■「つる」:春風亭ぽっぽ
女性の噺家さんです。最初はちょっとびっくりしました。でも、ピョコンとお辞儀する姿、かぁいいでつ。
声がかわいらしいし、滑舌もイイ感じ。でも、前座さんの話しぶりは、台本どおりの方が多い。客の空気を巻き込んで会場をあっためていく噺家さんになるのは、これからです。


■「たがや」:春風亭小朝
おやじギャグは、先が読めたり安直だったりすると、嘲笑のタネに。でも、良くできたギャグは、おおっ!と拍手してしまう。そんなお手本のような枕。
本題は古典落語。その笑いに客を引きずりこむには、ちょっと工夫が必要。小朝の話術から見えた工夫は二つ。
まず一つ目は、江戸時代の風俗を現代のものに置き換える方法。
もう一つは、解説の仕方。歌舞伎はイヤホンガイドがあるけど、さすがに落語でイヤホンガイドはマズいものね。小朝は、ちょっとした解説も、説明臭くなくて、ちゃんと面白い話にしてる。解説を「くすぐり」に融合させる高度なワザを使っているように見える・・・・・とエラそうに語る私は落語初心者です。御免。
枕でも歌舞伎と落語の違いを挙げていたけれど、多少意味がわからなくても成立してしまう歌舞伎と違って、落語はどうやって現代との折り合いをつけるか、って大きな問題だと思いました。


■「幇間腹」:林家きくお
声がパパそっくり。でも、芸風まで似せなくてもいいのに(^^;
早速、父親が林家木久扇を、自分が林家木久蔵を襲名することをネタに。
落語の方は、若旦那と太鼓持ちのSMプレイ(?)の話。もっと色っぽく、もっとすっとぼけてやってもいいと思ったけど、昼間だしねー。二人のやりとりの面白さより、若旦那の狂気ばっかり目立っちゃった。まぁしょうがないか・・・・・。きっと、きくおさんってマジメな人なんですね。


■「ぼやき酒屋」:春風亭小朝
早速、先日の林家正蔵の事件?をネタに、軽くフォロー。
飲み屋でクダを巻いている酔っ払いのキャラの勢いにまかせて、毒舌を次々と笑いに変えていく技術はさすが!話があちこち脱線しまくりつつも、頼んだお酒やオツマミが、ちゃんと全部出てきた所になぜか感動。


P.S.
噺家の後ろで輝く金屏風と、小朝の太鼓腹がまぶしかったです(笑)。
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# by june_h | 2007-04-30 20:13 | 落語会 寄席 | Trackback | Comments(0)

篠山紀信による、歌舞伎座と坂東玉三郎の写真集。

玉三郎さんの解説と共に、篠山紀信の感受性で切り取られた歌舞伎座の裏表を、大判の写真で堪能できます。

舞台の写真だけでなく、客席、屋根の上、楽屋裏などなど。歌舞伎座は多くの人たちに支えられていることが本当によくわかります。
舞台って意外に奥行きがあるんだなぁとか、役者さんたちが濡れないように歌右衛門さんが屋根を作ったというトンボの稽古場はココなのかぁとか、なんか古そうなお風呂だなぁとか、衣裳部屋ってどんな匂いだろうとか、役者や裏方さんたちの息遣いや生活観が伝わってきます。

一番興味深かったのは、歌舞伎座の玉三郎の楽屋。玉三郎さん愛用の調度品が並んでいるのですが、一々趣味が良いものばかり。古い螺鈿の化粧台、ペルシャ織の絨毯、衝立、そして活花。その中で静かに座る玉三郎とお弟子さん。すべてが玉三郎の美意識によって調和し、楽屋が一幅の絵のような佇まいなのです。まさに「美意識のカタマリ」。

私が始めて玉三郎を観たのは、数年前の舞踊公演でした。
会社の先輩に連れられて、開演間際に駆け込んだら、最前列ド真ん中の席!玉三郎の踊りをカブリツキで観ることのできた贅沢な時間でした。

観終わった後、わたしゃ腰痛になりましたね(笑)。だって、玉三郎さん、数十分間ずっと、膝を落として中腰で踊り続けるんですよ!しかもそれを全く感じさせない優雅な動き。過酷なまでの筋力を使っていることを、私は自分の頭じゃなくて、腰で感じてしまったんですね。

最近、歌舞伎の本で、立役よりも女形のほうが、筋力を使っていることを知りました。女形は内へ内へ「体を殺して」踊る、と表現されていました。そんなわけで、ストレスが溜まるのか、女形は酒飲みが多いそうです(笑)。
玉三郎さんはどうなのかしら・・・・と、この写真集を見ながらふと思いました。

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# by june_h | 2007-04-29 08:24 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(2)

先代、十一代目市川団十郎、その息子で現在の十二代目市川団十郎、さらに息子の市川海老蔵、三代にわたるエピソードが綴られたエッセイ。

海老蔵そして團十郎 (文春文庫)

関 容子 / 文藝春秋


舞台では荒事の勇壮な演技を披露しながらも、私生活では非常に繊細だった十一代目団十郎。
歌舞伎界きっての名家に生まれながらも、若くして父親と死別したことで後ろ盾を失い、大変な苦労をすることになった十二代目団十郎。
「完璧な隔世遺伝」と言われるほど、祖父である十一代目団十郎にそっくりで、大河ドラマ「武蔵」で一躍有名になった市川海老蔵。
面々と成田屋の血と芸は受け継がれていきます。

