脳科学者の池谷裕二先生と、エッセイストの中村うさぎさんの対談本。
なんて意外で大胆なトリアワセ・・・・・と思いましたが、池谷先生から中村うさぎにラブコールを送ったんだそうな(^^;
そんなわけで、「今までの対談で一番楽しかった」と、大満足の池谷先生。

二人を取り持ったのは、敏腕編集者の中瀬ゆかり。納得です!

脳はこんなに悩ましい

池谷 裕二 / 新潮社


読んでいて、どうして池谷先生が中村うさぎを「尊敬」するのかわかったような気がします。
この二人、ベクトルは違えど、好奇心の量と実行力は、いい勝負。
池谷先生が、ある理論を口にすると、頭の回転の良いうさぎさんが「それってこういうこと?」と、絶妙な例え話を出します。テンポの良い対談です。

そして、池谷先生の発言は、全部、論文の裏付けがあり、巻末に参考論文一覧があります。
楽しい対談を読みながら、最新の医学・脳科学の知識も手に入るので、かなりオトクです!

人差し指が短い男性は、テストステロン分泌量が多いので、性器が大きい傾向があるとか。
モルヒネのプラセポ効果を消したナロキソンの実験とか。
二人の話は、多岐に渡り、本当に面白いです(^^)

特に、興味深かったのは、遺伝子検査。
お二人の検査結果を比較して、糖尿病やアレルギーなどの病気因子はもちろん、自分の祖先はどこから来たのか、耳垢は硬いか柔らかいか、麻薬中毒になりやすいのか、いろんなことが、わかっちゃうんですねー!

先生は、遺伝子検査で、自分が「先天性容貌失認症」であることがわかったそうです。人の顔がなかなか覚えられない訳が、やっとわかったと納得したとか(^^;

日本では、倫理的にどうこう言われているようですが、私もやってみたい!
だって、ヘタな占いより、よっぽど当たるじゃありませんか(^^;
病気の因子があるなら、予防するために対策したいし、先祖がどのあたりにいたのかも知りたいわあ♪

中村うさぎさんは、今まで、セックスにハマッたり、買い物依存性になったり、整形したりしてきたわけですが、それは「自分を知るための行為」だったんだと悟ったんだとか。
なんか納得・・・・・。
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by june_h | 2013-04-25 12:21 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(4)

脳科学の第一人者、池谷裕二さんの本です。
科学は合理的なもの、というイメージがありますが、著者の語るところによると、なかなかそうとも言い切れなくなってきていることがわかります。

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著者は、従来の脳科学の枠にとらわれない、ユニークなスタンスをとっています。
まずは「部分に分解せず、全体を見る」
科学的に分析すると言うと、組織から細胞、細胞から分子、分子から原子・・・・・のように、細分化していく傾向が強いのですが、彼は、敢えてそうせず、脳全体の動きをダイナミックにとらえようとしています。

それから「仮説を立てない」。
この姿勢は「仮説ありき」の従来の科学では考えられないことです。いわば、出たとこ勝負で実験をするわけです。
仮説や結論を決めて物事を見ると、自分の都合の良いものしか見えなくなる可能性があるし、ひどい場合は実験結果を捏造することにもなりかねないからです。

彼は「脳には再現性が無い」と言います。つまり、インプットが同じものでも、アウトプットがいつも同じとは限らない・・・・・1+1の答えが、いつも2であるとは限らないということ。これこそが、人間の想像性の源だと言います。

また、著者は、学者達の世界についても語っています。「人間らしい」「人間臭い」という言葉は、科学からほど遠いイメージですが、脳神経学界も、脳神経学者自身も、なかなか「人間臭い」ようです。

学者達の評価は、世界的に有名な科学雑誌である「ネイチャー」や「サイエンス」に、論文が掲載されるかどうかで決まります。裏では、論文に掲載されるための学者間の駆け引きや、激しい研究費の争奪戦が行われているようです。掲載されると、学者仲間からの激しい嫉妬や中傷に遭うこともあります。

学界で生き抜くためには、とにもかくにも「プレゼンテーション能力」「コミュニケーション能力」が必要だと著者は言います。理系だからって、英語や作文がヘタですなんて、言っていられません(笑)。「象牙の塔」に籠って、ひたすら研究に没頭する学者は「ダメな学者」なんだそうです。現在は、研究のスピードが速いので、積極的にほかの研究者達とコンタクトを取らないと、遅
れていってしまうのです。著者自身も、研究データをインターネットで公開しています。

科学的に説明できないことは信じない、なんて言う人がいますが、そういう人に限って、科学がよくわかっていなかったりします。科学だってまだまだ道半ば。これからもいろいろな発見があって、現在の常識は百年後の非常識になるかもしれません。

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by june_h | 2008-11-10 21:03 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)