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会期は明日まで。ギリギリセーフで間に合いました。ずっと行きたかったんだけど、なかなか時間が取れなくねー。

「浮世絵の主題は、江戸時代「二大悪所」と言われた、遊郭と芝居小屋にその多くを・・・・・」と解説で書かれているわりには、芝居絵や役者絵はほっとんど無く。ガッカリ。でもまあ、遊女や美人画をたくさん楽しめました。ということで、本日は着物の描き方に注目!

着物の輪郭線は、見えるか見えないかくらい細ーいのもあれば、波打つようにぶっといのもある。着物の皺の描き方にも、着物の厚みを感じさせるものもあれば、薄くて柔らかいレースのようなものもある。
北斎の着物の細かい地模様はびっくりしましたですねー。針で書いたの?ってくらい、細かかったですよ。

タイトルの横には、浮世絵に書かれた文字の解説もあって、なかなか良い展覧会でした・・・・・でも役者絵が見たかったなぁ・・・・・。

P.S.
入り口で、前に並んでいたおばさんに、割引券を譲ってもらっちゃいました♪ラッキー!


<関連リンク>
肉筆浮世絵のすべて -その誕生から歌麿・北斎・広重まで-(出光美術館)
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by june_h | 2007-06-30 20:44 | 美術展 展覧会 | Trackback | Comments(0)

シカオちゃんをあんまりよく知らない人は、「都会的でスタイリッシュな男性アーティスト」「スカシた奴」という印象を持つようですが、とんでもない。不器用で、カッコ悪くて、俗っぽい。でも、すごく魅力的な人。そして、人の心の奥深くをえぐるような、スゴい曲を書く人ですよ。

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■フォノスコープ(カネボウ化粧品 T'ESTIMO CMソング)
あのCMがテレビで流れるたびに、私はゲラゲラ笑っちゃいます。だって、シカオちゃんが化粧してるわけでもないのに、なんであんなにアップで映っちゃうんですかぁ!?でもまぁシカオちゃんがT'ESTIMOでバッチリキメててもコワいですが。
シカオちゃんの曲は、ソウルやファンクに影響を受けているせいか、16ビートが多いのですが、最近は、この曲のように、ロックっぽいリズムの曲も増えてきました。でも「スガシカオらしさ」が失われるわけではないですからね。職場のラジオからワウギターが聞こえると「あ、シカオちゃん!」ってすぐわかりますからねー。

■坂の途中<’07 Spring Version>(FM802 ACCESSキャンペーンソング)
この曲のオリジナルは、1998年に出た5thシングル『ストーリー』のカップリング曲。セルフカバー曲ですね。
アレンジは、前回よりもベース重め。正直、前のバージョンのを聴き慣れている私としては「重たいなぁ~」と思うだけなのですが。まぁ、聴き慣れてくれば、なじんでくるのかな。

■SPEED
スガシカオらしい曲です。「すぴーだーっ(SPEED UP)」ってフレーズが耳に残ります。ライブで是非聴きたいですね。お客さんのノリが良さそうな曲。

■Hop Step Dive(『マイナビ転職』TVCMソング)
武道館のコンサートで「マイナビ転職のCM決定しました!」って言ったときは、トリハダが立ちましたですよ。だって、その時、まさに私は転職しようとしてたんですから。そんなわけで、この曲、私にとっての応援歌になりました。でも、武道館コンサートの頃は、まだこの曲が入ったCD(アルバム『PARADE』)を手に入れてなくて、イマイチどうやって乗っかっていいのか、わからなかったのでした(笑)。


<関連リンク>
Suga Shikao Official Website
フォノスコープ・PV視聴(BMGジャパン)
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by june_h | 2007-06-29 21:20 | スガシカオ | Trackback | Comments(0)

何かの雑誌だか本だかで、加藤鷹さんの対談を読んだとき
「この人って、AV男優なのに、仙人みたいだなあ」
なんて思ったことがあって、彼にはずっと興味を持っていたのです。
本屋に平積みになったこの本が目に止まったとき、迷わず手に取りましたが、刺激的なタイトルと挑発的な目次ばかりが並んでいて、一瞬、(一応)躊躇しつつも、ビシッとレジに出して手に入れました。

