「この子らに世に出してもらって、この子らに潰されるんや。おれらのブームは、そう長くはつづかへん」

自分を一目見ようと熱狂するお客さん達を前にして、ふと中田カウスの頭に浮かんできた詞。
当時は漫才ブームのまっただ中。うめだ花月のホールで渦巻く喧騒の中、カウスは醒めていました。
自分を応援してくれるお客さん達は、ありがたい存在であると同時に、とても残酷な存在でもある。ブームが去ると、手のひらを返したように、去って行ってしまう。人の心は移ろいやすいもの。

吉本興業、カネの成る木の作り方 エディトリアル

大下 英治 / 講談社


小さな寄席小屋からスタートした吉本興業が、舞台やテレビなど、様々なメディアを通じて、いかにして日本の笑いの文化を支えるまで大きくなっていったのか。エンタツアチャコ、笑福亭仁鶴、桂三枝、横山きよしなどのエピソードも交えながら紐解いていきます。

古くは、木戸銭をディスカウントした薄利多売商法、年功序列にこだわらない実力主義、最近では内弟子制度にとらわれない吉本総合芸能学院(NSC)による人材確保。特に人材育成システムに関してはまるで、欧米のバレエの国立機関のよう。お笑いタレントを養成する機関としては、世界広しといえどもこの吉本だけでしょうね。

それにしても、成功している芸能プロダクションは、奥さんがしっかり者のケースが多いですね。吉本興業の吉本せい、渡辺プロの渡邊美佐。最近では、タイタンの太田光代、OFFICE CUEの鈴井亜由美。

この本の惜しい点は、会社案内みたいな内容に留まっている点。もう少しドロ臭い話も聞きたかったな、というのが正直なところ。

吉本興業所属のタレントは、バラエティ番組には欠かせない存在ですが、今でも花月やルミネTHEよしもと、吉本∞ホールなど、劇場ライヴでの育成を重要視しているそうです。ライヴはお客さんの反応が直に分かりますし、アドリブも鍛えられますからね。
今度、神保町花月もできることだし、吉本のライヴに行って見ようかと思います。

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# by june_h | 2007-04-19 20:23 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(2)

勘九郎から勘三郎へ。
平成中村座ニューヨーク公演から、十八代目中村勘三郎襲名公演までの約4年を追ったルポ。

さらば勘九郎―十八代目中村勘三郎襲名

小松 成美 / 幻冬舎


歌舞伎役者を取り上げたエッセイやルポの多くは、その役者の得意な演目とか、その役者にまつわる歌舞伎のうんちくとか、あくまで「歌舞伎」を切り口にしたものが多いけれど、このルポは違います。
いきなり勘三郎さんの「脚の筋肉」の話から入ります。さすがは小松成美さん。イチローや中田英寿のルポを書いている人だけあります。
そんなわけでこの本は、歌舞伎を知らない人でも、勘三郎の魅力が十二分に分かる内容となっています。
歌舞伎にとどまらない幅広い芝居を務める俳優として、
常に新しい表現を追い求めるアーティストとして、
お客を喜ばせることを何より大切にするエンターテイナーとして、
多くの俳優仲間に愛されるプロデューサーとして、
様々な顔を持つ勘三郎の魅力を堪能できます。

それにしても、勘三郎にも増してスゴいのは、奥様の好枝さん。歌舞伎役者の裏方としての務めを果たす一方で、家事も完璧にこなす良妻賢母です。仕事に明け暮れる勘三郎に代わって、家の一切を取り仕切り、勘三郎のご両親の死に水も取ったそうです。
「私達が離婚したら、この家を出て行くのは哲明(勘三郎)さんの方です」
の詞には、思わず笑ってしまいました。
こんなお姑さんを持つことになる、勘太郎や七之助のお嫁さんは、大変そうです(^_^;)

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# by june_h | 2007-04-18 20:19 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

【映画】大統領の理髪師

ひょんなことから大統領(朴正煕)専属の理髪師となり、数奇な運命をたどる男と、その家族の話。

見終わった直後は、この映画が何を言っているのかよくわかりませんでした。でも、視点を理髪師の息子に移して考えて見ると、なるほど、この映画は朴正煕政権に対する複雑な韓国国民感情を表しているのかなあ、なんて、納得できたような気がするのです。

青瓦台(大統領官邸)お膝元の町で理髪店を営む男は、仲間にそそのかされ、大統領選挙の不正に加担します。その結果誕生したのは、朴正煕大統領。男はやがて大統領の理髪師となり、町中の噂になるのでした。

しかし、そんなある日、理髪師の息子がスパイの疑いをかけられ、警察に連行されてしまいます。息子は拷問の末、脚を悪くして、一人で立つことができない体に。親の不正で誕生した大統領によって息子が大変な目に遭う。親の因果が子に報いてしまったわけです。

