「生きていてもいいかしら」 田口ランディ 板橋興宗 著 東京書籍

作家の田口ランディと、元 大本山總持寺貫首・曹洞宗管長の板橋興宗との対談。

「生きる意味を教えてください」でも、この方と対談していたのですが、板橋さんが禅僧だからなのか、なんだかつかみどころのない会話で、消化不良な感じだった私。
そしたら、ランディさんもそう思っていたみたいで、改めて板橋さんと対談したかったみたい。でも、これでスッキリ納得!というわけでは、全然無いと思います。

ランディさんは、周囲の方の死に接してきて
「善良な人が先に死ぬという理不尽さ」
ということを、盛んに言っています。

私は、その人の良し悪しで死に方が決まるわけでは無い(そもそも、人の良し悪しって、誰も決められないと思うけど)、どんなに良い人だろうと悪い人だろうと、死ぬときは死ぬし、生きるときは生きる、と思っているけれど、この言葉で一つ、思い出したことがありました。

私には、小学生の時から付き合いがあった、障害者の姉妹がいました。
一緒に旅行したり、買い物に行ったり、病院で介助したり。私は彼女達からたくさん、素晴らしい経験をもらいました。
彼女達の家族や、ほかの障害者の方々とハワイに行ったときのこと。
免税店で買い物をしていて、姉のミッちゃんのワガママが爆発。高い洋服をたくさんねだって、ついには泣き出す始末。さすがに温厚な私も「ちょっとアンタね!」と、声を荒げてブチ切れました。
ところが、一緒に付き添いで来ていた友達のマチさんは、彼女ではなく、私を制したのです。
なんで?私が間違ってるっての??私は理不尽さに対する怒りでいっぱいでした。

その日の夜、私とマチさんは二人で、ハードロックカフェに行きました。
マチさん自身にもダウン症の息子さんがいて、これでもかってくらい過酷な出来事を次々経験している人。でも、マチさんは、いつも春風みたいに微笑んでいます。
やけに強いスクリュードライバーを飲みながら、いつしか昼間の免税店での話になりました。
マチさんは言いました。

「お母さんはね。ミッちゃんのワガママが嬉しいのよ。
重度の障害を持っている子は、長く生きられない。養護学校の子達を見ているとわかるんだけど、おとなしくてイイ子ほど、先に死んでいくの。
だから私達、ワガママは彼女の生きる力だと思っているから。お母さんは、ミッちゃんに生きて欲しいから、何でも言うこと聞いてあげるのよ。
それから、私達、障害者の母親は、多かれ少なかれ、子供を五体満足に産んであげられなかった負い目がある」

なぜだ。
この人達が、何をしたと言うのか。
こんなに苦労しているのに、更になんで罪悪感なんか抱えなきゃならないんだ。
どうして、こんなふうに生きて、死んでいかなきゃならないのか。

・・・・・そんな疑問?でいっぱいになるより早く、あの時の私は、酔いが回ってすっかりイイ気分になってしまい、カウンター席で仲良くなった、イタリア人のキレイなお姉さんと、彼女のハゲ頭の彼氏と4人で、楽しく盛り上がって一夜を過ごしました。

ミッちゃんは、ハワイ旅行から数年後に亡くなりました。棺には、あの時ワガママ言って買ってもらったドレスが入れられていました。
今はもう、あの時ハワイで、私が車椅子を押させてもらった人達は、みんな亡くなった。
みんな、私と同じくらいか、若かった。
みんなと一緒に行った、タンタラスの丘。もう一度行きたいな・・・・・。

三谷幸喜の「オンリー・ミー」を読むと笑っちゃうから、この本を電車で読むことにしたのに、今度は昔のことを思い出して、涙が止まらなくて。
やっぱり私はアヤシイ人になっちゃった(^^;

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by june_h | 2009-02-12 20:14 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)