カテゴリ:本 読書 書評( 559 )

自分が死にかけた生々しい話と、その時の赤裸々な心情が延々と書かれているはずなのに、あまりにも冷静で、筆致の温度があまりにも低くて驚きます。
二人称に「諸君」を使う女性に初めて出会いました(^^;
彼女は生物学的には女性だけど、中身は別の生き物が入っています。

他者という病

中村 うさぎ/新潮社

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「孤独」と呼ぶには俗っぽ過ぎる。
文章から感じられるのは、純粋で透徹した彼女自身。
何より言葉を偽り、言葉を汚されることを嫌う、彼女だけの世界。

「さぁ、君はどちらを選ぶ?偽りの楽園か、真実の地獄か?」

そう自身で問いかけて、エデンの園のヘビに騙されるより先に、進んで知恵の実を食べ、喜んで「自意識を知り尽くす」地獄に挑む彼女の潔さ。

こんなにも自意識の強い人が、自分でなくなっていく感覚をとことん経験しなければならないなんて、地獄の責苦より恐ろしいはず・・・・・。

私も10年前に死にかけて、臨死体験して、自分が自分でなくなっていく感覚を味わったけど(笑)、「孤独だった」までで思考停止した分、彼女よりマシかもしれない(^^;
あれからもう10年以上経ったのに、その時以来の自分の人生がロスタイムのように思える感覚が拭えない。
彼女のように、とことん曝け出して抉り出す勇気は、私には無い。

そして、あとがきのオチの怖さは何!?
怖すぎる・・・・・自意識に向き合った人間は、とことん自意識に向き合う人生を味わうんだなぁ。

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by june_h | 2017-04-20 08:16 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

二人が語る聖書は、まるでギリシャ神話のよう。
神様は理不尽で嫉妬深く、人間達も、肉親同士で殺し合ったり、近親相姦もあったり。
佐藤さんは、キリストが十字架にかけられた後の、弟子達の権力争いが面白いと仰っていました。さすが(^^;

聖書を読む

中村 うさぎ,佐藤 優/文藝春秋

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パウロは、元々ユダヤ人で、キリスト教に改宗したんですけど、キリスト教に感化されたというより、ユダヤ人コミュニティにいられなくなるような悪いことをしてしまったからではないかと(^^;
うさぎさんの解釈、面白い。

二人で『ヨハネの黙示録』についても語っています(あんなワケ分からないの、よく語れるなぁ)。
佐藤さんが言うには、「チェルノブイリ」ってニガヨモギを意味する言葉からきた地名だそうで(正確にはちょっと違うヨモギらしいですが)、聖書の黙示録に
「第三の御使がラッパを吹き鳴らすと、ニガヨモギというたいまつのように燃えている大きな星が落ちて、水の3分の1が苦くなり、そのため多くの人が死ぬ」
という文があって、原発事故当時の米ロ首脳会談でゴロバチョフがこの預言に言及したんだそうです。

聖書って、正論とか建前とかしか書いてなさそうでツマラナイというイメージだったのですが、二人の話を聞いていると、面白そうです(^^

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by june_h | 2017-04-11 20:46 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

中村うさぎさんって、本当に面白い人。
名だたる学者に対談相手として指名されてたりするんですよね。
頭の回転が早いから、返しが的確。
ミッションスクール出身だからか、聖書に詳しい。人に言われたからではなく、自分の意志で読んでいて、ちゃんと面白さ?を分かっている。
彼女の話す聖書は面白い!

聖書を語る―宗教は震災後の日本を救えるか

佐藤 優,中村 うさぎ/文藝春秋

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佐藤優は、友達からずっと勧められていたのですが、なかなか手が出なくて。
聖書&うさぎさんという切り口から、やっと入場できました。
この方も面白いんですね!
神学者にして元外交官。
宗教の切り口から世界を見られる人、絶対に必要ですよね。

彼曰く、イスラム教の聖書だと、キリストが復活する時にはイスラム教徒として復活するらしい。
キリスト教徒とイスラム教徒は、聖書を同じくする「啓典の民(←イスラム教側の言い方だけど)」だけど、仲が悪いはずですよね(^^;

うさぎさんの、アダムとイブの解釈が面白かった。
アダムとイブの原罪はセックスではなく「自意識」ではないかと。
だって、もし、そうなら、楽園にいる動物だってヤりまくっているわけだから、動物達だって追い出されなきゃならないでしょう、と。

知恵の実を食べた後、お互いが「違う存在」だって知ってしまった。
そこから全ての苦しみが生まれた。
それが原罪。
スゴく納得!

