【映画】スチームボーイ

いつ見ても、大友克洋の描くメカと人物って、不気味だよなあ・・・・・と思いつつ、結局最後まで見てしまった映画。

『AKIRA』、『迷宮物語』を見てても思ったけど、建物やメカの質量や、重力をすごく感じます。主人公が持ってるスチームボールは、これくらいの重さなのかなあ、なんて想像してしまいますし。
メカの動きもリアルを通り越して、生き物みたい。世界が滅んでも、ずっと動き続けていそうな不気味さがあります。

メカに対する監督のこだわりもよく伝わってくるのですが、メカや大きな建物が、ドーンと盛大に壊れることに対しても、異常な興奮とこだわりを持っていることがわかります。
私にはない感性だなあ。

『幻魔大戦』を見てても思ったけど、大友克洋のキャラクターって、すごく不気味に感じるのです。半分機械の体になってしまった主人公の父親とか、かわいくないヒロインとか。主人公も、上目遣いでいつも睨んでいるし。

今度、大友克洋が監督をする実写版映画、『蟲師』が楽しみです。
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# by june_h | 2007-03-08 10:07 | 映画 感想 | Trackback | Comments(0)

舞台そのもの、と言うよりは、重厚で巧みな脚本の素晴らしさに感動した作品。もちろん、役者さん達の演技も衣装も舞台美術も良かったけれど、これだけジャン・コクトーの作品が魅力的で分かりやすく感じられたのは、脚本に対する、美輪明宏の深い解釈と演出力の為せる技なのだと思う。

最初の1幕目はやっぱり取っつきにくかった。朝から映画だの芝居だのを観てきて、体力的にも限界だったし、昼間観た『僕たちの好きだった革命』とは正反対に、場面転換がほとんどなくて、退屈に感じられたのだ。それをカバーするための、役者の動きに変化を付けるなどした「配慮」はわかったけれど、さすがに1対1のやりとりが10分以上も続くのは正直ツラかった。

でも、2幕目で気づいた。
これは単なるセリフのやりとりではない。言葉の立ち回りなのだ。言葉の刃がいつ、本物の銃や刃に変わるかわからないスリリングさに気づいた時、これほど刺激的な舞台はないと、意識が釘付けになった。

嵐の夜に出会ったのは、隙あらば自分を追い落とそうとする宮廷に疲れ果てた王妃と、自由主義者の仲間達にそそのかされて彼女を暗殺しようとした詩人。
1幕目は、嵐が好きだと言う王妃の純粋さと、死んだ夫の影にすがりつきながら、ひたすら自分の死を願う彼女の深い孤独と絶望が描かれている。

2幕目は、王妃と詩人の、純粋で孤独な二つの魂がだんだん近づいて、愛が生まれるプロセスが丹念に描かれている。二人の間にあった心の壁が、だんだん薄くなって、最後にピッタリつながってしまう様が目に見えるような、二人の美しくて激しい言葉のやりとりに、涙腺が熱くなる。

そして3幕目は、まさに王妃役の「美輪劇場」。詩人が毒を飲んでしまった後の、王妃の激情と行動が圧巻。クライマックスに向かって昇りつめる二人の感情が、舞台中央の大階段を効果的に使う演出によって、より鮮明でドラマチックに描かれている。階段落ちそのものよりも、それに向かうプロセスがスゴい。

先行抽選発売や一般発売にことごとく外れたけれど、当日券まで粘って観に行った甲斐があった舞台だった。
98年に、美輪明宏の『椿姫』を観てから10年。それから、『毛皮のマリー』、『黒蜥蜴』、『葵の上』、『卒塔婆小町』、『愛の賛歌』、そして『双頭の鷲』。これで、美輪明宏のお芝居はコンプリートできたかな。

P.S.
劇場ロビーは、舞台を祝福する大物芸能人からの贈花でいっぱい!まるで、フラワーアレンジメントの展覧会のよう。
その中で、明石家さんまと大竹しのぶのお花が、仲良く並べられていました。誰の策略?

