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「呪の思想 神と人の間」 白川静×梅原猛 平凡社

漢字学者の白川静先生と、仏教学者の梅原猛先生の対談。
梅原猛先生の本を読んだのは、瀬戸内寂聴の対談本以来かな。

呪の思想―神と人との間

白川 静 / 平凡社


日本史の授業では、縄文時代と弥生時代は、一続きで教わりますが、文化は全く違います。
「縄文人」と「弥生人」は、人種的にも違うのではないかと言われています。
白川先生曰く、縄文人は、中国の殷に、弥生人は、周の文化に似ているそうです。

縄文人には「生まれ変わりの思想」があったとか。
先祖が生まれ変わって子供ができると考えていたため、妊婦が亡くなると、先祖が戻って来られないので祟りになると恐れました。
そのため、亡くなった妊婦の腹から胎児を取り出して、妊婦に抱かせるようにして葬ったんだそうです。
驚いたことに、福島県のある地域では、明治時代までこの風習が続いていたんだとか。

対して弥生人には、「不老不死」の思想。遺体が腐らないように保存しています。全く逆。

それから興味深かったのは
「日本の近親婚のタブーは、農耕民族だから緩かった」
というもの。
遊牧民族は、家畜を近親交配させるとエラいことになるってわかっていたから、近親婚のタブーは強かった。
農耕民族は、そういうことを目にすることがなかったので、緩かったのだと。

大和時代から平安時代あたりの、天皇家と藤原氏の系図って、入り乱れてますもんね(^^;
叔父と姪の夫婦は当たり前。ダメだったのは、同腹の兄妹くらいじゃなかったでしょうか。
そういえば、近親婚の風習のあった古代エジプト王家も農耕民族ですね。

日本人は、今でも結婚できないのは、3親等まで。
お隣の韓国は、8親等まで結婚できないので、従兄弟同士で結婚する日本人を「おぞましい」と思うらしい(^^;

あと、日本人は、「お上に甘い」ですね。
中国は、何かあれば権力者が滅ぼされるくらいとても厳しいですけど、日本人が特殊なんです。
2500年前の中国に、
「碩鼠、碩鼠、勿食我黍(ネズミどもめ、オレのキビを食うんじゃねぇ!)」
という権力者を批判した詩が残っていますが、日本には、こういう詩は無いし、政治詩自体が珍しいんだそうです。
だから日本人は、政治家が失敗しても寛大なんだねぇ・・・・・。
by june_h | 2012-07-23 12:46 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)