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【演劇:ネタバレあり】パルコプロデュース公演「国民の映画」@渋谷PARCO劇場

とにかく、無事に観劇できて良かった(T_T)
地震で中断しなくて良かった(T_T)(T_T)
無事に帰れて良かった(T_T)(T_T)(T_T)


三谷さんは「客が一人でも舞台を上げる」と言っていたらしい。
「Show must go on」・・・・・ならば、いかずばなるまい。
でも、行ってみたら、終演が「22時」と書いてあって、かなり本気で「幕間に帰ろうか・・・・・」と思ってしまいました(^^;

最後まで観て、本当に良かったと思う舞台でした。帰らなくてよかった(笑)。

三谷さんの演劇のキャラクターって、みんな弱くて滑稽で。でも、とても愛おしい。
三谷さんが、善悪で人間を見ていないのがわかります。
恐ろしいと思うくらい人間を描く視点は「透徹」なのだけど、笑いと感動は温かい。
本当に不思議です。

今回の芝居を観て、三谷さんの友達には絶対に、心の底からなりたくないと思いました(笑)。
だって、たとえ表面的に優しく接してくれていても、裏では、私のことをじっくり観察していて、何を考えているのかわからないからです(^^;

ナチスとユダヤ人という重い話がベースになっていますが、善悪で断罪するのではなく、見えてくるのは「滑稽さ」です。

庭の花についた害虫を殺すことさえためらうのに、ユダヤ人を殲滅しようとするアンバランスなヒムラーと。
ユダヤ人のフリッツがいなければ、自分が好きな映画の映写機すら回せないゲッペルスと。
ナチスの総力を上げて「国民の映画」を作るために、「一人じゃ映画はできないんだ」「一人じゃ何もできないんだ」と、ゲッペルスは何度も豪語しながらも、ユダヤ人を排除しようとする矛盾に、気付かないのか見ないようにしているのか・・・・・。

特に印象的だったのは、ゲッペルスとフリッツ。

自分がもし、ゲッペルスの立場だったら、きっと同じことをやるでしょう。
国家予算を投入して、好きな役者さん&スタッフのオールスターチームで、演劇だの映画だのを作らせるね(●^ー^●)
自分の欲望に忠実なゲッペルスの小日向さん、良かったです。
でも、西村雅彦でも見たい気がします(^^)

そしてフリッツ。
ユダヤ人であることを隠し、ゲッペルスの執事として、彼の傍らにいる。
自分の弟を殺したナチスとゲッペルスを憎みつつ、自分と同じように映画を愛する彼を、憎からず思っている。
相反する気持ちを抱えつつ、ゲッペルスの横で映写機を回すフリッツ。まるで、チンギス・ハーンに仕えた耶律楚材のようです。
ユダヤ人であることが暴露され、パーティー客たちの上着をフリッツが乱暴に投げつけるところから、映画のエンディングロールのようなラストシーンまでが圧巻でした。
ラストシーンは、人間の人生や生涯というものは、善悪など関係ない、人智の及ばないところにあるのだと感じさせてくれます。

終演後、エレベーターを降りて見たのは、ゴーストタウンのように静まり返った渋谷。
汚くて、うるさくて、猥雑だった渋谷が、今となっては懐かしくさえ思えます・・・・・。


P.S.
ヒムラーって、オカルト好きだったんですね(^^;
副総統のルドルフ・ヘスが神秘主義にハマっていたというのは知っていたのですけど(^^;;;
by june_h | 2011-04-02 12:22 | 観劇 観戦 コンサート レポート | Trackback | Comments(0)