アメリカのバレエコンクールの最高峰「ユース・アメリカ・グランプリ」。
その決勝に進んだ7人のバレエダンサーの生活を追ったドキュメンタリー映画。

プロのバレエダンサーになるには、小さい時からの鍛練、レッスンを続けるためのお金、そして、本人の熱意が必要。

高校生のレベッカは、このコンクールでバレエシアターのスカウトを狙っています。彼女の父親曰く「レベッカに費やしたお金は車2台分」だとか。
9歳のアランは、フランスのパリオペラ座のエトワール、マチュー・ガニオの父に「生涯に1、2度出会えるかどうかの逸材」と認められ、日々、レッスンに励んでいました。
12歳の日米ハーフのミコは、コーチと母親が付きっきりで指導。
9歳のイスラエル人のガヤは、コンテンポラリーを踊っているときは、大人のよう。

バレエダンサーにケガは付き物。
シエラレオネの戦災孤児で、アメリカ人の養子になったミケーラは、決勝直前にアキレス腱炎に。痛みをおして立派に踊りきったものの、残念ながら入賞を逃してしまいました。
家族の生活を支えるために奨学金獲得を目指していたコロンビア人のジョアンは、英国ロイヤルバレエのスカラーシップを獲得。映画館の客席から、拍手が起こりました!

ユース・アメリカ・グランプリは、ローザンヌのコンクールに比べて、お客さんが砕けた雰囲気だったのが印象的。

そういえば、ミコは、ローザンヌの本選に出場することになったとか!お母様、良かったですね♪
弟のジュールズは、とてもマイペースな性格で、バレエを辞めると言ってお母様を泣かせてしまっていたけれど(^^;彼の方が大物になるような(笑)。

海外のドキュメンタリー映画は、淡々としているものが多いのですが、この映画は、構成が工夫されていて、一つ一つのトピックがハッキリしているので、最後まで飽きることがありませんでした!あっという間です。
バレエがお好きな方は、楽しめますよ♪
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by june_h | 2012-12-20 13:06 | 映画 感想 | Trackback | Comments(2)

バレエダンサー首藤康之のドキュメンタリー映画です。
チケットが当たったという友達に誘われ、初めて舞台挨拶付きの映画に行って来ました!

映画の上映後、小林潤子監督と首藤さんが登場。
映画について詳しく語ってくださいました。

ダンサーのドキュメンタリー映画を、今までいくつか観て来ましたが、この映画は、その中でも、結構上位です!
特に良かったのは、椎名林檎作曲の「Between Today and Tomorrow」に合わせて首藤さんが踊る、オープニングとエンディングのシーン。
クレーンカメラ一つで、ワンカット、つまり、ノーカットで首藤さんの踊りを追いかけるシーンです。
普通、踊るシーンを撮るときは、顔をアップにしたり、手足だけ抜いたり、引きで見せたり、その時その時のベストな画を見せようとするので、細かくカットを割ることが多いのです。
でも、そうすると、踊りの「流れ」が途切れるし、ダンサーの「間」がわからない。
振りだけではなくて、「間」も、踊りを構成する重要な要素だし、ダンサーによって個性が出る部分なので、それがわかるこの撮り方は画期的!だと思いました。

しかも、首藤さんの動きを邪魔せずにカメラが動いていくので、見ていて不思議だったのです。
何度もリハーサルしたのか、細かく動きを決めたのか。
でも、どちらでもなかったのです・・・・・。

この映画のために、2年も首藤さんを追いかけたカメラマンさんは、首藤さんの動きが大体予測できるようになったんですって!撮りながら、一緒に踊っていたこともあったんだとか(^^;
そんなカメラマンさんだから、あんな素晴らしいシーンが撮れたのですね!

あと、小林潤子監督に、バレエと首藤さんに対する余計な先入観がなかったのも良かったと思います。
言葉よりも饒舌な、彼の身体の動きや眼差しを、真っ直ぐとらえていました。

首藤さんを表すキーワードは「近づき難い」!?

