『刑務所通いはやめられねぇ-笑わせて、泣かせる落語家慰問-』 桂才賀 著 亜紀書房

刑務所・拘置所の慰問を25年も続けている落語家、桂才賀さんのエッセイ。

刑務所通いはやめられねぇ 桂才賀
刑務所通いはやめられねぇ 桂才賀
奥さんの実家に帰省中、ヒマだからということで、刑務所の慰問を思いついたのがそもそものきっかけ。それから、様々な縁が続いて、日本全国で慰問をすることに。
慰問は、基本的にすべてノーギャラ。交通費も宿泊費も自腹。それでも「面白そうだ!」ということで、落語家や寄席芸人の有志が続々と集まり、「芸激隊」を結成。現在も、精力的な活動を続けていらっしゃいます。

最初は勝手がわからなくて、受刑者たちの反応もイマ一つだったけど、場数を踏み、徐々に刑務所ネタなどを取り入れて工夫することで、大好評の慰問に!でも、本人曰く
「才賀師匠の慰問を拝見するのは、二度目になるんですが・・・・・ってのは勘弁してもらいてぇんだ。二度目、三度目は、どうかシャバの席で、今度は有料で、お願します」

「芸激隊」の一人、元相撲部屋で修業したことのある三遊亭歌武蔵さん。彼の高座、私も経験があるんですが、私には大味で、好みのテイストではないな~って思っていたんです。でも、慰問でやってる「相撲取りの○○○○」は、下ネタ満載で面白そう(笑)。受刑者にも大人気だとか。
今では慰問のベテランの歌武蔵さんでも、大失敗しちゃったことが!・・・・・というのは、死刑囚がいる前で「子ほめ」をやっちゃった・・・・・何が失敗かというと、この話のサゲは「首吊りたい」で終わるんです(笑)。噺の途中でそれに気づいた歌武蔵さんは、高座で瞬間冷凍(^^;でも、死刑囚は、大爆笑だったそう(^^;;;

慰問するのは、受刑者たちだけではありません。
刑務官は、最も寿命が短いと言われている公務員。それだけ、ストレスが多いのです。夜勤も多いし、最近は、収容人数も増え、世間からのバッシングなどもあり、ますますギスギスしがち。慰問を続けているうちに、刑務官とも仲良くなって、彼らの苦労もいろいろ聞くんだそうです。中には、芸能人に慰問に来てもらうために、自腹を切ってギャラをねん出する所長さんもいるそうです。

「篤志面接委員」である師匠は、落語をするだけではなく、少年院でカウンセリングもしています。彼らの多くに「おふくろの味と聞いて思い出すものは?」と聞くと「500円玉」の絵を書きます・・・・・小さいときからご飯を作ってもらってなくて、コンビニやファストフードしか食べてこなかったということなんです。もちろん、罪を犯した本人は悪いし、責任はあるのですが、ネガティブな状況に、ほんの少しの弱さが加われば・・・・・という背景があるのです。

才賀さん曰く「道楽でやってんだ」ということですが、本当に、素晴らしい「道楽」だと思います。

表紙は、紙切りの大師匠、林家正楽さんの切り絵。刑務所での慰問の様子をチョキチョキしてます。高座の描写の細やかさはサスガです!

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by june_h | 2009-06-11 20:33 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)