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# by june_h | 2007-03-07 10:35 | 観劇 観戦 コンサート レポート | Trackback | Comments(0)

ネプリーグはちょうど5人だからNACSが出るとおもしろいよね、なんて前々から思っていたのですが、こんなに早く実現するなんてとってもうれしい!
今までは、DVDの中でしか、NACSにお目にかかったことはなかったので、ゴールデンタイムの、しかも全国放送のバラエティで5人がパッと映ったときは、不思議な感じがしました。

5人ともすっごく緊張してましたね。「もっと面白いリアクションじゃなきゃ!」なんて、内輪目線で応援してました。でも、そえぞれに見せ場があって良かった。特に、音尾君のタイピングの速さには驚きでした。

舞台「HONOR」も、身体に気をつけて乗り切ってほしいです。楽しみにしてます!
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# by june_h | 2007-03-06 09:03 | 水曜どうでしょう 大泉洋 NACS | Trackback(1) | Comments(0)

カーテンコールが鳴り止まない!
とうとう最後に鴻上さんが出てきて
「主役がサヨナラって言ってるんだから終わりなんだよ!」
とニコニコしながらブチ切れていました(笑)。そんな舞台でした。

僕たちの好きだった革命

鴻上 尚史 / 角川学芸出版


タイトルからもわかるように、学生運動が絡む話なので「シュプレヒコールみたいな舞台だったらヤだな・・・・・」なんて考えていたのですが、全然そんなことはなく、おもしろくて楽しくて、ホロリとする良いお芝居でした。
送りバントのようにコツコツと積み重ねられていく、堤幸彦の細かい笑いと、最後に必ずホームランを打ってくる、鴻上尚史の巧みなストーリー展開。この二人のコラボレーションは大成功だったのではないでしょうか。

1966年、学生運動の最中に意識不明になり、30年ぶりに目覚めた主人公と、1999年のイマドキの高校生たち。最初はかみ合わないけど、文化祭という一つの目標に向かって、だんだん一つになっていきます。60年代は学生運動で、90年代はコンサート。熱い気持ちのぶつけ先は違うけど、その根底に流れる想いは、今の学生も昔の学生も変わらない。かみ合わない会話をしながら、ぶつかり合いながら、お互いにだんだんそのことを理解していくのです。

文化祭に向かう息子に、パン屋の父親が「今度は負けるなよ!」と言いながら、かつて自分が学生運動で使っていた、ボロボロのヘルメットを渡すシーン。それまでロクに会話をしなかった親子がつながった瞬間がありました。

この舞台は、学生運動を礼賛するわけでも、批判するわけでもありません。誰も語ろうとしないことで、なかったことにされようとしている60年代。でもその時の「影」は未浄化のまま、30年後
の生活にも確実に漂っている。確かに、結末はあまり良くなかったかもしれないけれど、その時抱いた熱い想いまで、なかったことにしないでほしい。どうか60年代を受け入れて「成仏」させようという、鴻上さんの思いが、主人公の言葉によく表れています。

そして、クライマックスで明かされる、ある言葉とその語源。60年代の高校生と今の高校生が、こんな言葉でつながっていたんだ・・・・・衝撃的で感動的でした。
そしてそして、けだるい教室の日常と、今も世界のどこかで起こっている戦争という現実が一瞬でつながるラストの演出も素晴らしかった。

是非、当初の予定にあったように、映画化してほしい作品です。そして、たくさんの親子に観てほしい作品です。

P.S.
「K.T.(稽古場ブログで伏せられているのでイニシャル)」と「チョコボールムカイ」という言葉を聞いて、大笑いしてしまった私。まさかこんな所でその名を聞こうとは。・・・・・知ってる私ってどうなのよ(笑)。
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# by june_h | 2007-03-05 11:09 | 観劇 観戦 コンサート レポート | Trackback | Comments(0)

