・杉酒屋娘お三輪:中村福助
・烏帽子折求女実は藤原淡海:市川染五郎
・入鹿妹橘姫:市川高麗蔵
・漁師鱶七実は金輪五郎今国:中村吉右衛門

このお芝居はねぇ、イジメに悩んでる人が観てどう思うか、是非聞いてみたいの。お三輪ちゃんが、よってたかってお局軍団にいじめられるシーンが延々30分くらい続くんです。なんか、イジメのやり方が、学校のクラスで見かけた集団イジメみたいだったんだもん。

理不尽な弱い者イジメなわけですよ。しかもお三輪ちゃんはこのあと殺されてしまう。歌舞伎的には殺されることで筋が通るかもしれないけど、客観的に見たらどう考えたって理不尽だ。この場だけで見ると、まるでお三輪の血が欲しいからって、五郎と侍女達がグルになってるように見えなくもない(^^;

そんでもって、お三輪ちゃんは「スキな人のために死ねるならうれしい。今世では縁が薄かったけど、来世できっと添い遂げましょう」なんて言いながら息絶える。ドコまで人がいいんだ。まあ、それだけ、淡海のことを愛していたんだろうけど。お三輪ちゃんが持ってた白い糸束が、私には、みるみる血で赤く染まっていくように思えた。五郎役の吉右衛門さんが憎らしく見えたわ(^^;

まあでもよく考えたら、人生って、理不尽なことだらけかもしれませんが・・・・・。


■妹背山婦女庭訓 三笠山御殿の場

<あらすじ>
愛する男性、淡海に会いたくて、お三輪は蘇我入鹿の屋敷に入りこむ。そこで淡海が、入鹿の妹、橘姫と結婚することを知り、お三輪は二人の婚礼の広間を目指す。しかし、意地悪な侍女達にいじめられ、足止めを食らい、淡海を一目見ることさえ叶わない。
散々いたぶられ、捨て置かれたお三輪は、怒りと悲しみのあまり、髪を振り乱し、「擬着」の形相を呈して再び淡海のもとを目指す。
そのとき、五郎がお三輪の前に現れ、お三輪を刺してしまう。なぜ刺したのかと五郎に問う瀕死のお三輪。五郎は、自分が淡海の家来であり、淡海の宿敵、蘇我入鹿を倒すために、擬着の相をした女性の血が必要だったと告げる。それを聞いたお三輪は、自分の死が、愛する淡海のためになるならうれしいと、満足そうに息絶える。

<関連リンク>
五月大歌舞伎(歌舞伎美人)
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# by june_h | 2007-05-09 20:29 | 歌舞伎 鑑賞 | Trackback | Comments(0)

・太郎冠者:中村歌昇
・上臈:中村芝雀
・大名某:中村錦之助
・醜女:中村吉右衛門

「キレイな女性と結婚できますように」・・・・・大名が神社でお参りした後、釣りをすると美女が釣れた!それを見ていたお供の太郎冠者。自分も真似して釣りをすると、とんでもないブスが引っかかってしまった。
元々は狂言。そんなわけで、太郎冠者は能衣装。
このお芝居にはガイドはいりません。肩の力を抜いて楽しめます。

ブスな女役は、なんと吉右衛門さん。いつものカッコいい立役とはうってかわって、ヘンなメイクの大女。大名役の錦之助に、ヘンな掛け声をかけたりして、太郎冠者を羽交い絞めにするあつっくるしい女性になりきり、観客を沸かせていました。それにしても、中村錦之助は、優男の役がピッタリ!
このお芝居は、中村勘三郎バージョンも見たい。元々は、先代の勘三郎の当たり役だったみたいだし。勘三郎なら、太郎冠者でも醜女でもイケそう。


<関連リンク>
五月大歌舞伎(歌舞伎美人)
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# by june_h | 2007-05-08 20:16 | 歌舞伎 鑑賞 | Trackback | Comments(2)

「嫌われることばっかりやってる人間はな、本当は心の中では、好かれてぇ、好かれてぇ、と思ってるもんなんだよ」
by平蔵

・長谷川平蔵:中村吉右衛門
・船頭友五郎:中村歌六
・長谷川久栄:中村福助
・女中およね:中村歌江

本当に良いお芝居でした!

