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「ラジオの魂」 小島慶子 著 河出書房新社

元TBSアナウンサー小島慶子さんのエッセイです。

ラジオの魂

小島 慶子 / 河出書房新社


大学を卒業後、アナウンサーとしてTBSに入社した小島さん。
「可愛く、品よく、出しゃばらず」が女子アナに期待される三点セットですが、このように振舞いたくない自分と、会社の期待に応えられない自分との間で、常に葛藤。
予定調和な内容や台本通りの回答をこなすことにも、常に疑問を感じていました。

そんな時、転機となったのは、ラジオの仕事でした。
自分をさらけ出して、本音でぶつかってこそ、人の心に届くものができると考えていた彼女は、ラジオによってそれが実現でき、ようやく居場所を見つけたと思ったそうです。

彼女は、言動から、強い女性だと思われがちですが、とても敏感で、真面目な人です。

このエッセイから、ずーっと伝わってくるのは、「親の期待に応えなければならない」「会社の期待に応えなければならない」というプレッシャー。
小さい時から、良い学校、良い会社に入って、一流の男性と結婚し、一流の生活をすることを常に求められてきました。

彼女の悩みは、よくわかります。
私が大学生の時も、彼女と同じような悩みを持つ人周囲にたくさんいました。

例えば、実家がとんでもないお金持ちとか、先祖が歴史教科書に出てくるような名家とか、親戚が医者や弁護士だらけとか。
親や親戚が「ブランド」を持っていると、親からも「相応のブランド」を持つようにプレッシャーを掛けられることが多いし、本人もそれを望むことが多いです。
特に、就職や結婚で、価値観が反映されます。

私の親は、ノーブランドだったので(笑)、そういうプレッシャーはなかったけど、友達の中には
「一部上場企業に就職しろって母親に言われている」
「私は、幼稚園からずっとエスカレーターで来たから、私の子供も同じような教育を受けさせるために、それが可能な財力のある男性と結婚しなきゃ」
という人もいました。

小島さんは、一度、この葛藤に耐え兼ねて、不安神経症を患ったそうです。
しかし、幸せは、人に見せびらかすものではなく、何気ない日常にあると気づいてからは、楽に生きられるようになったとか。

今は、二人のお子さんを育てながら、フリーのアナウンサーとして仕事を続けていらっしゃる小島さん。
「何かを手に入れなければ幸せになれない」のではなく「今、あなたが手にしているものの中に幸せはある」ということを伝えていきたいと仰っています。
Commented by oomimi_usako at 2012-11-12 17:46
たくさんおいでになる女子アナ事情(?)には少々疎いのですが、少し前にこの方がTVに出ていらっしゃるのを何度か立て続けに拝見して、“なんとなく気になる”感じを持っていました。
元TV局今フリーのアナウンサー・・・程度で、どういう方かも詳しくは知らず、そのままになっていましたが、こういう御本を書いていらっしゃるのですね。
タイミングいいですわ~juneさんっ。
読んでみようと思います。
Commented by june_h at 2012-11-13 12:39
>usakoさま
小島さんが「なんとなく気になる」のは、「自分の言葉」で話していらっしゃるからかもしれませんね。
自分の思っていることと違うことを言わなければならないとき、アナウンサーの方々はどう考えるのだろうと、私はいつも思ってしまいます。
割り切れればラクなのでしょうが、できないと精神的にツラいでしょうね。小島さんもできなかったんだと思います。
女子アナの世界は、なかなか大変なようで。
私の後輩も目指していましたが、いろいろ話を聞くと「理解できない(したくない)世界だ・・・・・」と思ったことがあります(^^;
小島さんは、このほかにも何冊かご本を出していらっしゃるようです。
by june_h | 2012-11-12 11:59 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(2)