「見えないデザイン サウンド・スペース・コンポーザーの仕事」井出祐昭 著 ヤマハミュージックメディア

古くは新宿駅の発車メロディ、最近では表参道ヒルズの音響を制作・プロデュースした、井出祐昭さんのエッセイ&インタビュー集。
音や音楽に関するエピソードは、さまざまな示唆に富んでいて、興味深く読みました。

見えないデザイン 井出祐昭
見えないデザイン 井出祐昭
井出さんの肩書きは「サウンド・スペース・コンポーザー」。
一つのプロジェクトで、音のサンプリングから音響機器の選定・設定、人員の手配、見積りまで、幅広く担当します。

音響の仕事というと、クリエイティブでカッコ良さそうなイメージがありますが、理想の音を求めて、秘境の奥深くで命を危険にさらしたり、地味なシミュレーションを繰り返したり、泥臭い作業の積み重ね。

そんな中で、彼が一流のプロジェクトとアーティストの仕事を任されているのは、目的意識がはっきりしているということと、何より音に対する深い洞察力があるからです。

彼が音について話すとき「最初はそれぞれの音が人見知りをして馴染まない」など、まるで生き物を扱っているよう。
また「音」という、見えない波動やエネルギーに敏感なのはもちろん、プロジェクトに関わる人間のモチベーションや、音を聴く人の気持ちなど、「心の波動」もとても大切にしています。
なので、例えば、イルカの鳴き声をサンプリングするとき「録ってやるぞ!」と意気込むだけではうまくいかなくて、イルカに「良い音を録らせてね」とお願いするように、感謝するようにすると、うまくいくそうです。
また、彼曰く、「良い音」というのは、身体に訴えかける「肉感的な音」か、宗教音楽のような「聖なる音」なんだそうです。
世の中に広く知られている音楽や、昔から使われている音って、そのどちらかだったり、どちらの要素もあったりしますよね。

最近では、音楽療法にも取り組んでいる井出さん。
音楽療法には「同質の原理」と呼ばれる理論があります。
悲しいときは、明るい音楽を聴くのではなく、気持ちに合わせて悲しい音楽を聴くと、気持ちが早く上向くんですって!・・・・・これってホメオパシーの「同種の法則」と同じですね。

音に関する技術的なノウハウも多く紹介されているので、音の仕事に携わっている人も、そうでない人も、楽しめる本です!

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by june_h | 2009-06-30 20:35 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)