鬼平犯科帳 第9シリーズ《第1話スペシャル》 [DVD]

松竹ホームビデオ


花道から船に乗って悠々とやってきた、我らが播磨屋、吉右衛門さん♪
新橋演舞場は親切ですね。花道が見えない席には、ちゃんとモニターが用意してあります。

派手なチャンバラがあるわけでもないし、ズバッとスッキリする勧善懲悪の時代劇でもない。でも、全編とおして、ずーっと涙腺をジワジワ刺激する。そんな不思議な時代劇。
ストーリーありきの時代劇が多い中、鬼平は、キャラクターの人となりや、人と人とのなにげない会話を、とっても大切にしていることがわかります。久栄とおよねの主従の会話、平蔵と久栄の夫婦の会話、一つ一つのやりとりを見ていると、あったかーい気持ちになります。

圧巻は、キセルを盗まれた平蔵と、キセルを盗んだ友五郎の茶屋でのやりとり。お互い素性を隠して、平蔵は盗人の悪口を言いつつ、友五郎は役人の悪口を言いつつ、反発したり共感したり、だんだん二人の距離が縮まっていきます。
茶屋の窓の外を眺めながら、自分の人生と亡くなった息子を思い出して涙にむせぶ友五郎がなんともせつない。そして、とうとう友五郎が、自分の罪を白状したところで、平蔵がさりげなく、盗まれたキセルを見せて、身分を明かして幕。地味ぃな展開なのに、なんかスゴい感動してしまったぞ!
友五郎を演じる歌六さんは女形のイメージがあったけど、立役でも味がありますね。

惜しむらくは、暗転や舞台転換が多くて、芝居の流れがブツブツ切れてしまったこと。屋形船の場面、平蔵の屋敷の場面、茶屋の場面とあるから、まあしょうがないかな。幕の向こうで、大道具さん、大忙しでした。

鬼平犯科帳を何本か見て、だんだんとパターンが見えてきました。
・平蔵の部下(アウトサイダーが多い)と、悪役が古い知り合いである。
・なぜ悪の道に踏み込んでしまったのか、悪人の生き様を丹念に追いながら「悪人も人の子である」ということを印象付ける。
・平蔵の深い情にほだされて、悪人が自分の罪を白状してしまう。
だいたいこんな感じ?


<関連リンク>
五月大歌舞伎(歌舞伎美人)
鬼平犯科帳(ウィキペディア)
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# by june_h | 2007-05-07 20:45 | 歌舞伎 鑑賞 | Trackback | Comments(0)

・鳴神上人:市川染五郎
・雲の絶間姫:中村芝雀

あらすじを読んだ限りでは「悪の超能力者vs美少女戦士」なんですが、実際の芝居を見ると「ウブな思春期の少年をたぶらかす年上の女」の話です(笑)。鳴神上人じゃなくて「鳴神少年」が、ひたすらカワイらしくって、微笑ましくって。鳴神クンは悪役なんだけど、お姉さん、スキになっちゃいました(笑)。

鳴神くんは、女性に触ったこともないし、お酒を飲んだこともないオクテな男。そんな彼を、クモノタエマ姫はガッチリ誘惑。彼の気を引くためにワザと無視したり、病気のフリをして彼の優しさを利用したり。
「どうしたの?お姫様。体が痛いの?じゃあ背中をさすってあげる。胸も痛いの?じゃあ胸もさすって・・・・・あ、柔らかい・・・・・」
あまりにも素直に姫のワナにかかる鳴神くん(^^;

酒を飲むのをイヤがる鳴神くんに「アタシの酒が飲めないっての?ええっ?」とスゴむ姫。しぶしぶ飲んで、やがて酔いつぶれる鳴神くん。なんか大学の新勧コンパで、先輩女性に無理やり酒を飲まされてツブれる新入生の男の子みたいだぞ(笑)。

泥酔して神通力を失った鳴神を見下ろして、してやったりの姫。滝の封印を解いて竜神を解放すると、降りしきる雨の中、高笑いで去っていく。
残された鳴神くんは、怒って弟子達にさんざん八つ当たりしたあと「日本全国追っかけて、姫を見つけ出してやるからなあ!」と憤怒の形相で花道を去っていく。