この二人の会話、面白いので、続編?も読みました。
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by june_h | 2017-03-31 18:33 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

CDが売れない、売れているCDの曲を知っている人が少ない・・・・・。
そんな昨今の日本の音楽シーンについて分析した本。

ネットで個人がライブやCDの感想を自由に発言できるようになった昨今、音楽ライターの存在や立ち位置について、私は日頃から疑問を持っていました。
でも、この本は、長年、著者が培ってきた音楽業界のキーパーソンから聞いた意見や、音楽関連の膨大な記事やデータの丹念な客観的分析に基づいて書かれているので、これぞ音楽ライターしか書けない本!だと思います。

ヒットの崩壊 (講談社現代新書)

柴 那典/講談社

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昔は、CDの売上枚数と人気は一致していたし、オリコン上位の曲は、誰もが知っていました。
でも、昨今は、CDに握手券がついていたり、SMAP解散を阻止したいファンが、CD購入を呼び掛けたり。
人気そのものというより、「投票」「意思表示」の意味合いが強くなってきたわけです。

代わりに、「カラオケでよく歌われる曲ランキング」を見ると、誰もが口ずさめる曲ばかり。
この「定番曲」は、数年間変わらないので、CDがよく売れていた90年代に比べると、1曲の寿命が長くなったのが分かります。

CDが売れなくなったのは、配信ダウンロードが増えてきたのも一因ですが、両方を足しても、CDが最も売れていた98年には及ばず。
代わりに、音楽フェスやライブの売上が伸びて来ているんだそうです。

私は小さなライブハウスによく出入りしていますが、名を知られていなくても、実力があるミュージシャンはたくさんいます。
今は、長くライブで実力をつけた後、陽の目を見るようなパターンもあるようです。
CDが売れていた頃が「バブル」で、今は本来の音楽の楽しみ方に近くなっているのかも。
そんなふうに思いました。

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by june_h | 2017-02-19 10:43 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

歴史を辿りながら、香と日本人の関わりを語っている本。

香と日本人 (角川文庫)

稲坂 良弘/KADOKAWA / 角川書店

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香木は日本では採れないので、輸入しなければ手に入らない、高価なものでした。
なので、上流階級の人しかなかなか手が出ないものでしたし、使うには教養も必要でした。時代の権力者達は高価な香をこぞって集めたのです。

日本の古典には、香がよく登場します。
歌舞伎の『仮名手本忠臣蔵』では、伝説の香「蘭奢待」が重要な役割を果たしています。

『源氏物語』は、香を中心に読むと、全然違ってくるんですね!
入内する明石中宮のために、光源氏の女達が、自身の財力と教養を賭けて贈った香。
特に、生母の明石の上が贈った香からは、母としての愛情を感じます。

そして、不義の子を宿した藤壺女御と光源氏との対面シーン。
極楽のような馥郁たる香り漂う中、二人の心は地獄にいたのだと・・・・・。
香を使うことで、二人の心情が余計に際立つものなのですね。

ヨーロッパでは、燃やす香ではなく、もっぱら香水が使われます。
香水の匂いを練り込んだ香は、今では珍しくありませんが、発明したのに日本人が関わっているのですね。

私が香で思い出すのは、高校の修学旅行で行った神戸。
ジャイナ教の祭壇に迷い込んでしまって(笑)、フロア全体、香の匂いでいっぱいでした。

そして、パリの地下鉄。
乗客それぞれ香水を付けているので、いろんな匂いがします(^^;
風景は写真やネットで見られますが、香りはその場所に行かないと分かりませんからね。

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by june_h | 2017-02-14 15:13 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

