「山姥、山を降りる」 山口素子 著 新曜社

久しぶりに読んだなぁ、心理学関係の本。

著者は、ユング派の精神分析家。ユング派の人たちは、神話や民話を精神分析学的に解釈するのが好きなのよね、ということで、この本も、日本の民話にしばしば登場する「山姥」の人物像について論じています。

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山姥は、人間をバリバリ食べてしまう恐ろしい魔物として描かれることもあれば、人間を助ける福の神や慈悲深い母親として登場することもあり、多様な性格をしていることがわかります。

私が「山姥」で連想するのは、「千と千尋の神隠し」に出てくる湯婆婆(ユバーバであってヤマンバではないけれど)。彼女は、魔力を使って千尋の名前を奪う魔女であり、湯屋を取り仕切る女社長であり、赤ん坊を溺愛する母親であり、と、いろいろな面を持っているのですよね。

ロシアの民話に見られるババ・ヤガも、山姥と同じく多様な面を持っているし、突き詰めていけば、破壊と創造の力を持つインドのカーリー女神や、大地母神など「グレートマザー」のイメージまで行き着くそうな。
要は「子供を産む」という創造する行為の補償として、何もかも飲み込んでしまう恐ろしいイメージを背負うことになったのだと。
でも、これって、特別な魔物や神様に限った話じゃなく、一般の女性にも言えることで。

面白かったのは「飯食わぬ女房」の考察。

ある男が「ご飯を食べない嫁が欲しい」と願っていると、本当にそのとおりの女性が現れた。でも、家の米がどんどん無くなっていくことを不審に思った男が、ある日、部屋の奥の女性を覗くと、彼女の髪の毛の間から口が現われ、どんどん米を食べていた。男に見られたことを知った女性は、山姥となって男を取って食おうとするが、最後は男に殺されてしまう話。

これは、「何も食べない」という「ありえない理想」を女性に押し付けた代償として、恐ろしい影を見ることになったということ。著者は、この「飯食わぬ女房」の姿に、摂食障害の女性を見ます。
摂食障害の女性は、「ありえない理想的な体重」を追い求めたり、両親から「ありえない理想」を押し付けられたりして苦しみ、精神のバランスが取れなくなって、拒食と過食を繰り返すのだと言います。
これで思い出すのは、ホメオパシーのイグネシア(Ign.)のレメディ。イグネシアは、摂食障害のレメディで、「高すぎる理想」というテーマを持っているんですよね・・・・・余談ですが、ホメオパシーの「日常的な病気」のセルフケア講座で、「摂食障害」が出てきて「接触障害って、頭痛腹痛レベルのメジャーな病気なの!?」と、ショックを受けたことがあります。

私が好きな山姥の話は「ちょうふく山のやまんば」。人間が、適切な行動を取ったので、山姥が福をもたらす話。普段の人間関係もそうですよね。ちゃんと挨拶と感謝とお礼をすれば、相手もそれで返してくれる、はず!?

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Commented by Ruri at 2009-05-08 23:56 x
こちらでは初めまして。先日、御茶ノ水辺りでスンドゥブをご一緒した者です。こんばんは。
飯食わぬ女房のお話、こんなふうに読み解かれると面白いですねえ。なるほど~。
「イグネシア」という名前になぜか惹かれてウェブを検索しましたら、このレメディは失恋にも効くとか。手放すことを助けてくれるってことかな。ホメオパシーは本当に奥深くて面白いですね。またいろいろお話を聞かせてくださいね。
Commented by june_h at 2009-05-09 06:42
コメントありがとうございます!先日はどうも。こちらこそ楽しかったです。
イグネシアは通称「別れのレメディ」と言われていて、死別・離別に必要なレメディなんですよ。わりとメジャーなレメディで、他には、顎関節症なんかにもいいです。ご興味があれば今度差し上げます(^-^)
by june_h | 2009-05-07 21:04 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(2)