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「はじまりは、歌だった 「つながり」の進化生物学」 岡ノ谷一夫 著 朝日出版社

東京大学教授の著者が、埼玉県立川越高校と川越女子高校の生徒を相手に生物学の講義をした際の講義録です。

「つながり」の進化生物学

岡ノ谷 一夫 / 朝日出版社


受験勉強とは直接関係ない、大学で教わるような内容。
でも、とても面白いし、生徒達も興味深く聞き入っていて、積極的に質問や意見を出していました。

先生は、ジュウシマツの求愛ソングを研究していて、複雑な文法構造があることに気付きました。
そのため、こうした「歌」から言葉ができたのではないかという説を唱えています。

「父鳥や他のオスから求愛ソングを教わっていないジュウシマツのオスは、メスにモテない」
そうなので、ウチのオス文鳥に、慌てて、文鳥の求愛ソングの動画を聞かせました(^^;

私達は学校で、ダーウィンの進化論と自然淘汰説を勉強します。
でも、実は、自然淘汰の話と一緒に「性淘汰」も説明しないと、ツジツマが合わないそうです。
つまり
「メスに気に入られるかどうか」
ということです。

コクホウジャクという鳥は、尾羽が長いオスほどモテるので、淘汰によって、とても尾羽が長くなりました。
しかし、尾羽が長いほど、天敵に狙われやすくなってしまいます。
これは、自然淘汰だけでは、説明できない現象。
命の危険より、メスに気に入られることを選んだわけです(^^;

興味深かったのは「扁桃体」の損傷について。
脳の扁桃体は、快・不快の情動を司っていることがわかっています。
扁桃体が損傷したサルは、恐怖心がないため、通常なら本能で避けるヘビを、平気でつかんで振り回してしまうそうです。
同様に、扁桃体が損傷している人間は、対人恐怖がないので、他人と適度に距離を取ることができず、簡単に離婚してしまうんだとか・・・・・。

先生が語る動物たちは、生き生きとしていて面白かったです!
by june_h | 2013-06-17 12:17 | 本 読書 書評 | Trackback | Comments(0)