イスラーム法学者の中田先生と、中東関係の国際政治学者の内藤正典さんとの対談。
この本のタイトルは、なぜ「講和」なんだろう・・・・・と思いましたが、よくわかりました。

イスラームとの講和 文明の共存をめざして (集英社新書)

内藤 正典 / 集英社



イスラム国がやっていることは、他の宗教に対する攻撃ではなくて、ムスリム間の分断を狙っているという話をしていて背筋がゾッとしました。
世界中で分断が起きている・・・・・。

中田先生が思うに、今はスンナ派もシーア派も、お互いの派閥をまとめられるリーダーがいないそうですね。
この混乱、長く続きそうです・・・・・。

米英がイスラム国に手を焼いている隙に、中国が中東での勢力を拡大しているのは知っています。
パキスタンに駐在していた友達からいろいろ聞いていましたから。

中国とトルコって歴史的に仲が悪いんですね。
よく考えたら中国をたびたび脅かした「突厥(とっけつ)」ってトルコのことですもんね(^^;

中東関連は、普通に流れているニュースを見るだけじゃ、報道されないことがとにかく多すぎるし、見方があまりに偏っている・・・・・いろいろ大丈夫なのかな。
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by june_h | 2017-01-15 11:08 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

著者は、イスラム法学者の中田考先生の奥様。
エジプトでのホームステイ生活やサウジアラビアのハッジ(メッカ巡礼)、夫の中田先生のことなどが書かれていて興味深かったです。

イスラームの息吹の中で (泰流選書)

中田 香織 / 泰流社


中田さんは、元々、フランス文学を勉強していてフランスに渡り、そこで、イスラム教に魅せられ、入信したそうです。
その後、エジプトでホームステイをしながらアラビア語とコーランを学んでいます。

イスラム教徒の女性は、同じイスラム教徒の男性としか結婚できません。
エジプト人男性と結婚し、日本で布教活動をしようと考えていましたが、なかなかうまくいかず。
そんな時、エジプトでの良き相談相手だった中田考先生に「打診」して、最終的に結婚されたのだとか。

読んでいると、アッラーとイスラム教に対する、中田さんの尊敬の念と深い感動が伝わってきます。

コーランの美しいアラビア語の詩。
人々の生活の中に息づく宗教的な儀礼。
一つ一つ語る言葉に愛があります。

イスラム教徒の女性のアバーヤは、西洋諸国からすると「抑圧の印」ととらえられますが、中田さんには、アバーヤで夫と歩いていると、
「女主人が従者を引き連れているよう」
な優越感を抱くのだそうです。

逆に、露出の高い日本女性がはしたなく思えるようです。
このことは、長く中東に滞在している私の友達も同じように言っていて、
「水着の広告が電車内に多くて目のやり場に困る」
んだとか。

中田さんは、旦那さんの中田先生と同じく「改宗ムスリム」ですが、やはり、お二人とも、イスラム教を芯からとらえようとしている点が似ていらっしゃると感じました。
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by june_h | 2015-12-13 22:25 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

一瞬、手に取ろうか迷う表紙ですが(笑)、イスラム教や、現在のアラブ諸国の実情が分かりやすく書かれていました。
そして、中田先生の生い立ちも。
手に取って良かったです(^^;

私はなぜイスラーム教徒になったのか

中田考 / 太田出版


中田先生は、母方が神主の家系なんですね。
どの宗教を学ぼうか迷っていたそうですが、「論理的整合性がある」という理由でイスラム教に決定。
東京大学文学部のイスラム学1期生で、後にイスラム教に入信しました。

エジプトに留学した際、やはり、ムスリムになった日本人女性と結婚。
先生は、現地のムスリムと交流していく中、「論理的整合性がある」ということで、サラフィー主義に傾倒していきます。

一口にイスラム教と言っても、いろいろな派閥や考え方に分かれています。
大きく分けて、スンナ派とシーア派がありますが、それぞれの派閥も、いろいろ分かれているようです。
私がイスラム教徒に生まれていたら、スーフィズムにハマるかも(^^;

サラフィー主義は、過激な思想に通じるということで、危険視されているようですが、先生の家に出入りしていたサラフィー主義の若者は、精神性が日本の侍のよう。
清烈な生き方に目頭が熱くなりました。

