

しかし「実は欠陥車率99.9%」というタイトルには異論あり。
トヨタは販売台数が元々多いから、リコール台数が多いのはしょうがない。トヨタよりもリコール率やリコール実施率が悪いメーカーは結構ある。
むしろ、リコールの調査資料を出したがらない国土交通省がキモい。

それから、海外の工場で頻発するストライキ。組合潰しなんて、どの国の企業でもやってるのね。海外のトヨタの状況について、もう少し詳しく知りたかったんですが、取材費不足?でしょうか。最後にゴシップ的にちょろっと載っていた程度。

読みやすい本ですが、扇動的(ツリっぽい)タイトルや内容も見受けられますのでご注意を。

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by june_h | 2008-05-24 09:54 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)