道を極めた男性というのは、修験者のような雰囲気を醸し出しますが、首藤さんもその例に漏れず。
目が無邪気だけど、透徹としていて。
寒山と拾得は、きっとこんな目をしているんだろうなって思ってしまいました(^^;

首藤さん自身は映画で
「「近づくなオーラを出している」って皆に言われるけど、それは敵意ではない。自分のやるべきことをやっているだけ」
と語っていらっしゃいました。
小林潤子監督の
「近づき難い人というイメージがありましたが、実際にお会いしてみたら、思ったよりも物腰が柔らかいと一瞬思いました」
という言葉も、わかるような気がします(^^;

そして、もう一つのキーワードは「不器用」。

首藤さんと仕事で関わった人達が、揃いも揃って「不器用な人」だと言います。
特に、東京バレエ団で同僚だった斎藤友佳理さんは、インタビューで「ぶきっちょ」を連発(^^;

首藤さんは、一つのことに盲目的になって、他のことが考えられない「不器用」な人なんだそうです。
自分が納得するまで、じっくり一つのことに努力できることが、天才的な踊りを支えているのだと。

「不器用」は、褒め言葉なんですね!

前から2列目の位置から見たので、首藤さんの物腰や表情が、よく見えました。
でも、踊っていない首藤さん、なんだか手持ちぶさたに見えました(^^;
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by june_h | 2012-01-11 12:54 | 映画 感想 | Trackback(1) | Comments(0)

友達に誘われて足を運びました。
最寄りの大崎広小路駅は、東急池上線。初めてだったので、五反田駅からの乗り換え口がわからず(^^;
ゆうぽうとホールも初めてでしたが、コンパクトながらオケピもあって良いホールですね!2階席からでもよく見えました。
客席も、バレエを習っているオシャレでカワイイお嬢さん達がたくさんいて、華やかです(^^)

さて、「ジゼル」ですが、以前にシルヴィ・ギエムで観たことがあったような気が・・・・・と思ったけど、「マノン」だったかも(^^;
何にせよ、全幕見るのは初めて。今回は、初めて尽くしですね!

幕が開くと、絵本から飛び出して来たようなカワイイ西洋の村のセットがステキ♪
1幕目のジゼルのソロは、ローザンヌのバレエコンクールでよく見ます。片足で、愛らしく優雅に踊り続けるのは、大変な技術が要りますよね。ジゼル役は、ロシア人のディアナ・ヴィシニョーワさん。ローザンヌで金賞受賞の経験もあるトップダンサーです。終わった後、拍手喝采でした!
村娘さん達の踊りとか、短い踊りをつないで見せる舞台なので、わかりやすくてメリハリがあります。何人かで踊るパートでは、
「だーれが一番上手かなー」
なんて、意地悪な目線で見たりして(^^;

2幕目は、1幕目とは、うって変わって、薄暗い舞台。
夜の墓場が舞台なんで、仕方ないのですが、もう少し照明を明るくしてくれても良かったのに。眠くなっちゃいました(^^;
2幕目のアルブレヒトのソロも、ローザンヌのコンクールでよく見ますね。
音楽を聞いていると「あ、この曲、ジゼルの曲だったんだ」っていうようなのが多かったです。BGMなんかでよく使われているんですよね。

旅行疲れで気持ちが落ちていたので、晴れやかな気分になれて良い舞台でした♪
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by june_h | 2011-08-19 20:12 | 観劇 観戦 コンサート レポート | Trackback | Comments(0)

見ていて、とにかくスゴいと思いました。
周防監督の、草刈民代に対する想いが(^^;
世間一般の、妻に対する夫の気持ちでもないし。かといって、女優に対する監督の気持ちというのも違う気がするし。

自分が褒められるより、奥さんが褒められる方が嬉しそうだし。
この映画によって、草刈民代の素晴らしさを引き出し、永遠に残しておきたいという気持ちを強く感じました。

フランスの振付家ローラン・プティが、イタリア人ダンサー ルイジ・ボニーノのために作ったの舞台を、草刈民代を含めて再構成したこの映画。チャップリンの映画にちなんだバレエということで、『ライムライト』『街の灯』『黄金狂時代』など、懐かしく思い出していました。
てっきり、草刈民代の舞台の映像化だと思っていたのですが、映画のためだけにバレエの演目を再構成して、カメラの前でだけ踊った「バレエの映画」だったのですね。