一語では翻訳できない言葉を集めた絵本。
この本を読んでいると、言葉はまさしく「文化のカプセル」だよなあと、しみじみ思います。

翻訳できない世界のことば

エラ・フランシス・サンダース/創元社

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いくつか気になった言葉を。

■モーンガータ/スウェーデン語
「水面にうつった道のように見える月明かり」

「スパウザ小田原(現ヒルトン小田原)」の部屋から夜の海を眺めたときのことを思い出しました。
まさしく、美しいモーンガータが見えました。


■ピサンザプラ/マレー語
「バナナを食べるときの所要時間」

東南アジアはバナナの種類が豊富で、生活に欠かせない食べ物だと知っていますが、どういうシチュエーションで使うんでしょう??
ちなみに、「ピサンザプラ」は2分くらいだそうです。


■グルファ/アラビア語
「片方の手のひらに乗せられるだけの水の量」

アラビア語は砂漠地方で主に使われている言葉なので、どれだけ水を大切にしているか、この一語で伝わってくるかのようです。


■ヤーアブルニー/アラビア語
「直訳すると「あなたが私を葬る」。その人なしでは生きられないから、その人の前で死んでしまいたい、という美しく暗い望み。」

スゴい!
この一語で、愛に含まれているエロスとタナトスを表現している・・・・・。


■ポロンクセマ/フィンランド語
「トナカイが休憩なしで、疲れず移動できる距離。」

トナカイが生活に密着しているフィンランドならではの言葉で面白い!
ポロンクセマは7キロ半らしいです。


■アキヒ/ハワイ語
「誰かに道を教えてもらい、歩き始めた途端、教わったばかりの方向を忘れたとき。」

破滅的に方向音痴の私は、よくこの状態になります(笑)。
親切に教えてくれても、最初の方しか覚えてなくて、また他の人に聞けばイイやと思っている(^^;


■ドラッヘンフッター/ドイツ語
「直訳すると「龍のえさ」。
夫が悪い振る舞いを妻に許してもらうために贈るプレゼント。」


日本語でも「鬼嫁」とか言いますが、奥さんが怒ると怪物になっちゃうのは、ドイツも同じですね(^^;


■スグリーブ/ゲール語
「ウイスキーを一口飲む前に、上唇に感じる妙なムズムズする感じ。」

ゲール語はアイルランドなどで使われていますが、ウイスキーの名産地ならではの言葉ですね!
お酒に弱い私にはイマイチ実感できない感覚ですが(^^;


日本語からは「積ん読」「木漏れ日」などが紹介されています。
日本語にも説明が難しい言葉がたくさんありますね(^^;

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by june_h | 2017-02-01 21:55 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(1)

イスラーム法学者の中田先生と、中東関係の国際政治学者の内藤正典さんとの対談。
この本のタイトルは、なぜ「講和」なんだろう・・・・・と思いましたが、よくわかりました。

イスラームとの講和 文明の共存をめざして (集英社新書)

内藤 正典 / 集英社



イスラム国がやっていることは、他の宗教に対する攻撃ではなくて、ムスリム間の分断を狙っているという話をしていて背筋がゾッとしました。
世界中で分断が起きている・・・・・。

中田先生が思うに、今はスンナ派もシーア派も、お互いの派閥をまとめられるリーダーがいないそうですね。
この混乱、長く続きそうです・・・・・。

米英がイスラム国に手を焼いている隙に、中国が中東での勢力を拡大しているのは知っています。
パキスタンに駐在していた友達からいろいろ聞いていましたから。

中国とトルコって歴史的に仲が悪いんですね。
よく考えたら中国をたびたび脅かした「突厥(とっけつ)」ってトルコのことですもんね(^^;

中東関連は、普通に流れているニュースを見るだけじゃ、報道されないことがとにかく多すぎるし、見方があまりに偏っている・・・・・いろいろ大丈夫なのかな。
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by june_h | 2017-01-15 11:08 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

桜井さんの本、面白いです(^^)
こんなに神様や御眷属様方とコミュニケーションできたら、神社仏閣に行くのが楽しみになりそうですね♪

神社仏閣 パワースポットで神さまとコンタクトしてきました (ひっそりとスピリチュアルしていますPart2)