息子は拷問されても苦しむことなく、淡々と現実を受け入れます。この息子の態度が朴正煕政権下の国民の態度であったように感じます。
「この子の名は、姓名判断によれば、一生平穏無事に過ごせるはずなのに、なぜこんな目に遭うのだろう」
このセリフで、無辜の民が傷つけられた理不尽さを訴えているように思います。また、大統領の遺影を削って息子に飲ませると、脚が治ってしまうくだりは、朴正煕政権が終わって国民が解放されたことの隠喩であるように思います。

「漢江の奇跡」と呼ばれる急激な経済復興を成し遂げた一方、「反共」の名の下に、多くの市民をスパイ容疑で逮捕し、次々と拷問にかけていった政策。朴正煕政権下で、生活は豊かになった一方、いつ自分が捕まるかわからない窮屈さがあったわけです。息子がひどい目に遭っても、大統領の亡骸に最高礼をする理髪師の態度は、朴正煕に対する国民のアンビバレントな気持ちが良く表れています。
それにしても、この映画に限らず、韓国では政治がらみの映画がよくヒットしますね。日本じゃ考えられないことです。うらやましいような、そうでないような、複雑な気持ちです。

どっかの国民みたいに「良い候補者がいない」なんて言い訳して選挙に行かずにいると、いつか子どもが拷問される目に遭うかもよ。なんてね。ふふ。
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# by june_h | 2007-04-16 20:35 | 映画 感想 | Trackback | Comments(0)

TEAM NACSが全員揃ってNHK登場!
NHKっぽく、カッコつけて「僕達が成功したのは・・・・・」てな感じで語るのかと思っていましたが、普段どおりの飾らない雰囲気で、面白かったです。

話の内容的には、既知のものがほとんどでしたが・・・・・
・モリさん、「モノをよく無くすから、ナックスです」には笑っちゃいました
・シゲさん、最近カッコいいです(関係ないですね)
・安田さん、パンツ脱いだことを隠したって、もう遅いです(^^;
・大泉さん、やっぱりほかのメンバーのフォローに徹してましたね
・音尾君、ちっちゃいときから全然変わってないのね(笑)

最近、私の中では、シゲさんの株が上がってます。HONORのシゲさんが良かったからでしょうか。以前は、大泉さんにマジギレしてばっかりで、怖い人だな~っていうイメージがありましたが、お芝居で生のシゲさんを見てから、おっ?実は魅力的な人?とか思ったりして。
そんなわけで、「宝塚BOYS」も「GHOOOOOST!!」も観に行きますよお♪

HONORもいよいよ北海道へ。ガンバレ!!
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# by june_h | 2007-04-15 09:55 | 水曜どうでしょう 大泉洋 NACS | Trackback | Comments(0)

新皿屋舗月雨暈(通称:魚屋宗五郎)
■「芝片門魚屋内」の場
■「磯部屋敷玄関」の場
■「磯部屋敷庭先」の場

・魚屋宗五郎:中村勘三郎
・召使おなぎ:中村七之助


まさにまさに、中村勘三郎ワンマンショー!といった趣。

勘三郎が演じるのは、酒癖が悪くて禁酒している男。妹の死をきっかけに、香典の酒に手をつけてしまい、とうとう酔っ払って妹の奉公先に押し入ります。
圧巻なのは、酔っ払っていく過程。最初は遠慮がちに杯で飲んでいたのが、鉢で飲むようになり、ついには樽を抱え込んで飲み干してしまいます。言い訳しつつゴクゴク。悪態つきつつグビグビ。そしてとうとう立派な酔っ払いの出来上がり。
勘三郎の動きは「酒を飲む」というより「喉が酒を吸い込む」ように見えるんです。どんどん酔っ払っていく勘三郎の一挙手一投足に、観客が沸きます。
その辺の酔っ払いは、酔いが深くなるほど不快感が増しますが、勘三郎の宗五郎は、飲めば飲むほどどんどん魅力が増していくんです・・・・・(^^;;;私も芝居であることを忘れて「そんなに飲んだらタイヘン!」とか思いつつ、宗五郎がお屋敷に乗り込んで行くところでは「行け行け!ヤレヤレ!」と応援する始末。
ああ~、私もついに、酔っ払いに甘い日本人になってしまった(^^;

酔っ払いに甘いのは私だけじゃない。乗り込まれたお殿様も、暴れる宗五郎の胸の内を聞いて、短慮で妹を殺したことを詫び、見舞金まで彼に贈ります。
武士の屋敷に押し込むなんて、お手打ちになっても不思議ではないのにね。昔は身分の上下がハッキリしていたから、普段は表向きタテマエしか話せない社会だったけど、お酒の力を借りれば、ホンネを話すことが許されたんでしょうね。それで、身分制度のギスギスを、いくらか解消していたのでしょう。この芝居を見てなんとなく、日本人が酔っ払いに甘いワケがわかったりして(笑)。

それにしても七之助さん、女形で化粧をすると、お母様ソックリですね(^^;
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# by june_h | 2007-04-14 14:17 | 歌舞伎 鑑賞 | Trackback | Comments(2)