エリートセックス (幻冬舎新書)

加藤 鷹 / 幻冬舎


この本は、セックスのハウツー物でも、テクニック本でもありません。コミュニケーション論に近いかも。
6000人の女性の体から文字どおり「体得」してきた、彼の言葉の数々に、目からウロコが落ちっぱなしです。

ある時、AVの監督とある実験をして「男の○○○○○は○○だけじゃない」という結論に至ったという下りでは、彼の洞察力の深さと人間の体の神秘に、私は思わず感涙してしまいました(^^;

女性ファンが多いというのも、本当、よくわかります。

でも、読んでて哀しくなっちゃった。
男も女も「イく」ってことにこだわりすぎてんだなぁって。
義務感とかプレッシャーとか、いろいろ背負ってたら、そりゃあ楽しくないし、セックスレスにもなっちゃうよね。

私も昔、思い通りにならないからって「おまえの体が悪いからだ!」って言われたことがあって、それからは割り切って演技することにしたんだけど、やっぱり疲れちゃって。
そのときは私が悪いと思ってたんだけど、今思えば、私も気の毒だし、その男も気の毒だったなぁ。
・・・・・なんて思い出したらなんか疲れちゃいました(^^;;;

とまあ、私みたいなバカな思い込みを正すためにも、たくさんの人に読んでほしいっす。


<関連リンク>
加藤鷹オフィシャルサイト
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by june_h | 2007-06-28 20:29 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

すっごく危険なドラマだと思いました。全然共感できませんでした。うつ病に対して誤解を与えかねない番組だと思いました。

第一に、ぐったりしている高島さんを、奥さんが無理矢理買い物に行かせたり、散歩に連れ出したりする場面がありますが、初期の急性期での治療には、逆効果になるケースのほうが高いです。ゆっくり休ませるほうが良いのです。
高島忠夫さんの場合、うつ病だけではなく、パーキンソン病を併発しているケースのようでした。
また、彼は70代だったので、老人性うつである可能性もあります。世間一般で問題になっている、働き盛りのうつ病とは違います。
ドラマのように、無理矢理体を動かすなどのリハビリをすればうつ病は治る、治らないのはリハビリしないからだ、との誤解を与えかねません。

第二に、奥さんの言葉です。
「私は、元気でいつも歌っているあの人が好きなの。あの人に早く元に戻ってほしいの」と言っていましたが、元気でいつも歌っているダンナじゃなきゃ、愛せないのか?
いつも「明るい」ダンナであれば安心するのか?
自分が望んでいる行動をしてくれれば、ダンナ自身の内面なんかどうでもいいのか?
彼女の言葉にムカッときました。

「いつも明るいダンナ」が、彼の本来の姿かどうかなんてわからない。本人にしかわからない、本人だって自分が知らず知らず無理して明るく振る舞っている可能性だってある。

奥さんがすべきことはリハビリなんかじゃない。
元気のないダンナも、あんたが愛しているダンナの一部なんだって、認めて受け入れることじゃないの?

うつ病は自分が許せなくなる病気です。

家族がダンナの状態を受け入れてあげなかったら、誰が受け入れるの?
これじゃあ、ダンナ自身が、今の自分を受け入れられなくなって、自分を追い詰めるだけじゃないの?

奥さんがツラいのは本当に分かる。いつ治るかわからないもの。出口が見えないものね。テーブルの料理をメチャクチャにして泣き叫ぶ気持ちは本当に良く分かる。

でも、本人だってツラいのです。元気がないのは、怠けているわけでも、家族を困らせたいわけでもないのです。本人だって、どうしていいのかわからないのです。
ドラマだけ見ると、家族が本人を追い詰めているようにしか見えないのです。

しかもラストは、曖昧な感じでした。今の高島さんは、元気になったのか、悪いのか、快方に向かっているのか?この病気は、元気になったからと言って、メデタシメデタシとなるわけではないけれど、ラストでこのドラマをどう受けとるか決まってくるのに。こんなラストじゃあまりにも無責任。