ルイジさんは、温かくて、面白くて、場を盛り上げてくれる一方、リハーサルは、シビアな目でキッチリ締めてくれる、素晴らしいダンサーという印象です。
御年60歳でいらっしゃいますが、草刈民代をガッチリ担いでダンス!男性は体力勝負ですね(^^;

大人気なのに、銀座テアトルシネマでしかやっていないので、14時に窓口に行った私が手にできたのは、19時からのチケットでした。
今の銀座は、本当に外国人がいませんね・・・・・。
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by june_h | 2011-05-03 17:54 | 映画 感想 | Trackback(1) | Comments(2)

タンブリッジウェルズ(Tunbridge Wells)からロンドンに戻り、レスタースクエア(Leicester Square)でミュージカルチケットをゲットした後、さすがに疲れたので、地下鉄の駅へ。
ところが、地下鉄から人があふれている。
もしかしたら、また地下鉄が止まっているのかもしれない・・・・・正確な情報はわからなかったけど、時間がもったいないので、別の駅まで歩いてみることに。
どうせなら、みたいと思っていたバレエがある、ロイヤルオペラハウス(Royal Opera House)まで行ってみよう!チケットが手に入るかもしれないし・・・・・と歩き始めましたが、雨が降り出してきちゃった。
ロイヤルオペラハウスに着いた頃には、すっかり疲労困ぱい(^^;
せっかく来たので、ボックスオフィスでチケットがあるか聞くと、今日の分はやっぱり売り切れ。
でも、地下の小ホール(Linbury studio theatre)でやるバレエのチケットがあるという。座れればなんでも良いや、と思って、軽い気持ちで取ってみました。

開演まで間があるので、ロビーのドリンクコーナーで、サンドイッチと紅茶を注文。店員に
「English breakfast?」
なんてからかわれたけど、相手することもできないくらい疲れてる(^^;;;
あー、早く帰りたいなぁ・・・・・と思っていたら、今度は、ボードを持ったお姉さんがアンケートに答えて欲しいという。
いわゆる「この公演を何で知りましたか?」のアンケートですが、アタシ、行きずりのツーリストだから、こんなこと答えてもしょーがないと思うんですけど・・・・・と思いつつ、20問にも及ぶ英語のアンケートを一生懸命答えたのでした(笑)。

そんなこんなでやっと開演。
ダンサー登場!一人みたいです。チュチュを着ていますが、トウシューズを履いていません。裸足です。
チュチュを着ていると、クラシックな動きをするのかなぁという先入観があるのですが、全然、コンテンポラリーな踊りなので、なんだか違和感バリバリ。
背景の映像に合わせて踊ったり、セリフも入ったりして、なかなか意欲的。でも、私の前のおじさん、ゲラゲラ大笑い。
コンテンポラリーも、一歩間違うとコントになっちゃうよね、なんて、疲れている頭で意地悪に考えてしまいました(笑)。
カーテンコールでは、さっき大笑いしたおじさんがスタンディングオベーション。もしかして、ダンサーさんのご親戚!?

個人的には、ダンサーさんが裸足なので、足の裏が真っ黒なのが気になりました(笑)。
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by june_h | 2010-11-10 20:07 | 旅行記 | Trackback | Comments(0)

パリ オペラ座バレエ団にまつわる様々な人や風景を紹介している写真集。華やかな美しさと芸術の世界の厳しさを堪能できます♪
パリ・オペラ座 バレエ物語パリ・オペラ座 バレエ物語
オペラ座に所属するダンサーは、完全実力主義の厳しい階級社会。

昇級試験でカドリーユ→コリフェ→スジェ→プルミエ・ダンスーズ(プルミエ・ダンスール)と上がっていき、スジェ以上のダンサーがソロを踊ることができます。
年功序列という考えは無く、飛び級で上がれる人もいれば、いつまでも上がれない人も。
しかし、最上位のエトワールは別格。努力で誰でもなれるわけではありません。

エトワールに求められる条件は、
「クラシック、コンテンポラリーなどに特化しているのではなく、すべてにおいて卓越したテクニックを持っていることはもちろん、精神的な強さと、繊細な感受性と脆さを合わせ持ち、なおかつ、アーティストとしてのオーラがある人」
と、なかなか難しいです。

