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2006年にブロードウェイで再演されたミュージカル「コーラスライン」。その舞台に出演した高良結香さんのエッセイ。
彼女のブロードウェイの舞台に立つまでの日々が綴られています。

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沖縄で生まれ、クリスチャンスクールで育った彼女は、小さいときからダンスが大好き。単身、アメリカに渡り、いつしかミュージカルの舞台を目指すようになります。

ゴロゴロいるダンサーの中で、ブロードウェイの舞台に立てるのはごくわずか。特に彼女は、人種の上ではアジア系。役が限られる上に偏見もある。その中でキャリアを重ねられたのは、強いプロ意識があったからだと思います。

まず印象的なのは、小さいときから何でも自己責任で決断してきたということ。日本の教育をほとんど受けていないせいもあると思いますが、考え方とか、まるでアメリカ人のエッセイを読んでいるようでした。

それから、日々の体のケアを怠らず、練習熱心なこと。アメリカのエンタメ業界は、ユニオン(労働組合)の力が強いので、リハーサルや上演時間がきっちり決まっていますが、彼女は納得行くまで練習する。そして、権利ばかり主張するのではなく、望まれたパフォーマンスはする。このあたりはすごく日本人っぽい。

そして、目標に向かって、自分のやるべきことに集中すること。
この世界につきものなのは、仲間内の嫉妬。でも、嫉妬するのは、自分が劣ってということを知らしめるようなものだからということで、気にしないようにしています。
また、ダンサーだからといって、踊りだけしていればいいわけではありません。ギャラの交渉や契約の手続きなどなど、事務作業がいっぱい。エージェントが代行してくれることもありますが、最後に決断するのは自分です。彼女は、エージェントと揉めて裁判をしたことも。もちろん、裁判をするための証拠集めや資料作成も彼女の仕事。

役者と同じく、芝居自体もブロードウェイへの道のりは遠い。
地方を回りながら、脚本や演出の手直しが繰り返され、制作費が数十億円に達する芝居もあります。打ち切りになったり、役者が途中で入れ替えられることもしばしば。そんな中で、コンスタントに仕事をするのは、本当に大変。

人気のロングラン公演に長期で出演して、いくつも家を建てる役者もいますが、彼女は、仕事の安定よりも、出たい舞台、やりたい仕事にこだわります。ギャラが下がっても、途中で辞めやすい契約をするのです。

望まれれば、スーツケース一つで踊りに行く。自分のハッピーのために、自由に挑戦し続ける。魅力的なダンサーです。


<関連リンク>
高良結香オフィシャルサイト

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# by june_h | 2009-01-26 20:33 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

当ブログをご愛読いただき、いつもありがとうございます。
また、多くの方からコメント&トラックバックいただき、大変感謝しています。

さて、今回、exciteブログにコメント承認機能が追加されたことに伴い、当ブログも承認制することにしました。
毎日更新できるわけではございませんが、すべてのコメントに必ず目を通します。
記事に関係のないコメントおよびTBは、削除させていただくこともございますので、なにとぞご了承ください。
皆様にはご不便・ご面倒をおかけいたしますが、ご理解のほど、よろしくお願いします。

それに伴い、スパムコメント防止のために設定させていただいた、一部NGキーワードも解除いたしました。
今まで、そのせいで、コメントおよびTBができなかった方もいらしゃったかもしれません。この場をお借りして、お詫び申し上げます。

今後とも、当ブログを、よろしくお願いしますm(_ _)m
# by june_h | 2009-01-25 13:12 | 雑記 | Trackback | Comments(0)

夜の部も幕見で観ました。札止めにならないか、ハラハラしていましたが、なんとか大丈夫でした。休日だったし、「歌舞伎座さよなら公演」だったし、ということで、お客さんが増えているように思います。

■曽我五郎:中村吉右衛門
■曽我十郎:尾上菊五郎
■化粧坂少将:尾上菊之助
■工藤祐経:松本幸四郎


古典によくある、雛飾りのような舞台。登場人物が豪華な衣装を着て、ズラリと居並びます。イヤホンガイドは、私の好きな小山観翁さん。いつもの調子でゆったりと解説してくださいます。このテの芝居の場合、ストーリーは、あるような無いような。そういうもんだと思って楽しみます。

私は、菊之助の花魁姿ばかり観ていました!だってキレイなんだものぉ♪幸四郎さんは、そっちのけで(笑)。いつか海老蔵&菊之助の心中物とか観たいですo(^-^)o

曽我五郎の吉右衛門さんは荒事、十郎の菊五郎さんは和事。吉右衛門さんは、体格がいいから、こういう役が本当に良く合いますね。
さてさて、来月は、吉右衛門さんの弁慶が楽しみです♪
# by june_h | 2009-01-25 12:56 | 歌舞伎 鑑賞 | Trackback | Comments(0)

