カテゴリ:本 読書 書評( 559 )

鴻上尚史が主宰している舞台を観に行くと、ほかの演劇のビラと一緒に、必ずあるものが配られます。
鴻上尚史の思いが綴られた、大学ノートのコピー。それが「ごあいさつ」です。この本には、1981年の第三舞台旗揚げ公演から、2004年の『ハルシオン・デイズ』までに配られた「ごあいさつ」が収録されています。

鴻上尚史のごあいさつ―1981‐2004

鴻上 尚史 / 角川書店


私が初めて「ごあいさつ」を劇場で受け取ったのは、この本の最後にある『ハルシオン・デイズ』から。以来欠かさず、鴻上さんのお芝居と一緒に、この「ごあいさつ」を楽しみにしています。
気づけば、本編よりも「ごあいさつ」を楽しみにしている自分がいます(笑)。なぜかはわかりませんが、この「ごあいさつ」を読んで、「鴻上さんと結婚したい!」などと思ってしまいました(^^;;;

「エッセイでは、作者の恥ずかしいことは意識的に隠されてしまう。でも、芝居や小説は、作者の無意識的な部分が出てくる。だから面白いんだ」
とは、私の知り合いの言葉ですが、鴻上さんに限って言えば、エッセイのほうが芝居よりも自分が出てます(笑)。こんなことまで書いちゃっていいのかしらん、と、こっちがドキドキしてしまうほど。だから面白いんですけどねー。

最初のごあいさつが書かれてから、まだ本に収録されていない現在までのごあいさつを合わせると、四半世紀以上経っているのですが、鴻上さんの考えていることは、ほとんど変わっていません。
ミもフタもないくらい大雑把に言えば、愛ってなんだろう?とか、生きるってタイヘンだ!とか、ありきたりな内容だけれど、一つ一つの言葉が深くて「うん、わかるわかる」って納得しちゃう。鴻上さんのお芝居や本を読んでいると、昔から私のことをよくわかってくれている人と、ひとしきり話したような爽快感が得られるのです。
でも、そう思うのは私だけではないはず。彼の言葉が多くの人の気持ちに響くのは、きっと、彼が何事も真面目に真正面から全身でガーッと受け止めて、いっぱい傷ついて、その結果手に入れてきた言葉達だからだと思うのです。ちょっと、説教臭く感じてしまう箇所もありますが、彼のご両親は、共に教師だったということで、「芸風」と思いませう。

失恋したり、受験に落ちたり、何かに挫折したことのある人なら、彼の一つ一つの言葉の意味が、この本の面白さが、きっとわかるはずです(笑)。

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
[PR]
by june_h | 2007-04-22 20:10 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

私のブログタイトルは、この野村監督の言葉から拝借したものです。「ただバット振ってるだけじゃダメだ。野球は頭を使わないと!」というような意味で監督は使われていると思うのですが、私はまた別の意味で、自分の肝に銘じる言葉として使わせていただいてます。

野村監督は、自分の言葉を持った偉大な野球選手です。
自分には、王貞治や長嶋茂雄のようなカリスマ性も、特異な身体能力もない・・・・・自分の限界、「壁」を認識した所から、彼は初めて自分の頭で考え、自分の言葉を持つようになりました。そして、スコアブックの寄せ集めでしかなかった試合のデータを独自に分析し、その分析結果を基に、戦略を練って選手達に実行させたのです。野村監督のおかげで、日本のプロ野球のデータ分析力は、飛躍的に発展したと思います。

確かに、人間的な魅力や人を動かす力は、王や長嶋や星野に比べて弱いかもしれません。意地汚いほど勝ちにこだわったり、ブツブツ愚痴っぽかったり、選手を褒めるのが下手だったりしますから。阪神の監督時代は、それがモロに出てしまった感じ。でもそれも、彼の「芸風」に思います。

最近では、楽天の監督をされていますが、田中将大選手に注目が集まっています。野村監督の下で、彼がどんな風に成長するか楽しみです。著書では「いくら能力が高くても、1年目の新人投手をいきなり一軍に出すわけにはいかない。じっくり育てていかなければ」なーんて言ってましたが、今の楽天の状況や彼の人気を考えると、そういうわけにいかないでしょうね。

それにしても、日本のプロ野球界は人材不足なんですかねえ。王も長嶋も星野も野村も高齢で、病気になるまで酷使されて・・・・・次に続く人がなかなか出てきませんね。最近、プロ野球全体が地盤沈下気味で、メジャーリーグや六大学野球に押されてしまっていて・・・・・今後が心配。


にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
[PR]
by june_h | 2007-04-21 18:07 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(2)