どうしよう、感動しちゃった・・・・・とうろたえてしまうほど、大きなエネルギーを感じた映画。

視覚と聴覚でしか訴えられない映画というメディアで、「匂い」という嗅覚をどうやって表現するのか・・・・・という興味から映画館に足を運びました。
観る前は、
ハラワタたっぷりとか一面のお花畑とか、とにかく物量勝負で観る人の嗅覚を無理矢理こじ開けるのかなあと思ったり、
やっぱり「匂い」がテーマだから、官能的で甘美で、愛憎ドロドロエログロの映画かなあ、と思ったり、
いろいろ下世話な想像をしていましたが、良い意味でどちらもバッサリ裏切られました。

まず一つは、匂いを表現するのに、音と光を効果的に使っていること。
特に、殺害された女性の部屋のドアを父親が開けた瞬間や、クライマックスの公開処刑場シーンでの表現が印象的。
そしてもう一つは、グルヌイユの感情表現を徹底的に排除していること。そのため、彼の持っている「魂を揺り動かす香りを作りたい。そしてそれを永遠に留めたい」という想いがことさら強調されます。

彼は、生まれてすぐ母親を殺され、孤児院や皮なめし場といった、パリの最底辺の世界で生きながら、誰とも人間的な心の交流を持つことができずに成長します。そのため、善悪といった世俗の価値観や、喜怒哀楽といった人間の機微は通用しません。匂いでしか、この世とつながることができなかった男です。

映画の中盤で、驚異的な嗅覚とは別に、彼の身体が持つ、もう一つの「宿命」が明かされます。実はこっちの方が重要です。この「宿命」こそが、彼の存在不安の源で、それをなんとか解消するために、「自分の生きた証として香りをこの世に永遠に留めねばならない」という狂気に自分を駆り立てるのです。逆に、元々持っていた存在不安がこの「宿命」の形で表れたのかもしれません。
実際に考えたら絶対ありえないんですが、この二つの宿命が、彼の殺人の動機と後々の展開に大きな説得力を持つのです。

彼は目的を果たすため、処女を次々と殺害して「エッセンス」を搾り取ります。冷静に考えたら、すごくグロくて残忍なことをしているんですが、映画を観ているときは、全然そんなふうに思いませんでした。それどころか、彼の一つ一つの行為が崇高な儀式に思えてくるので不思議です。気づいたら私もグルヌイユ目線になって、一緒になってワクワクしてるんです。コワい映画です。自分がコワいです。

殺人犯として捕まったグルヌイユは、自分の作り上げた究極の「パフューム」を纏って、公開処刑場の処刑台に降り立ちます。「彼を殺せ!」と騒いでいた群衆は、その香りを嗅いだ途端、彼を神のように崇めたて、公開処刑場がエデンの園にガラリと変化します。彼が纏っていたのは青い服、そして処女の香り。なるほど、聖母(処女)マリアの降臨の象徴ですね、とニヤリ。
『オペラ座の怪人』の怪人エリックが「美」に殉じたのだとすれば、『パフューム』のグルヌイユはまさに「匂い」に殉じた男なのです。

この監督さんの力量はスゴいですね。だって、ちょっと間違えば、グルヌイユがひたすらキモいホラー映画になったり、「原料」として見ていた生娘に恋をして悔い改めるなんていう安っぽい恋愛映画になったりする危険性が高い話なので。そういう落とし穴をくぐりぬけて、実際に考えたらアリエナイことだらけなんだけど、最後まで観終わると、純粋すぎる一人の男の人生の物語として、受け入れてしまっている自分がいます。
でも、ネットの感想を読むと「ただの変態映画じゃん!」っていう意見が多いですね。・・・・・ってことは、私も変態?

P.S.
チケット○○でこの映画の前売券を購入したとき。
「パフューム、ある人殺しの物語、でよろしいですね」と、大声で3回も確認されました。なぜそこを強調するんだ。ハズカシイ(^^;
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# by june_h | 2007-03-04 13:50 | 映画 感想 | Trackback | Comments(0)