残念なのは、本の中で名前が統一されていないので、誰のエピソードなのかわからなくなってしまうところ。
十二代目団十郎のことを「新之助さん」と言ったり「海老さま」と言ったり「団十郎」と言ったりして定まらず。はたまた「団十郎」と言ったとき、何代目の団十郎を指すのかわからなかったり。
これで時系列に並んでいるならまだわかるけれど、そういうわけでもない。初心者の私は読みながらかなり混乱しました。
歌舞伎役者の名前はコロコロ変わるものだとはわかっているけど、もうちょっと親切に書いていただけたらなぁ・・・・・。

エピソードの一つ一つは興味深いけれど、古くからずっと成田屋を応援している方々が楽しむ本、という印象。

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# by june_h | 2007-04-27 22:25 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(2)

集英社インターナショナルから出版されている「痛快!~学」シリーズの歌舞伎編。
執筆者は、歌舞伎のイヤホンガイドでお馴染みの小山観翁さん。私は彼のイヤホンガイドが一番面白くてスキです。

冒頭部分は、彼の家の話だったり、イヤホンガイドの自慢話だったりして「アタシは歌舞伎について知りたいの。あんたの話を聞きたいんじゃないの(-_-#)」と、怒りながら読んでいたのですが、いろんな歌舞伎入門の本の中で、この本の内容が一番印象に残っているんですねえ。それは何故かというと、小山さんが面白いと思っていることだけを載せているからかな?

ほかの入門書は、歌舞伎をなるべく客観的に、分かりやすく解説しようとしています。でも、歌舞伎は客観的に分析されても面白かぁない。あらすじや人物相関を忠実に再現されても、複雑に感じるだけだし、そもそも登場人物の名前が難しいしから、やっぱ歌舞伎は敷居が高い!って投げ出しちゃう。それより「この芝居で十五代目市村羽左衛門は西洋人とのハーフだったから、高い鼻を見せつけるために横顔で見得を切った」みたいな話のほうが面白い。

本で読むより、歌舞伎通の人と一緒にお芝居見ながら解説してもらうのが、一番良いんですけどね。

小山さんの話は歌舞伎だけにとどまらず、絵島生島事件の真相や、浮世絵の東洲斎写楽の正体など、多岐に渡ります。
特に興味深かったのは、江戸時代の芝居小屋のお得意様だった大商人のお嬢様達の話。
芝居見物が決まったお嬢様は、その日に着ていく着物をキャアキャア言いながら何枚も新調し、当日、お共の人を連れて屋形船に揺られて芝居小屋へ(屋形船の乗り降りの方法まで書いてある)。実際のお芝居が始まると、幕間(休憩時間)ごとに、着物を着替えたそうな。
今も歌舞伎座に行くと、晴れ着の人をよく見かけますが、江戸時代のお嬢様の気合いの入れ方はスゴいです(^_^;)

ああ、私も江戸時代のお嬢様になって、屋形船で芝居見物に行ってみたい(*^_^*)

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# by june_h | 2007-04-26 20:55 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(2)

鴻上尚史が主宰している舞台を観に行くと、ほかの演劇のビラと一緒に、必ずあるものが配られます。
鴻上尚史の思いが綴られた、大学ノートのコピー。それが「ごあいさつ」です。この本には、1981年の第三舞台旗揚げ公演から、2004年の『ハルシオン・デイズ』までに配られた「ごあいさつ」が収録されています。

鴻上尚史のごあいさつ―1981‐2004

鴻上 尚史 / 角川書店


私が初めて「ごあいさつ」を劇場で受け取ったのは、この本の最後にある『ハルシオン・デイズ』から。以来欠かさず、鴻上さんのお芝居と一緒に、この「ごあいさつ」を楽しみにしています。
気づけば、本編よりも「ごあいさつ」を楽しみにしている自分がいます(笑)。なぜかはわかりませんが、この「ごあいさつ」を読んで、「鴻上さんと結婚したい!」などと思ってしまいました(^^;;;

「エッセイでは、作者の恥ずかしいことは意識的に隠されてしまう。でも、芝居や小説は、作者の無意識的な部分が出てくる。だから面白いんだ」
とは、私の知り合いの言葉ですが、鴻上さんに限って言えば、エッセイのほうが芝居よりも自分が出てます(笑)。こんなことまで書いちゃっていいのかしらん、と、こっちがドキドキしてしまうほど。だから面白いんですけどねー。

最初のごあいさつが書かれてから、まだ本に収録されていない現在までのごあいさつを合わせると、四半世紀以上経っているのですが、鴻上さんの考えていることは、ほとんど変わっていません。
ミもフタもないくらい大雑把に言えば、愛ってなんだろう?とか、生きるってタイヘンだ!とか、ありきたりな内容だけれど、一つ一つの言葉が深くて「うん、わかるわかる」って納得しちゃう。鴻上さんのお芝居や本を読んでいると、昔から私のことをよくわかってくれている人と、ひとしきり話したような爽快感が得られるのです。
でも、そう思うのは私だけではないはず。彼の言葉が多くの人の気持ちに響くのは、きっと、彼が何事も真面目に真正面から全身でガーッと受け止めて、いっぱい傷ついて、その結果手に入れてきた言葉達だからだと思うのです。ちょっと、説教臭く感じてしまう箇所もありますが、彼のご両親は、共に教師だったということで、「芸風」と思いませう。

失恋したり、受験に落ちたり、何かに挫折したことのある人なら、彼の一つ一つの言葉の意味が、この本の面白さが、きっとわかるはずです(笑)。

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# by june_h | 2007-04-22 20:10 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)