「この子らに世に出してもらって、この子らに潰されるんや。おれらのブームは、そう長くはつづかへん」

自分を一目見ようと熱狂するお客さん達を前にして、ふと中田カウスの頭に浮かんできた詞。
当時は漫才ブームのまっただ中。うめだ花月のホールで渦巻く喧騒の中、カウスは醒めていました。
自分を応援してくれるお客さん達は、ありがたい存在であると同時に、とても残酷な存在でもある。ブームが去ると、手のひらを返したように、去って行ってしまう。人の心は移ろいやすいもの。

吉本興業、カネの成る木の作り方 エディトリアル

大下 英治 / 講談社


小さな寄席小屋からスタートした吉本興業が、舞台やテレビなど、様々なメディアを通じて、いかにして日本の笑いの文化を支えるまで大きくなっていったのか。エンタツアチャコ、笑福亭仁鶴、桂三枝、横山きよしなどのエピソードも交えながら紐解いていきます。

古くは、木戸銭をディスカウントした薄利多売商法、年功序列にこだわらない実力主義、最近では内弟子制度にとらわれない吉本総合芸能学院(NSC)による人材確保。特に人材育成システムに関してはまるで、欧米のバレエの国立機関のよう。お笑いタレントを養成する機関としては、世界広しといえどもこの吉本だけでしょうね。

それにしても、成功している芸能プロダクションは、奥さんがしっかり者のケースが多いですね。吉本興業の吉本せい、渡辺プロの渡邊美佐。最近では、タイタンの太田光代、OFFICE CUEの鈴井亜由美。

この本の惜しい点は、会社案内みたいな内容に留まっている点。もう少しドロ臭い話も聞きたかったな、というのが正直なところ。

吉本興業所属のタレントは、バラエティ番組には欠かせない存在ですが、今でも花月やルミネTHEよしもと、吉本∞ホールなど、劇場ライヴでの育成を重要視しているそうです。ライヴはお客さんの反応が直に分かりますし、アドリブも鍛えられますからね。
今度、神保町花月もできることだし、吉本のライヴに行って見ようかと思います。

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
[PR]
by june_h | 2007-04-19 20:23 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(2)

勘九郎から勘三郎へ。
平成中村座ニューヨーク公演から、十八代目中村勘三郎襲名公演までの約4年を追ったルポ。

さらば勘九郎―十八代目中村勘三郎襲名

小松 成美 / 幻冬舎


歌舞伎役者を取り上げたエッセイやルポの多くは、その役者の得意な演目とか、その役者にまつわる歌舞伎のうんちくとか、あくまで「歌舞伎」を切り口にしたものが多いけれど、このルポは違います。
いきなり勘三郎さんの「脚の筋肉」の話から入ります。さすがは小松成美さん。イチローや中田英寿のルポを書いている人だけあります。
そんなわけでこの本は、歌舞伎を知らない人でも、勘三郎の魅力が十二分に分かる内容となっています。
歌舞伎にとどまらない幅広い芝居を務める俳優として、
常に新しい表現を追い求めるアーティストとして、
お客を喜ばせることを何より大切にするエンターテイナーとして、
多くの俳優仲間に愛されるプロデューサーとして、
様々な顔を持つ勘三郎の魅力を堪能できます。

それにしても、勘三郎にも増してスゴいのは、奥様の好枝さん。歌舞伎役者の裏方としての務めを果たす一方で、家事も完璧にこなす良妻賢母です。仕事に明け暮れる勘三郎に代わって、家の一切を取り仕切り、勘三郎のご両親の死に水も取ったそうです。
「私達が離婚したら、この家を出て行くのは哲明(勘三郎)さんの方です」
の詞には、思わず笑ってしまいました。
こんなお姑さんを持つことになる、勘太郎や七之助のお嫁さんは、大変そうです(^_^;)

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
[PR]
by june_h | 2007-04-18 20:19 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

先日亡くなった、ファンクの帝王、ジェームズ・ブラウンの自伝。

俺がJBだ!―ジェームズ・ブラウン自叙伝 (文春文庫)

ジェームズ ブラウン / 文藝春秋


ジェームズ・ブラウンのグルーヴには湿っぽさがない。シビアなほどにカラッと乾いている。
不安定な家庭環境。容赦のない黒人差別。貧困と暴力が支配するアメリカ南部の社会。彼は生まれ落ちたときから過酷な環境の中で呼吸し、這いずり回り、犯罪にも手を染めながら、内から湧き上がる歌を命綱にして、観客の罵声と賞賛の中で、ショウビジネスの世界を這い上がっていった。彼の周りで、力の無い者は酒と麻薬と孤独の中で次々と死んでいく。彼の生い立ちも音楽もドラスティックだ。

私は彼の武道館公演に2度行った。「なになに?こんなサックスの音、初めて!」「ベースかっこ良過ぎる」とにかくバンドのレベルの高さに、びっくりして口が開きっ放しだった。もし、60年代のアメリカ南部のライブハウスで、こんな音楽を聴いてしまったら、魂までJBのリズムに乗っ取られてしまう・・・・・。気持ち良さを通り越して、恐怖心すら抱いてしまった。