高島忠夫本人のインタビューも出てきたけど、あなた、ちゃんと本当のこと言ってる?って疑っちゃう。

うつ病は、患者を苦しめる病気ではありません。患者に気づきを与える病気です。
うつ病は、戦う病気ではありません。受け入れる病気です。

戦ったら自滅します。

<関連リンク>
ドキュメンタリー・ドラマ うつへの復讐 ~絶望からの復活~(番組公式ページ)
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by june_h | 2007-06-27 20:54 | テレビ ドラマ ドキュメンタリー | Trackback | Comments(0)

「美しい風景は、寂しい方たちのためにあるのではないかしら」
「血を流すのと、女を抱くのは、暗がりの方がよろしゅうございます」

ゾクッとするセリフが魅力的な、三島由紀夫の戯曲。浅利慶太演出による、劇団四季の舞台ですが、柔らかさや品の良さとはかけ離れた、硬くて棒読みチックにセリフを「読む」役者達に、思わずコケそうになりました。
でもまあ後になって、客にセリフがちゃんと伝わるように、ワザと、くっきりはっきりゆっくり喋ってるってのが、わかったんですけどね。
普段言い慣れない単語や言い回しのオンパレードだし、独特のレトリックがふんだんに盛り込まれているから、しょうがないかな。

三島由紀夫の戯曲に出てくる男性は饒舌。おしゃべりとはちょっと違って、自分の内面をベラベラ解説するのね。普通の男は、あんまり内面を吐露しないものだし、そもそも自分の言動や感情をうまく言語化できない人がほとんどだから、違和感バリバリ。
三島由紀夫と親交が深かった美輪明宏がよく「男はプライドと劣等感でできている」と言うけど、それが良く分かる戯曲ですね。その反対に、女達の図太さもよく描かれています。

舞台は文明開化の風情溢れる、明治時代の鹿鳴館。伯爵婦人、朝子は、自分が主催する今夜の夜会で、とんでもない陰謀が計画されていることを知る。
生き別れた息子の久雄が、彼の実の父である政治家、清原を暗殺しようとしていたのだった。
息子と、かつて愛した男性を救うため、陰謀を止めようと奔走する朝子。しかし、彼女の努力も虚しく、朝子の現在の夫、影山伯爵による策略で、久雄のピストルの引き金は引かれ、華やかな夜会で、銃弾の音が響いたのだった。

「こんなふうにドレスを着て西洋人の猿真似をしたところで、西洋人の腹の中で、我々は軽蔑されるだけです。自尊心を持った人間こそが、真に尊敬されるのです」

当時の上流階級の欺瞞を描いた作品と言いますが、この戯曲が成立したのは1956年。一夜にして価値観が変わった敗戦から10年余。太平洋戦争で敗けてからすっかりアメリカの傀儡となり下がった日本を、欧米列強に追い付くため極端な西洋化路線に走った明治政府に、なぞらえているのではないのでしょうか。

(セリフについては、ウロ覚えなので、そのものズバリではございませんことをご了承くださいませ)

<関連リンク>
『鹿鳴館』(劇団四季ステージガイド)
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by june_h | 2007-06-26 20:47 | テレビ ドラマ ドキュメンタリー | Trackback | Comments(2)

【日本映画】舞妓Haaaan!!!

阿部サダヲ一人舞台!最初から最後までいつものハイテンションで、ストーリーをグイグイ引っ張りまくり・・・・・いいなぁ、阿部サダヲはいつもおんなじキャラだなぁ。それだけ、彼のキャラが愛されてるってことだよなぁ。
堤真一も、彼のテンションに引きずられるように、負けじと「怪演」しているけど、彼には勝てまへん。

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バップ


一見さんお断りとか、お花代とか、ところどころ、舞妓やお茶屋についての豆知識がポコポコ出るけど、柴咲コウ演じるOL上がりの女性が舞妓になるなんて、年齢的に不可能なはず。勘違いして「舞妓になりたい!」とか言って、会社辞める女性が出てしまいそう。

この作品が遺作となった植木等は、道で出会った舞妓さんとしばらく談笑した後、また一人、道を歩いてどこかへ消えてしまう西陣の社長。これから旅立つ彼を予感させるような後ろ姿のカットで、トリハダが立ちました。

なんか、男のロマンを感じるっつーか、男臭い映画でしたねー。会社で出世して、プロ野球選手になって、政治家になって、芸者遊びして、女性囲って・・・・・男の人が好きそうな夢っていうか、マンガみたいだなって思いました。

