『千年、働いてきました-老舗企業大国ニッポン-』 野村進 著 角川書店

古い会社や商店を、日本では「老舗」と言いますが、日本は、世界でも類を見ないほどの「老舗大国」なんだそうです。
創業100年以上の老舗は1万5千件!中でも、世界最古の企業と言われている建築会社の「金剛組」は西暦578年創業!・・・・・大化の改新よりずっと前。感動的です(^^;

千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン (角川oneテーマ21)

野村 進 / 角川グループパブリッシング


戦乱や政情不安が続く地域は、何百年も一つの組織が続くことは難しいので、ヨーロッパの老舗は意外と少ないそうです。お隣の韓国も、家を大事にするお国柄ではありますが、「三代続く店は無し」という言葉があるそうで、今ある財閥も、ほとんど戦後にできたんだそうです。また、中国人は、戦乱も多かったし、「家族と金しか信用しない」メンタリティなんだそうで、放蕩者のドラ息子に無理矢理、跡を継がせてダメになるケースも多かったとか。

落語に出てくる若旦那のように、日本でも老舗の放蕩息子はよくいるじゃん、と思いますが、そのへんは合理的で、娘が有能な婿養子を取って跡を継がせることで、会社経営を維持します。時々、変わり者の若旦那が、とんでもない発明をしてブレイクする例もありますけどねー(^^;;;日本は血筋を大事にするとはいえ、よく考えたら、徳川将軍家もその他の大名家も、家系図を見れば養子だらけですからね。老舗の「法則」として、会社維持の地盤を固めるのは、だいたい、三代目あたりの婿養子なんだそうです。

老舗というと、頑固な大旦那が「わしの目の黒いうちは絶対許さん!」とか言って、頑なに家業を守ろうとするイメージがあります。これは、ある意味当たっていて、ある意味ハズレています。というのは、老舗に共通して言えるのは、「分をわきまえることを大切にしていること」。本業とお客様を大事にし、度を越えた金儲けや投機に走らなかったこと。これ、歌舞伎の市川團十郎さんも、同じことをおっしゃっていました。
だからといって、伝統に固執していたわけではなく、時代の流れに応じて、ちゃんと変革もしているんですよね。合理的かつ柔軟なのがミソのようです。

だから、私は、今の株式会社という制度は、日本人?にとって、決して最上のものではないと思うんですよね。どうしても収益を株主から求められやすいから、リスクの高い研究・開発がしにくいし、社長や役員なんかの経営陣は、短期で入れ替わる場合が多いから、長期的スパンで会社が見られない。
だからといって、同族経営は良いかというと、それはそれでリスクはありますけどね。

ある老舗の社長が、座右の銘としていた「不義をして富まず」という言葉が印象的でした。
一流企業と言われる中には、中小企業の開発した成果を「合法的に」横取りしてしまう輩もいるそうです。その社長も、横取りされた一人ですが、「品が悪いので」と言って、特に訴えることもしませんでした。
そういう企業は、短期的には儲かるかもしれないけれど、周りの信用を失い、困ったときには誰も助けてくれないよ、と。
やっぱり、信用って大事!近江商人の「三方良し(買い手良し、世間良し、売り手良し)」。大事な考え方だと思います。

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by june_h | 2008-09-10 20:25 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)