今は、一人でもステージができるツールや環境があるけれど、昔は一人では何もできないし、バンドも大人数だったから、まとめ上げるのが大変だ。バンドメンバーとの軋轢もたくさんあったし、彼の音楽に対するレコード会社の無理解とも戦い続ける必要があった。しかし、人々は、彼のライブパフォーマンスに拍手を惜しまなかった。彼もまた、自身の持つ強い生命力そのままに、一生ステージに立ち続けた。たくさんのアーティストが彼の音楽をリスペクトし、昔も今も、アメリカのブラックミュージックのみならず、世界のミュージックシーンに影響を与え続けている。本を読み進めていると、往年の彼のヒットソングや、彼と関わったビッグアーティストの名前が次々と出てきて、彼らの歌を頭の中で鳴らしながら読むと、面白さ倍増だ。

彼のCDだけではなく、この本を読んで、JBの、ど演歌、ならぬ、どファンク人生を堪能して欲しい。

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
[PR]
by june_h | 2007-04-08 10:09 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

時代劇『鬼平犯科帳』の長谷川平蔵役でお馴染みの歌舞伎役者、中村吉右衛門のエッセイ。

近況や歌舞伎の事はもちろん、祖父、初代吉右衛門の事や、小さいときの事が、直筆の水彩画と共に描かれています。
特に印象的なのは、実の母親以上に可愛がってくれた「ばあや」の存在。歌舞伎役者の裏方として忙しかった母に代わって、吉右衛門にとって大きな支えであったことが伝わってきます。
面白いのは、どのエピソードでも、奥様や娘さんのお小言で終わるオチになっていること。彼のユーモアやサービス精神、家族への愛情が伺えます。

このエッセイでもそうですが、インタビューなどで吉右衛門さんは「僕には跡継ぎがいないから」とか「僕は芸が下手だから」とかよく自分を卑下して、いじけます。ほかの人のいじける姿はイヤなものだけど、彼が言うとなんだか微笑ましくって、彼の芸風の一部にさえ思えてくるから不思議です。

優しくて温かい筆遣いの水彩画とは対照的に、舞台の上の吉右衛門さんは、じっくり描きこまれた油絵のよう。
ステージライトの中で見せる笑いや涙は、薄っぺらなものではなく、複雑な感情が幾重にも塗り重ねられたもの。その役が背負っている運命や人柄が浮かび上がって影となり、フィクションの人物なのに、実際に生きている人のような錯覚を覚えてしまうのです。
こう感じるのも、吉右衛門さんの芸に対するたゆまぬ努力と経験と、役に対する深い理解があるからだと思います。

吉右衛門さんを見るまでは、歌舞伎は型で見せるもので、演じている役者さんの内面はニュートラルだと思っていました。でも吉右衛門さんは実際に傷ついている。そんなふうに思って深く感動してしまいました。

吉右衛門の俊寛は、特に必見です!私は、吉右衛門の俊寛が見せるラストシーンの表情を見て、「執着が人を孤独にするのだ」と悟り、4階席で号泣してしまいました。その日の観客の中で、自分が一番感動している自信がありました(笑)。

今週末のドラマ、鬼平犯科帳スペシャルが楽しみです!

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
[PR]
by june_h | 2007-04-03 20:28 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(4)

相手と「切り結ぶ」ことをしなければ、良い表現は生まれない。
自分が見こんだ人間と、とことん向き合い、本音でぶつかり合うことによって、魅力的な本を次々と生み出し、ミリオンセラーを連発する名物編集者、見城徹が小学校で授業をした時のことをまとめた本。

最初、見城も小学生もお互い戸惑っていた。見城は小学生を教えるのが初めてだったし、小学生も「編集する」という作業がよくわからなかった。しかし、見城は、小学生の素直な言葉が書かれた作文に感動し、手加減なしで小学生にぶつかることを決めた。彼らの内面に深く切り込んで、より魅力的な言葉を掘り起こすために。見城の指導は熱かった。
小学生もグループ作業を通して、本音で意見をぶつけ合う。お互いの言葉に傷ついたり、行き詰まったりしながらも、少しでも良いものを作るために、400字の作文の枠を超えて、写真や絵や詩を取り入れた立派な「作品」を完成させる。作品の魅力がどんどん引き出される過程がわかって面白い。

編集作業を通じて、お互い本音でぶつかり合うことや、一つの作品を作ることの面白さを、小学生は知った。また、素直な感動をぶつけ合う小学生を見て、見城は初心に戻った。お互い得るモノがあったようで、正直とてもうらやましい。

編集の面白さだけではなく、人と本音でぶつかり合うこと、皆で一つのものを作り上げることの素晴らしさがわかる本。

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
[PR]
by june_h | 2007-04-02 20:51 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