私が注目したのは、アニエス・ルテステュ。
彼女は、1997年からエトワールを務めているベテランで、映画『パリ・オペラ座のすべて』のレッスン場面にも登場していました。

そのとき「スタイルと練習着がステキだなぁ」と思いながら見ていたのですが、やっぱり衣装のデザインも手掛けていたんですね!センスの良さだけではなく、何が自分にふさわしいのか、よくわかっている感じです。ダンサーなので、動きやすさなどにも気を遣いながらデザインするんだそうです。

本の後半は、男性エトワールのマチュー・ガニオの特集。
なんでこの人だけ特別扱い!?編集者の趣味?それとも女性に人気があるから??
詳しくない私には?でしたが、確かに、王子様みたいな甘さと美しさがあって、女性に人気がありそうです。
舞台メイクにタキシード姿で踊っている写真は、本当に美しい!でも、普段タキシードの男性で、こういう身のこなしをする人はいないので、宝塚を連想してしまいました(笑)。

ダンサーだけではなく、バレエやオペラ座の歴史、また、衣装職人や芸術監督、マネージャーなど、裏方の人達のインタビューや仕事風景も載っていて興味深いです。

日本にも、オペラ座バレエ団や、エトワール・ガラの公演がよくありますが、いつかは、パリのオペラ・ガルニエで『ラ・シルフィード』なんかのロマンチックバレエを観てみたい!ですねo(^^)o

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by june_h | 2010-02-02 21:06 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

(友達との10年前の会話)
「私さぁ、この前東京バレエ団の『春の祭典』観てきたんだよね」
「あぁ、ベジャールの振り付けのでしょう?あのエロいやつ」
・・・・・そうそう。男も女も全身タイツで、流れる汗がまた余計にナマナマしくて・・・・・って、そうじゃなくてさぁ。
古典のバレエって、花びら並べて「キレイでしょう?」って感じなんだけど、ベジャールのバレエって、根っこも葉っぱもオシベもメシベもキレイもキタナイも全部さらけ出して、存在自体の美しさを感じるんだよね!すっごくエネルギーが伝わってくるの・・・・・。

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モーリス・ベジャール。
偉大な振り付け師であり、数々のバレエの名作を残したフランス人。世界的に有名な多くのダンサーを育て上げた。バレエダンサーだけではなく、坂東玉三郎などの歌舞伎役者とも深く交流。しかし、2007年に惜しまれつつこの世を去った。

彼が遺したスイスのカンパニー ベジャール・バレエ・ローザンヌのメンバー達は、トップダンサーのジル・ロマンを中心として、新作に取り組んでいた。ベジャール亡き後のバレエ団存続のため、皆の期待に応えるため、そして何より、ベジャールの意志を受け継ぐため、結果を出さなければならない。強いプレッシャーと緊張感に満ちた稽古が続く・・・・・。


1時間半に満たない短い映画でしたが、濃密な映画でした。ベジャールバレエのダイジェストも良かったし、何より、ダンサー達のレベルと意識の高さと、ベジャールへの強い敬愛を感じました。
「今もベジャールの気配を感じるの。踊っていると、窓から覗いているような気がするわ」
皆こんなふうに語ります。ベジャールの偉大さが、ダンサーを一つにしているのです。

印象的なベジャール作品と言えば、何といっても『ボレロ』。
私はシルヴィ・ギエムので2回観ました。
この年末年始も、NHK教育テレビでやっていました。改めて観ても、ギエムの身体能力もさることながら、画面の向こうなのに「熱」を感じるんですよね!
もちろん、今回の映画にも『ボレロ』が出てきましたが、アップ過ぎて、ダンサーがたびたびフレームアウト。見にくかったです~(^^;

冒頭の『春の祭典』は、もちろん名作ですが、私はベジャール版ではなく、初演のニジンスキー版も観てみたいなぁと思っています・・・・・なんて思っていたら、この映画の上映前、『シャネル&ストラヴィンスキー』の映画の予告編で、ニジンスキー版『春の祭典』が出てきました・・・・・この映画も観たいなぁ。


<関連リンク>
ベジャール、そしてバレエはつづく(公式サイト)