P.S.
映画館が明るくなるまで、絶対、席を立っちゃダメです。
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by june_h | 2007-06-25 20:42 | 映画 感想 | Trackback | Comments(0)

席は1階6列目。普段の歌舞伎はこんな良席、チケット代が高くてムリだもんねー。しかも、もれなく、筋書き入りの小冊子付き!というわけで、15年ぶりに、国立劇場に行って参りました。


■解説 歌舞伎のみかた

・解説:坂東亀寿

バタッバタッと、ツケの音に合わせて登場し、見得を切る解説の坂東亀寿さん。すっぴんで見得を切られると、観ている私もちょっと気恥ずかしい・・・・・。
初めて歌舞伎を観る人のために、花道や歌舞伎で使われる音楽などについて、次々と説明されます。
おなじみの、黒、萌黄、柿色の、三色の定式幕が開くとき、ザーーーーーーッと結構デカい音なんで驚きました。デカいカーテンみたいな感じだからしょうがないけど。
実際の大道具のセットに、お客さん(代表でカップル1組)をお招きしたりして、お客さんたちに、なんとか歌舞伎に親しみを持ってもらう工夫がされていました。

後半で演じられる『双蝶々曲輪日記』のあらすじと解説もありましたが、これ、上方の話って言っとかなくていいのかしら。上方の話だから、セリフが関西弁なんだけど、初めて観た人は、「カブキって関西弁なんだ」って、勘違いしないかしら(そんなことないか)。


■双蝶々曲輪日記 『引窓』 八幡の里引窓の場

・南与兵衛:中村扇雀
・女房 お早:片岡孝太郎
・母 お幸:坂東竹三郎
・濡髪長五郎:坂東彌十郎

追われている殺人犯の息子を逃がすまでの葛藤を描く、家族の物語です・・・・・なんて書くと、ミもフタもないですが、「引窓(紐で開閉する天窓)」の面白い演出が見モノの、なかなか感動的なお芝居です。

四月大歌舞伎では、同じ『双蝶々曲輪日記』の中から『角力場』での、勇ましい関取の濡髪長五郎を観ましたが、この『引窓』では、彼は殺人犯になっちゃってるんですねー。びっくり!
歌舞伎って、大河ドラマのように長い芝居だから、一幕一幕で、キャラの立場がガラっと変わってしまうこと、よくあるんですよね。

席が舞台から近いし、舞台横に義太夫の字幕も出るので、普段はなかなかよくわからない、義太夫の歌詞に注目しました。
八幡近在隠れなき、郷代官の家筋も、今は妻のみ生き残り、秋の半ばの放生会

最後の「放生会(ほうじょうえ)」の「え」を「ぃえ(ye)」って発音してるんですね。
調べてみると、昔は「ほうじゃうゑ」って書いたらしい。江戸時代では「え」と「ゑ」をちゃんと区別して発音していたのがわかって、ちょっとおもしろかった。

ストーリーは、遊びほうけていた与兵衛が、父のコネで代官に就職し、やっとマトモな息子になったと、家族で大喜びしたのもつかの間。与兵衛の初仕事が、母親のお幸と前夫との息子、濡髪長五郎だったから、さあ大変。
警官になった義理の息子と、殺人犯で追われている実の息子の狭間で、母親のお幸は苦しむことになるのです。

お幸は、与兵衛に、長五郎を捕まえないでくれと泣きながら懇願したり、長五郎に、なぜ人殺しなんかしたんだと、情けなさに涙にむせんだり。
お幸の気持ちを思って、何回、涙ぐんだかわかりません。
演じていたのは、坂東竹三郎さん。名門の出ではない方ですが、素晴らしい演技でした。

タイトルにもあるとおり、「引窓」の演出が面白い!
お幸は、悩んだ結果、引窓の開閉に使っている紐で、長五郎を縛り、与兵衛に引き渡そうとします。そのとき、引窓は閉まり、部屋は暗くなると同時に、家族の雰囲気も重たいものに。
一部始終を見ていた与兵衛は、長五郎を逃がそうと決心し、紐を解きます。すると引窓が開き、部屋が明るくなると同時に、家族の気持ちも晴れやかになるのです。
人物の気持ちと引窓を連動させるなんて、これを考えた江戸時代の演出家に拍手です。歌舞伎って、本当に、いろいろなアイデアが詰まっていて、なんで歌舞伎が今までナイガシロにされてきたか、私には不思議だ。

