「The Diver」@シアタートラム

何故、こんなにも女性というものを辱しめる?

野田秀樹が、能の「海人」「葵上」をベースに、イギリス人スタッフと共に創り上げた、全編英語の舞台。

■源氏・検察官:ハリー・ゴストロウ
■女:キャサリン・ハンター
■精神科医・葵:野田秀樹
■署長・頭中将:グリン・プリチャード


精神科医の元に、警察が一人の女を連行してくる。不倫相手の家を放火したOLのユミだ。

犯行を自供させようと、カウンセリングを重ねるが、彼女は毎日人格が変わる。ある時は桐壺更衣、ある時は夕顔、またある時は六条御息所。源氏物語の女性達の想いと、ユミの経験とがオーバーラップしていく。

着いてみたら最前列!でも、役者さんとの距離が近過ぎて恥ずかしい。
野田秀樹の口からおもむろに出たのは、クイーンズイングリッシュ・・・・・当たり前だよね。留学していたのはイギリスで、役者も皆イギリス人なんだから。
この芝居は、日本の古典がベースなので、日本人が日本語でやったとしても難しそう。

能では、よく、死者と生者が邂逅し、死者が思い出を語り出す。この舞台の場合、女が死者で、精神科医が生者だ。

語られる女達は皆、ただただ憐れで、寂しく、弱かった。
桐壺更衣は、天皇の威光を笠に着る妾であり、夕顔は、自尊心が低くて男の愛情を乞うだけの頭の弱い女であり、六条御息所は、男の勝手に翻弄され、嫉妬に苦しみ、生き霊となって女達はもちろん、自分の子供にも手をかけていく。

六条御息所とエリの経験が交錯して、子供を堕ろすシーンでは、『古事記』の「ホトツキテシニタマヘリ(陰突きて死に給へり)」の一説を思い出したが、舞台で起こった事は、それよりもずっと生々しい。
六条御息所というより、ギリシャ神話に出てくる女王メディアのよう。

血まみれの彼女に、葵(正妻)は、女性にとってこれ以上に無いくらいの屈辱的な言葉を浴びせる。全編英語の芝居で、このセリフだけが日本語。このセリフを肝にするために、全部英語にしたのではないかと思うくらい。

この芝居に出てきた女性キャラは皆、女の弱さだったり醜さだったり愚かさだったりの固まりだったから、好きになれず、かといって蔑むこともできず。
女なら、多少なりとも誰もが持っているものだし・・・・・野田秀樹の舞台って、見終わった後はどんより重たくなるものだけど、今回はちょっと複雑でした。

P.S.
どうせ最前列で観るなら、キレイな女優さんが良かった(笑)。

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by june_h | 2008-10-01 20:52 | 観劇 観戦 コンサート レポート | Trackback | Comments(0)