相変わらず野田秀樹の舞台は生々しい。「赤鬼」の舞台を観た後のように、帰り道かなりヨレヨレ。激しく消耗。

私が野田秀樹の舞台を観たいと思うのは、たぶん「恐いもの見たさ」なんだろうと思います。
だってたぶん、どんなホラーよりスプラッタより生々しいから。人の血肉より恐ろしいのは、自分自身の内面だって、いつも目の前に、耳元に、突きつけられるんだから。

この前読んだ小説「キュア」の主人公の医者も「内臓を見るのが好きだ。ほっとする」って言ってたけど、そのフェティッシュな気持ち、私もわかります(笑)。別に、肉屋で興奮したりしませんが、要は「本物を感じるから」なんだよね。何もかも隠している表面の皮膚がウソっぽくて、食べ物溶かしたり、バイ菌殺したり、生々しいことやってる体内の方が本物の人間なんじゃないかしらって。この演劇もそんな感じ。

幸せって何だろう?生きるってなんだろう?って言葉を使うと、なんだか陳腐だけど、主人公の姉妹は、真っ正面に、その意味を探そうとしていました。

口汚く世界を呪い、人を罵る姉と。何でも無防備に受け入れてしまう妹と。人を食べても、生きずにはいられない姉と。人として子供を生まずにはいられない妹と。どちらも呆れるほど、愛おしいほど、人間らしい姿。
そして、希望も絶望も同じ、人間の妄想だと言いつつも、絶望的な世界の中で、希望を抱かずにはいられない二人。

「口の中にずっと残ってる」
「何が?」
「人間・・・・・であること」
というセリフ、なんて素晴らしいんだろうと思います。

ジェノサイドのあと、残った母子(姉妹?)の言葉の掛け合いシーンは圧巻。なぜって、自己憐憫も感傷も徹底的に排除して、無機物の単語だけで凄惨な「生々しさ」を描いてみせているから。
「愛」って言葉を使わずに「愛」を表現するのと、どっちが難しいかしら・・・・・。
これぞ、野田秀樹の真骨頂!って思いました。

宮沢りえと松たか子の豪華共演!も楽しみでした。宮沢りえ、舞台だと声が全然違うんですね。あの細い体から出ているとは思えない太い声。ビックリしました。カッコよかったです!

もう一つ楽しみにしていたのは、近藤良平さんをはじめとしたコンドルズの皆さん。一度彼らを観たいと思っていたのです。パイパー軍団を熱演(冷演?)していましたが、体の動きはきっと、彼らの意見が取り入れられているに違いありません。

キレイに生きているように見える人間ほど実は、えげつないことをやっている。多かれ少なかれ、生きていれば直接人の血肉を食べていなくても、人の命をお金に換えるようなことをしている。

これは遠い未来の話ではない。欺瞞に満ちた、2009年に生きる人間を、そして、世界を描いた舞台です。


<関連リンク>
野田地図

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# by june_h | 2009-01-24 18:11 | 観劇 観戦 コンサート レポート | Trackback | Comments(0)

こうして紹介するまでもない、玉三郎の鷺娘。私は二度目。
以前観たのは数年前、テアトル銀座での舞踊公演。しかもド真ん中最前列でした。そのときは紙吹雪まみれになりながら観ましたっけ(^^;

S席2万円の最前列でも、幕見席900円の最後列でも、この方の踊りのスゴさは、ビシビシ感じます。オペラグラスを覗く私の目からは涙がこぼれ、体は震えっぱなし。

早変わりで、お客さんはオオーっと沸きますが、そんなことはどうでもいい。それより、鷺の精として現れたときの存在感と、町娘で踊る雰囲気、どうしてあんなに変わってしまうんでしょうか。

フランス人バレエダンサーのシルヴィ・ギエムもそうなんですが、優れた踊り手は、周りの空気も引き込んで踊るのよね。その場の引力が変わったように見えてしまうくらいに。

途中に出てきた、朱鷺色の着物に黒い帯、私の好きな色の組み合わせです。歌舞伎だとよく、腰元さん達がこの着物に矢立の黒帯で登場します。初めて見たときは、「腰元までも美しいなんて、歌舞伎ってスゴい!」と感心したものです。

こんなに感動した「鷺娘」でしたが、一回見たし、夜の部を観るためにまた並ばなきゃなんないし、で、すっ飛ばそうとしたのです(^^;;;
飛ばさなくて、本当に良かったです・・・・・。


<関連リンク>
壽初春大歌舞伎(歌舞伎美人)
# by june_h | 2009-01-22 21:25 | 歌舞伎 鑑賞 | Trackback | Comments(2)