桜井 識子 / ハート出版


「ウチの神社を紹介して!」と、売り込んできた源九郎稲荷神社の狐様の話、面白かったです♪
お稲荷様の見習い子狐達は、たくさんの人が参拝に来ないと、修行できないんですね(^^;;;

ご神木には抱きついちゃいけないんですね。
ご神木にとって、私のエネルギーは虫みたいなものだと(^^;

箸墓古墳に葬られている巫女さんが教えてくれた話、興味深かったです。
古代、巫女が亡くなると、死後、力を封じる目的で、遺体を傷つけていたのですね。
神を身体に降ろす巫女の遺体は、神の宿る腹(子宮)を傷つけ、祈りを捧げる巫女の遺体は、手を切り落とすという・・・・・。

金刀比羅宮の神様は、大事なのは
「誰かのことを「想う」気持ち」
なのだと仰いました。

アイドルとかでもいい。
たとえ想いが届かなくても、その気持ちを持っていることを肯定してもらえるなら、私も嬉しいです(^^)

松下幸之助が信仰していたという、椿大神社にも行ってみたいですね♪
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by june_h | 2017-01-11 14:09 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

ラスベガスで長年カジノディーラーを務めている著者の経験が書かれた本。

運を味方にする カジノで一晩10億勝つ人の法則

片桐ロッキー寛士 / 幻冬舎


ディーラーって、てっきり客からお金を巻き上げるのが役割だと思っていたんですが(笑)、逆なんですね!

お客さんにそれとなく賭け金を上げるタイミングを教えたり、負けが込まないように、潮時を知らせたり。
お客さんが買って喜ぶと、また足を運んでくれるし、チップも弾んでくれるからだそうです。

ギャンブルに勝つ人負ける人の特徴も興味深い。

ギャンブルが上手な人は、勝っても負けても長居しないんだとか。
大勝ちする人は、大負けしている経験もあるんだそう。
ハイリスクハイリターンということですね!

面白いと思ったのは、靴を手入れしていない人と、チップをいつも数えている人はギャンブルに勝てないということ。
経験則から気づいたそうですが、子役出身の内山信二くんも同じことを言っていました。
靴の汚ないディレクターは出世しない、と。
だから、靴のキレイなディレクターには媚びて、汚ないディレクターのことはいじめていたんだそうです(^^;

マナーの悪い客やネガティブなことを言う客も嫌われるそうです。
場の雰囲気を悪くしてツキを落としてしまう客を「クーラー(Cooler)」と呼ぶんだとか。
楽しまないと、ツキは来ないんだそうです。

私はギャンブルは向いていないと思うので、1万円を賭けるくらいなら、それで美味しいものを食べに行った方がイイです(^^;
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by june_h | 2017-01-07 20:48 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

西原理恵子さんによるお悩み相談集。
今まで読んだ悩み相談の中で、一番役立つと思いました!

生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント (文春新書 868)

西原 理恵子 / 文藝春秋


悩み相談って、正論を吐けばキレイに丸く収まるのかもしれないけど、正論で済むなら相談者は相談してきませんよね。
むしろ、正論じゃ納得できないから、正論と向き合って行き詰まってしまったから相談してくるんです。
正論だけで生きられるなら幸せですけど、そうもいかないですもんね。

彼女の答えは正論じゃない。
「腑に落ちる」感じ。
身体で納得できるんです。

自分自身の力で、必死で生き抜いてきた人から、「とにかく生き抜け」と、どの答えからも聞こえてくるかのようです。
特に仕事に関する悩みに対しては、ヘタなプライド捨てて、生きることを考えましょうというメッセージにあふれています。

恋愛相談は、ミもフタもなくて笑えるものもあるんですけど(^^;
恋愛って、コミュニケーションの最たるものだから、悩み出すとキリないですよね。

「元カレの結婚にモヤモヤする」
という質問には、
「今の自分が幸せじゃないからそう思うんでしょ。幸せだったら、そんなこと、ヘとも思わないわよ」
・・・・・鋭い(^^;;;

西原さんの漫画も好きです♪
他のも読みたい!
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by june_h | 2017-01-03 14:44 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(2)