そのほかにも、与兵衛の奥さん、お早はなかなかチャーミング。遊女上がりだけど、明るくてひょうきんで「おお笑止(あー恥ずかしい)」が口癖の、面白い女性でした。

歌舞伎鑑賞教室だけど、大向こうさんも何人かいらっしゃいました。大向こうさんについては、解説しなくて、いいのかしらん。


<関連リンク>
6月歌舞伎鑑賞教室『双蝶々曲輪日記』
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by june_h | 2007-06-24 11:36 | 歌舞伎 鑑賞 | Trackback | Comments(6)

【日本映画】キサラギ

もうほんとにサイコーーーーーーーーーーーーーっ!!!
すっごい面白かった!何回、腹抱えて笑ったことか!!
(周りで観てた人、ゴメンナサイ)

アイドル如月ミキの一周忌に集まった、ファンの男性五人。話しこむうちに、如月ミキの死の真相と、五人の正体が明らかになっていく・・・・・。

一つの部屋の中で2時間。ワンシチュエーションムービーなんだけど、ぜーんぜん飽きない!ずーっと笑いっぱなしで、最後にホロリ。
演劇好きの人には、かなりツボです。舞台化もイケそう。そうでない人も、もちろん200%楽しめます。

この映画に解説は要りません。とにかく、映画館に行って、観て来てください!
ほんと、たくさんの人に観てほしい。上映館が少ないのが残念!ほんと、人に勧めたくなっちゃう。

P.S.
エンディングロールが終わっても、席を立っちゃダメよ。

<関連リンク>
映画「キサラギ」オフィシャルサイト
「キサラギ」(映画詳細、映画館情報)
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by june_h | 2007-06-23 18:41 | 映画 感想 | Trackback | Comments(0)

「愛する者をエンバーミングできるか?
いや愛しているから他の死体のようには扱えない
いや 愛しているから自分の手で美しく送ってやりたい
どちらがより深い愛情行為なのか」

日本では馴染みの薄い「エンバーミング」を扱った漫画。

死化粧師 1 (Feelコミックス)

三原 ミツカズ / 祥伝社


エンバーミングとは、遺体を消毒、保存処理を施し、また、必要に応じて修復し、長期保存を可能にしようとする技法のこと(ウィキペディアより)。
火葬が一般的な日本では、ほとんど知られていませんが、土葬が多い欧米では当たり前のように行われているそうです。

主人公は、天涯孤独なエンバーマー、心十郎。クールなハーフの美少年。でも寂しがりやで甘えん坊という、女心をくすぐるツボを押さえたキャラです(笑)。
彼は日本で、エンバーミングに対する無知と偏見と戦いながら、様々な人の人生と死に、向かい合います。

死んだ新妻と離れたくなくて、彼女の遺体と共に逃亡する男性。
これから自殺するから遺体をキレイに着飾って、と頼む少女。
「誰の思い出にも残らないで消えるのがさびしい」とホスピスで孤独に泣く、若い独身女性。

エンバーミングを通して浮かび上がってくるのは、現代の日本人の死生観だったり、医療問題や社会問題だったりします。

心十郎のエンバーミング技術は一流ですが、人の死や遺体を、決してスーパーマンのようにズバズバとサバいていくわけではありません。人の死に対して、真正面に向き合うたび、いつも迷ってしまう。彼自身も、父と母を亡くし、愛情に飢えている「弱さ」を持っている。でもその「弱さ」を、自分で認め、抱えているからこそ、遺体の「声」を感じ、亡き人の運命に深く入りこむことができる。
弱いことって、決して悪いことじゃない。むしろ、人間的な弱さを持っていなければ、エンバーマーは務まらない。読んでいて思いました。