P.S.
ベジャールバレエの男性ソリストって、だいたい、江頭2:50みたいな格好なんだよね(^^;
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by june_h | 2010-01-09 10:03 | 映画 感想 | Trackback | Comments(0)

最近バレエを習い始めた友達に誘われて、イブイブバレエ鑑賞!
クリスマスに、クリスマスらしいことができて大満足です♪

「くるみ割り人形」は、女の子クララが、クリスマスプレゼントでもらったくるみ割り人形をきっかけに、一夜のオモチャの世界の夢を旅するお話。
全幕見るなんて小学生のとき以来だから、超久しぶり!っていうか、遠い昔話(^^;
その時のは、「ロシアの踊り」くらいしか覚えてない(^。^;;;

今回は、とにかく衣装が素晴らしかった!
主役だけでなく、脇も群舞もハズレ無しでそれぞれキレイ♪主役の踊りそっちのけで、一人一人オペラグラスで確認してしまうほど(笑)。特に「花のワルツ」の美しいことと言ったら!衣装を見るだけでも、来た甲斐があるというものです。背景のセットとも合っていて、本当に夢の世界のようでした♪
調べてみると、オラフ・ツォンベックというドイツ人の方が、舞台装置と衣裳を担当なさっているようです。

ダンサーもなかなかレベルが高かったと思います。後半の「アラビアの踊り」「中国の踊り」「金平糖の踊り」なんかのソロコーナーも、技術を楽しめました。

「くるみ割り人形」は、馴染みのある曲が多いし、わかりやすい話だし、大人から子供まで楽しめる演目なので、初心者には打ってつけです!本当に、最後まで飽きなくて、クララが現実の世界に帰っていくとき、私も一緒に手を振ってしまうほど、入りこんで楽しんじゃいました(^^)

新国立劇場でのバレエ鑑賞は初めて。
4階最後列だったんですが、よく見えましたし、立ちあがるとオケピがまるわかり!

今度は、来年の5月にあるという「カルミナ・ブラーナ」が見たい!
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<関連リンク>
新国立劇場バレエ団
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by june_h | 2009-12-24 21:48 | 観劇 観戦 コンサート レポート | Trackback | Comments(0)

ナレーション、インタビューなど、余計な演出は、一切ナシのドキュメンタリー映画。
ダンサー達の稽古、リハーサル、本番の舞台。衣装の職人、芸術監督、その他パリ オペラ座で働くすべての人達の日常を淡々と映し出した映画。

普段の稽古から本番の舞台まで、古典もコンテンポラリーも良いトコ取りで見られるので、かなりオイシイ映画なんじゃないでしょうか。
常に満員で、他の映画の上映を削ってまで、この映画に充てている理由がよくわかります(笑)。


パリ国立オペラと言えば、シルビィ・ギエムの出身カンパニー。
バレエ好きの友達曰く
「ギエム以来、オペラ座のバレエは、体操のようになってしまった」
とのことですが、私は他のカンパニーのカラーと比べたことがないのでよくわからず(^^;
まあ、とにかく、世界最高峰であることは確かと思います。

稽古でのコリオグラファー達は、教え方もそれぞれ違っていて、英語とフランス語とチャンポンで指示。いろんな国の人がいますからね。
振り付けの意味もよくわかりますし、バレエを習っている人が見ると、とても勉強になるんじゃないでしょうか。

コールドバレエ(群舞)でも、全体的なバランスは注意するけど、揃えることに重点を置くわけじゃないんですね。だから、同じ振り付けでも、人によって全然踊りが違って見える場合があります。

今回、見ていてようやく気づいたんですが、古典とコンテンポラリーの違いって、一つに「重心」がありますね。
古典は、重心が常に上。天に向かうダンスですが、コンテンポラリーは、重心が下で、腰を落とす動きが多い。もちろん、基本は、バレエの動きなんですけどねー。


働いているのはもちろん、ダンサーだけではありません。
舞台を支える職人さん達はもちろん、オペラ座の方向性を決める芸術監督も。
舞台の配役から、カンパニーの経営、はてはダンサーの年金問題まで、日本と違って、芸術監督の権限って、すごく大きいように思いました。