長谷川滋利は、日本の野球選手の中では数少ない、自分の言葉を持っている人だ。

過大評価するわけでもなく、卑下するわけでもなく、冷徹に分析して「等身大の自分」を見つめる。これはとても難しい。
でも、彼はそれをずっと続けた。一流選手になるために。野球を続けるために。勝つために。環境に「アジャストメント」するために。

彼は自分を分析した結果、他の選手に比べて、突出した身体能力を持っているわけではないということを知った。そこで彼は、自分の弱点を消し、強みを生かすためにはどうしたらいいか考え、目標を立て、それに向かって地道に努力した。
その結果、日本の野球界ではもちろん、メジャーリーグでも大きな成果を上げることができた。

彼の姿勢は、野球以外にも十分通じるものがある。
2006年で野球を引退してしまったが、野球で培った洞察力や分析力を生かせば、他の世界でも十分に活躍できる人だと思う。これからが楽しみだ。

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
[PR]
by june_h | 2007-04-01 11:04 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

戦後、上演禁止の憂き目に遭っていた歌舞伎を復活させたアメリカ人、フォービアン・バワーズの物語。

歌舞伎を救ったアメリカ人 (集英社文庫)

岡本 嗣郎 / 集英社


うだつの上がらないピアニストだったバワーズは、ガムランの音に魅せられ、インドネシアへ向かう船に乗り込みます。途中立ち寄った日本で、寺と間違えて歌舞伎座にフラリと入ったのが運のツキ、すっかり歌舞伎に夢中になり、そのまま日本に居ついてしまうのでした。

英語教師のアルバイトをしながら、歌舞伎観劇と日本語の勉強に明け暮れる毎日。しかし、時代は太平洋戦争の真っ最中。戦況の悪化に伴い、米軍スパイの嫌疑を掛けられることを恐れたバワーズは日本を離れ、東南アジアで、日本軍の暗号解読などの軍役に就くことになります。その後、卓越した日本語力を買われ、マッカーサーの副官兼通訳として、日本の地を再び踏みます。

しかし、戦後の日本には、バワーズの愛した歌舞伎はありませんでした。なぜなら、主君のために死ぬ武士や仇討ちを描く歌舞伎は、封建社会や軍国主義を礼賛するもので、「民主国家」を目指す日本にそぐわないとして、GHQに上演を禁止されていたからです。

それを知ったバワーズは、歌舞伎を復活させるために奔走します。仕事も食べ物もない役者達を物質的に援助しつつ、上官や検閲官に対する陳情、歌舞伎による米兵の慰問など様々な手を尽くしますが、なかなか埒が開きません。業を煮やしたバワーズは、マッカーサーの副官の地位も待遇も捨て、民間人として自ら検閲官となり、歌舞伎の上演をついに許可させます。全ての演目が解禁されたのを見届けたバワーズは、インド人の妻と共に、アジアを放浪する旅に出ます。

そんなわけで、バワーズは「歌舞伎を救うために神様が遣わしてくれた人」だと、多くの歌舞伎役者に今でも尊敬されています。中でも特に、パワーズに感謝していたのは、初代中村吉右衛門とその妻。吉右衛門の得意とする芸は、まさに、GHQがやり玉に挙げた時代物。バワーズがいなければ、吉右衛門は廃業せざるを得なかったでしょう。何度目かにバワーズが来日した際、病床にあった吉右衛門は、バワーズのために無理を押して『熊谷陣屋』を演じ、その半年後に亡くなります。彼なりの恩返しだったのだと、涙を誘います。

本の随所にちりばめられた歌舞伎役者のエピソードは、どれもとても興味深いものです。マッカーサーの副官である地位を利用して、主役級の役者ばかりを集めて上演させ、松竹のオエラ方を困らせたバワーズの「職権濫用」ぶりも微笑ましい。また、言論の自由を謳いながらも、為政者に都合の悪いことはしっかり弾圧していたGHQの矛盾を、本書を通して知ることができます。惜しむらくは、話がしょっちゅう前後して読みにくかったこと、くらいでしょうか。

それにしても気になるのは、どの歌舞伎関係の本にも必ず出てくる、十五世市村羽左衛門。
西洋人の血を引き、永遠の前髪(二枚目)役者と言われた伝説の歌舞伎役者。洒脱で色を好み、彫りの深い顔立ちを見せつけるかのように、横顔で見得をきったそうな。バワーズが一目惚れしたのは、『仮名手本忠臣蔵』で塩冶判官を演じていたこの羽左衛門だったとか。マッカーサーと共に日本に降り立ったバワーズが開口一番、
「羽左衛門は元気か?」
と尋ね、居並ぶ記者達を驚かせたのは、語り草になっています。

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村
[PR]
by june_h | 2007-02-22 15:36 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)