『歴史のかげにグルメあり』 黒岩比佐子 著 文藝春秋

鎖国政策を解いたことにより、幕末から明治・大正にかけて大きく変わった日本の食生活。
この本では、歴史を陰で支えた食に関わるウラ話が紹介されています。

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最初に登場するのは四隻の黒船で太平の眠りを覚ましたペリー提督。幕府が用意した、純和風懐石料理がお気に召さなかったようで「今度は肉を食べさせてね」と言い残して帰ったそうな。

反対に、黒船で洋風フルコース料理の歓待を受けた大名達は、ワインや肉の美味しさにすっかりいい気分♪へべれけに酔っぱらって「おまえらはイイヤツだ!」と、アメリカ人士官に絡む始末・・・・・忘年会のサラリーマンみたい(^^;

食事内容が交渉を大きく左右することを知った幕府と明治政府は、積極的に西洋料理を取り入れていきます。
当時のメニューも掲載されていますが、純和風から洋風へ、さらには和洋折衷に変わっていったのがよくわかります。

特に大変だったのは明治天皇でしょう。女官達に囲まれて、御簾の奥で暮らしてきたのに突然、外交の矢面に引っ張り出されることに。
慣れない肉を食べ、ナイフとフォークの使い方を覚え、各国王族を接待して・・・・・生まれたときからならまだしも、突然まったく違う習慣を強いられたわけで、そのストレスたるや、いかばかりであったかと思います。
しかも、訪日していたロシア皇太子が暗殺されそうになったとき(いわゆる大津事件)、大国ロシアが攻めてきては大変!と、人質になる覚悟で単身、ロシアの軍艦での午餐会に参加。ご飯を食べるのも命懸けです(- -:

他にも、伊藤博文はさすが、長州出身なだけあってフグが大好きだったとか。グルメな西園寺公望は、わざわざフランスからミネラルウォーターを取り寄せて飲んでいたとか。

私が一番気になったのは、村井弦斎
小説家であり美食家でもあった彼は、「大正の「美味しんぼ」」とも言うべき「食道樂」という小説で大ブレイク!自宅では、お当時珍しかったレタスやトマトを栽培したりして自給自足をしていたので、多くの料理研究家や文化人が出入りするサロンになっていました。

ところが、ある時から突然、玄米などの粗食に変わったと言います。この本では何故かは書かれていなかったので、調べてみるとやっぱり!病気になったんですね。それからは、食餌療法を研究するようになったようです。最後には、生きた虫まで食べるようになったらしい(^^;

美味しいご飯は、人の心をなごませ、マズいご飯や慣れないご飯は、ボディブローのように、ストレスになる。
たかが食事、されど食事、ですわねー。

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by june_h | 2009-01-10 11:29 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)