面白かったのは、アメリカ人スポンサー向けのパックツアーの企画会議。
ツアー内容は、ニューヨークシティバレエと、オペラ座バレエのボックス席での観劇、リハーサルの見学、さらに、ダンサーや関係者を交えてのランチ。
バレエ好きには、かなり魅力的なツアーが出来上がったところで、会議参加者みんなが、口を揃えて言いました。

「リーマン・ブラザーズならお金を出してくれるわ!」

・・・・・リーマン・ショック前に撮影されたのね(^^;

オペラ座のダンサーは、国家公務員のような扱いなのでしょうか。「定年」の40歳以降は、年金が支払われます。でも、実際は、怪我などで定年前に辞める人が、少なくないかもしれません。
「バレエダンサーは、修道女でボクサーのようなもの」

とは、モーリス・ベジャールの名言ですが・・・・・美しさって、ストイックで苦しいんですね(^^;;;

P.S.
オペラ座の屋上で養蜂やってたなんて、知らなかった!


<関連リンク>
「パリ・オペラ座のすべて」(映画詳細、映画館情報)
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by june_h | 2009-11-10 21:08 | 映画 感想 | Trackback | Comments(0)

毛沢東にも「喜び組」がいた!・・・・・ウソです(笑)。
中国農村で生まれた男の子が、アメリカのバレエカンパニーのプリンシパルダンサーになるまでの、数奇な運命を描いたエッセイです。

毛沢東のバレエダンサー

リー・ツンシン / 徳間書店


文化大革命後の1960年代の中国。毛沢東の妻、江青の発案によって、国家的にバレエダンサーを育成する計画がスタートしました。

食糧や教育が満足に無い、山東省の貧しい農村で育っていたツンシンは、身体的な素質を見込まれ、北京の学校でバレエの英才教育を受けることに。

バレエの何たるかもわからず、突然、親兄弟から引き離され、つらい基礎練習ばかりに追われる日々に戸惑う彼。

しかし、家族を助けなければという思いと、持ち前の粘り強さと素直さで、徐々に頭角を現し、バレエの楽しさにも目覚め、ついには、学校のトップダンサーに。研修生として渡米後は、そのまま亡命。アメリカやオーストラリアで活躍するダンサーになりました。

彼の人生は「私は金正日の「踊り子」だった(申英姫 著 徳間文庫)」とそっくり!
共産主義の国で、国家的なダンサー育成プロジェクトに選ばれ、ダンスの技術と「思想教育」を徹底的に叩きこまれる。そして、「資本主義」の国で祖国の教育に疑問を持ち、亡命を決意する・・・・・。

そもそも、バレエは「資本主義国」で生まれたものなので、そのダンスのトップを目指すということは、どうしたって矛盾が出てくるんですよね。
『ジゼル』を観ながらキャラクターを「政治的に」批判したり(笑)。
生徒はともかく、あんまりバレエに肩入れすると「思想的に問題だ」ってことで逮捕されちゃうんで、教える側も大変です。

彼が舞踊学校に入ってからは、毛沢東の死、江青を含めた「四人組」の失脚、鄧小平の台頭など、政治は混乱し、学校の方針もクルクル変わりましたが、彼自身は、真っ直ぐ真面目に努力し続けました。
これには、育った環境と、両親の教育が大きかったと思います。

餓死者が出るほどの貧しい村。わずかな干芋を家族で分け合いながら生きる日々。
貧しいながらも、母親や兄弟達が見せるツンシンへの愛情深さに、何度、目頭が熱くなったかわかりません。
ツンシンも、自分が主役に選ばれても、ほかの人に譲ろうとしたり。アメリカに向かう機内でのスチュワーデスのサービスに感激し、皿洗いをしたいと申し出たり(笑)。
とても謙虚で素朴な人柄なのです。
ダンサーとして、豊かな暮らしができるようになっても、幼いころの、干芋だけの食卓を決して忘れなかったそうです。

どんなに貧しくても、正直に誇り高く生きなさいと教えた両親の慈しみこそが、何よりも素晴らしい教育だったのだと思います。

<中国語>
李存信(Li Cunxin)是舞蹈家。

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by june_h | 2009-10-08 20:51 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)