先生は、言います。
「自分が世界を見ている枠組みそのものを疑わないと、長い時間をかけてアラビア語を学んでも、同じものしか見えないんです。」

日本人は、欧米的(特にアメリカ)の見方が染み付いてしまっていて、
「欧米は自由で優れていて、中東は抑圧的で劣っている」
ということを、学者すら信じて疑わないんですよね。

民主主義と言っても、実際に行われているのは、制限選挙寡頭制だし(^^;
見方が固定されていると、新しい価値は見えて来ないと先生は言います。

先生の言葉を読んでいて、大学時代のアラビア語の授業のことを思い出します。
私がよく、頭の悪い質問をして、チュニジア人の先生に
「常識を疑いなさい。常に問題意識を持ちなさい」
と、言っていましたから。

最後に、先生の学生達が何人か、先生の印象を語っていました。

「研究の緻密さと普段の生活のギャップがすごい」
先生の部屋は散らかっていて、パソコンの使い方もよくわかっていないらしい(^^;
それから、プロレスとかマンガとかお好きなんですよね。

先生の奥さんの香織さんは、同じく研究者でしたが、亡くなられたんですよね。
香織さんの著書を読んで、中田先生を訪ねて来た女子学生に、先生は、こう言いました。

「自分は妻がどこへ行ったかずっと考えていた。でも、あなたは知識という形で妻の命が続いていることに気づかせてくれた。だから、あなたを同志社大学の最後の生徒として責任を持ってイスラームを教えます」

泣けました。
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by june_h | 2015-10-21 09:19 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)

内田先生と、イスラム国の事件で話題になった中田考さんの対談です。
メディアでは、中田先生が「テロリストのブローカー」のような報道っぷりでした。
それで片付けざるをえないんでしょうね。

一神教と国家 イスラーム、キリスト教、ユダヤ教 (集英社新書)

内田 樹 / 集英社


日本のメディアは、昔から
「イスラムって怖いですねー。
なんでこんなことするんでしょうねー」
のワンパターン。
「なぜ?」を掘り下げると、メディアのタブーであるアメリカの悪口になっちゃうからですよね。

イスラム教国家は、コーランの言葉であるアラビア語を共通語として、緩やかに連携できるはずなんです。
それを阻んでいるのは、欧米と、欧米シンパの各国支配層。
仲違いさせられているんです。

一つの理由は、イスラム国家共通の敵であるイスラエルをアメリカが守っていること。
そして、石油資源。
そんなわけで、仲違いしていた方が、欧米にとって都合が良いのです。
アルカイダやイスラム国のような「怖い」組織ができちゃったのは、欧米が散々、軍事介入だなんだと、ちょっかい出してきた結果だったりします。

内田先生は、更に突っ込んで
「アメリカがこんなにイスラムに突っかかるのは、アメリカの推し進めるグローバル化(世界のアメリカ化)は、イスラム教徒がいる限り、真の意味で達成できないからではないか」
と言います。

そこで、中田先生が提案しているのは「カリフ制」。
中東に「国家」という枠組みがもたらされたのは、戦後のこと。
それまでは、カリフ制で、緩やかに連携していました。
戦後は、争いごとばかりでまとまらないので、国家というシステムは、中東には合っていないのかもしれないと、中田さんは言います。

何にせよ、アメリカにとっては都合の悪い話なので、中田さんは「アメリカのおたずね者」なんだそうです。

日本だって、対岸の火事だと言っていられません。
だって、日中韓、仲違いさせられているでしょう(^^;

今の日中韓の経済力をもってすれば、ここ数百年の欧米優位の世界情勢をクルッと変えられそうなんですけどねぇ。
なのに皆、お互い、自分のことしか考えてないし、自分達の利益のために争いを煽っている人達もいますから。
本当に、いろんな意味で残念!

中田さんは、イスラム教に改宗して、イスラム教を内側から理解しようとした方。

「イスラム教は、日本より自由ですよ。
宗教の戒律以外は、わりと自由だからです。
むしろ日本の方が、実生活に不文律が多いから」

と、先生は仰いますけど、それは、男性に限っての話でしょう!
女性に関して言えば、絶対に日本の方が自由ですってば!

何はともあれ、この本は、一神教であるイスラーム・キリスト教・ユダヤ教について、そして、今のイスラム圏についていろいろ理解が深まる本です。
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by june_h | 2014-11-23 12:09 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(2)