まるで、純情を踏みにじられて、フラれた男が逆上して、ストーカーになるみたいじゃないか。ワカリヤスイ、わかりやすすぎるよ、鳴神くん。カワイイよ。カワイすぎるよ。
鳴神くんは全然悪くないのにね。そもそも、竜神を閉じ込めたのだって、天皇が約束を破ったからなんだよね。それなのに、この仕打ちはヒドいよね。カワイソウ。でもオモシロイ(笑)。

私としては「鳴神その後」が観たいですね。でも、再び姫と対決して、結局は殺されて終わりそうですね(笑)。「あなたを愛してしまったのに・・・・・なぜ・・・・・(絶命)」なんてね。

中村芝雀演じる、雲の絶間姫の悪女っぷりに拍手!



<関連リンク>
五月大歌舞伎(歌舞伎美人)
歌舞伎十八番の内『鳴神』(ウィキペディア)
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# by june_h | 2007-05-06 14:15 | 歌舞伎 鑑賞 | Trackback | Comments(4)

自分の指を見ながら
「この指輪のせいで、何人死んだんだろう」
と、考えずにはいられない映画。

ダイヤの価値を決める"4つのC"
Color(色)、Cut(カット)、Clarity(透明度)、Calat(カラット)
しかし、実は5つめのC「Conflict(紛争)」が存在することを、あなたは知る


このコピーに魅かれて観に行くことに決めた私。
ダイヤモンドをめぐるサスペンス、ということで、当初は、シドニィ・シェルダンの『ゲームの達人』
みたいなストーリーを想像していた。とんでもなかった。
ダイヤ一粒を追いかけることで浮かび上がってくるのは、絶え間ないアフリカの内戦を生み出す愚かな欲望と、その地で暮らす民の怒りだった。
ちゃちな善悪や、感傷に流されることなく、「神も見捨てた大陸」の現実を淡々と追いかける映画。骨太の143分。

ブラッド・ダイヤモンド [DVD]

ワーナー・ホーム・ビデオ


この物語は、ゲリラに家族を奪われ、自身もダイヤの採掘場で強制労働させられている男、ソロモンが、大きなピンクダイヤを掘り出したことから始まる。そのダイヤをめぐって集まった3人の思惑が交錯する。ソロモンは、家族を救うために。ダイヤ密売人のアーチャーは、アフリカを抜け出すために。ジャーナリストのマディーは、内戦を裏で操る企業の証拠をつかむために。

レオナルド・ディカプリオ演じるアーチャーは難役だ。マディーと昔語りをするシーンで、両親を殺された悲しみを抱えつつ、人間に絶望しながらも、孤独に這いずり回りながらアフリカの現実を一人生きてきた男の複雑な表情が良く出ていた(アーチャーの年齢と、私の実年齢、一緒なんですけど・・・・・)。特にクライマックス、兵士に囲まれながらマディーにコンタクトを取るシーンは見ものだ。

ダイヤを巡る争いもさることながら、子供達がゲリラにさらわれて少年兵になる過程がおぞましい。集落を襲ったゲリラは、大人達をなぶり殺し、子供をさらって銃を与え「軍人以外の人間は虫ケラだ。殺していいんだ」と教えこむ。
子供は素直だ。血と暴力と酒と麻薬にまみれた集団の中で、何のためらいもなく人間を殺す「殺人マシーン」になってしまう。そして繰り返されるのは、難民と貧困と飢餓の量産。これは今でもアフリカのどこかで起こっている現実だ。

映画の中では、しばしば、銃を持った少年達が、ジープに乗って、大音量のラップミュージックを鳴らしながら集落を襲う・・・・・。ラップをBGMに、えげつない殺戮や狂宴が繰り広げられるので、しばらくブラックミュージックを聴くと、思い出して気分が悪くなりそうだ。

「白人達がダイヤを欲しいのはわかる。でもなぜ、黒人同士が争わなきゃならないんだ?」
裏にあるのは、ダイヤモンドの値段を不当に買い叩くために内戦を作り出し、武器を輸出するために戦いを長引かせる「死の商人」達の存在。

「ダイヤモンドは永遠の輝き」なんて言っているけど、その輝きの裏にある闇は、底無し。
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# by june_h | 2007-05-04 10:08 | 映画 感想 | Trackback | Comments(0)