「エンバーミングで遺体を温めることはできません。でも人の心を温める事はできるんです」

私はエンバーミングに対して、最初あまり良い印象を持っていませんでした。遺体をあんまりキレイにしたら、故人に対する余計な執着を生むんじゃないかって。

でもこの漫画を読んでいて、エンバーミングは、亡くなった人の尊厳を守るだけではなく、残された遺族のグリーフケアになることがわかりました。

読んでいて思い出したのは、私の友人の死でした。
その友人は、小学校のときからの友達で、生まれつき体に障害がありました。ワガママで、よく癇癪を起こす人ではありましたが、それが彼女にとって、生きる力であり、叫びでした。常に病気を患っていて、苦しみ苛立つ顔しか、私は知りませんでした。
数年前、二十代で亡くなり、お通夜で棺の彼女と向かい合ったとき、今まで見たこともない、穏やかで美しい彼女が眠っていました。
「こんなにキレイな人だったんだ・・・・・でも、死に顔が一番美しい、って思うなんて・・・・・」と、罪悪感を覚えるくらい悲しかった。でも、それと同時に、彼女の安らかな顔を見て、遺族は安堵し、解放されたのも感じました。

私の個人的な感覚では、CLAMPの『東京BABILON』と、手塚治虫の『ブラックジャック』を足して2で割ったような雰囲気の漫画。
エンバーミングとは何か、どうやったらエンバーマーになれるのか、などなど、エンバーミングの基礎知識がわかるのはもちろん、1話完結型で、完成度の高いエンターテインメント性も十分。
連載雑誌がマイナーなせいか、あまり知られていないようですが、とても良い作品だと思います。

でも「死化粧師」ってタイトルは、もっとどうにかならなかったのかねー(笑)。まあ、「エンバーミング」の概念を、なんとかして読者にわかってもらいたいっていう、苦労のあとが感じられるタイトルではあるけど・・・・・。


<関連リンク>
「エンバーミング」(ウィキペディア)

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by june_h | 2007-06-21 21:20 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

「オレ達は今までここで一体何やってたんだ!」
「ダメよ。(この時間を)宝物にしなきゃ」

夢を見るのは簡単だけど、見続けるのは難しい。そして、夢を諦めるのはもっと難しい。
でも一番難しいのは、叶わなかった夢を見ていた時間を、認めて、受け入れて、宝物にすること。

戦後直後に創設され、舞台に立つこと無く解散してしまった、宝塚歌劇団男子部の物語。

TEAM NACSのシゲさんが出演するということで、足を運んだ舞台でしたが、彼らのやるせなさと自分の過去の経験がリンクして、最後は大泣きしてしまいました。久しぶりに、スタンディングオベーションで、役者さん達を見送らせていただきました。
席は最前列下手側。シゲさんの歌と、踊りと、そして美しく引き締まった四肢を、至近距離で堪能できました。

舞台は、戦争が終わったばかりの日本。乙女の歌声響く宝塚歌劇団の稽古場。男子部を創設したのはいいけれど、女子生徒や観客から総スカンを食らって、全然舞台に立てない部員たち。ただ稽古場と寮を往復するだけの「飼い殺し」の日々。
男子が宝塚の舞台に立つことなど、誰も望んでいませんでした。彼らにとって、元から無いパズルのピースを、探し続けるような日々でした。

シゲさん演じる長谷川は、宝塚の女子生徒目当てで入団した男。いつも明るい盛り上げ役だけど、女生徒に手を出したくても出せない、芝居をしたくてもできない、二重のジレンマでいつも悶えてる。

他にも、生真面目なリーダー、上原役の柳家花禄(ピアノがお上手でした)、普段はおとなしいけど情熱を内に秘めた葛山信吾、男子部員を温かく見守る元宝塚の娘役で寮母の初風諄など。

クライマックスのレビューコーナーは、みんなガンバったね!というレベルでしたが(笑)、舞台に立てなかった男子部へのレクイエムに感じて、目頭が熱くなりました。

どうか、今も生きているであろう、宝塚男子部員だった人たちにとって、かの時代が宝物でありますように。

P.S.
シゲさんがつまずいたとこ、みーちゃった!


<関連リンク>
宝塚BOYS(公式サイト)

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by june_h | 2007-06-18 21:27 | 水曜どうでしょう 大泉洋 NACS | Trackback | Comments(0)